酪農にスマートICT、IoTカメラが牛を見守りAIが分析 巡回の省力化/牛の健康管理に働き方改革 神奈川県でNTT東日本ら

神奈川県の酪農業は、消費量が膨大な首都圏に近接していることもあり、牛乳生産量が北海道に次ぐ全国第二位(農林水産省「作物統計」:2019年)となっている。
その一方、酪農に携わる人口は年々減少・高齢化し、労働環境は過酷化している。加えて生産性の向上、後継者育成等の経営課題も多数抱えている。

これらの課題を解決する手段のひとつとして、2021年3月1日、かながわ酪農業協同組合と東日本電信電話株式会社神奈川事業部(NTT東日本)、エヌ・ティ・ティ・ビズリンク株式会社(NTTビズリンク)は、かながわ酪農業協同組合員の農場において、酪農生産性向上および知見・スキル承継にむけて、IoTカメラを通した牛の映像データ(行動動画像など)から疾病等を早期検知するシステムのサービス化に向けた実証実験を2021年2月25日より開始した。

ICTの活用が期待されている中、NTT東日本では2020年5月以降、同組合員の農場へ遠隔で牛を見守るためのIoTカメラを導入し、見回り回数削減・省力化を実現しており、同組合と2社は、今回の実証実験を通じて、牛の健康状態を時間や場所を問わず、酪農経験が少ない人でも把握できる環境をつくることで、酪農業界における働き方改革の実現及び効率的な飼養管理による生産性の向上、後継者育成をめざしていくとのことだ。



牛の行動からAIが疾病等の早期検知

かながわ酪農業協同組合員の農場に設置されたIoTカメラを用いて牛の行動を録画し映像データ化して、AI分析を用いて牛の行動から疾病等の早期検知を行うAI推論技術の検証を行う。具体的には、収集された動画像データについて、かながわ酪農業協同組合の協力のもとアノテーション(データ処理:収集データの分類や定義づけ、データベース化など)を実施しながらAIに学習させることで、酪農経験者を介することなく牛の健康状態を把握し、疾病等の早期検知する精度を高めることをめざす。

実施概要イメージ


各社の役割
かながわ酪農業協同組合 ◆実験フィールドの提供
組合員(酪農家)の課題提供/技術検証の利活用シーンを提供/技術検証の成果を組合員へ情報提供
※IoTカメラ導入している組合員農場:長谷川牧場(神奈川県茅ケ崎市)、グッドリバー牧場(神奈川県相模原市)、相澤良牧場(横浜市瀬谷区)、中島牧場(神奈川県愛川町)、曽我牧場(神奈川県平塚市)
NTT東日本 ◆課題解決するICT技術へのサポート
IoT機器導入支援、サポート/酪農業向けICTのニーズへの対応/生産性向上・省力化に向けたICT検討
NTTビズリンク ◆動画像解析によるICTの技術開発
映像データの蓄積、解析/発情、疾病、分娩AI検知技術の検証/技術検証データの公表

IoTカメラ録画イメージ
実施期間

2021年2月25日~2022年2月24日(予定)

今後の展開

今回の実施期間で、映像データのAI分析による疾病等検知の有用性検証し、実際の運用における課題の抽出と解決に向けた取り組みを検討。同時に、幅広く導入できるよう安価なコストでの提供実現についても検討していく。


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ロボスタ編集部

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