空飛ぶクルマ、ドローン、ヘリコプターが混在する空を想定した運航統制実験 三井物産やJAXA、Terra Droneらが協力

大阪府は、2025年には「大阪万博」での空飛ぶクルマ運用を計画している。また、全国的にみても、将来は都市部の空では、空飛ぶクルマやドローンなど様々な輸送サービスの開始が期待されているが、これら多様なエアモビリティが混在して飛ぶ運用/運航面での整備が次の課題のひとつとなっている。

大阪府の人工島 夢洲でのドローンとヘリコプターなど、多種多様な機体が混在して飛行する様子

Terra Drone株式会社は、三井物産株式会社による取り纏めの下、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)、朝日航洋株式会社とコンソーシアムを結成し、大阪府の「エアモビリティ統合運航管理プラットフォーム事業」に応募し、2021年8月27日に採択された。それに基づき、大阪府内で空飛ぶクルマ、ドローン、ヘリコプターなど、多様なエアモビリティが混在している状態でも、安全かつ効率的な飛行を実現する為の運航管理に必要な機能等の実証実験を2022年2月に実施し、その有効性について検証・確認した。

空域統制所におけるエアモビリティ統合運航管理プラットフォームの利用




平時から有事まで多様なエアモビリティが同一の空域に混在

このコンソーシアムでは、都市部における空飛ぶクルマを活用した輸送サービスの実現を目指す。
今回の実証場所である大阪府は、国内第二位の規模を誇る大都市圏であり、2025年には「大阪万博」という国家イベントの開催も控えており、国内で最も空飛ぶクルマの社会実装の受け入れに意欲的な自治体となっている。

このコンソーシアムは今回の実証実験を通じて、平時から有事までのあらゆる状況下で多種多様なエアモビリティが同一の空域に混在している状態でも、安全かつ効率的な飛行を実現する運航管理の仕組みづくりが重要と考え、JAXAが企業と連携して検討を進めている「多種・多様運航統合技術」および、その基盤技術である「災害救援航空機情報共有ネットワーク技術(以降、D-NET)」をベースに、多種多様なエアモビリティ間で安全かつ協調的にデータ連携が行える「エアモビリティ統合運航管理プラットフォーム」に必要な技術の検証を行なった。

空域統制所:エアモビリティ統合運航管理システム D-NETと直接連携した多種多様な機体の監視例

空域統制所:エアモビリティ統合運航管理システム D-NETの多種多様な機体の監視例

具体的には、大阪・関西万博の開催期間中の警備/警戒中に、平時と有事が切り替わるシナリオを想定し、大阪府の咲州庁舎に空域統制所を開設。ヘリコプターやドローン用途の運航管理システムを活用して、次の有用性を確認した。

1.多種多様なエアモビリティの飛行計画の共有および飛行申請の承認機能
2.位置情報のリアルタイム共有機能
3.退避要求機能 などを用いて、多種多様なエアモビリティの運航状況をリアルタイムに把握し安全な運航を支える管理を行うための技術と運用に関する検証

エアモビリティ統合運航管理プラットフォームの概念

Terra Drone株式会社はリリースを通じて「本実証実験を足掛かりに、平時の輸送サービスだけでなく、有事(災害対応や警備/警戒現場)での活用が見込まれるドローンや空飛ぶクルマ等、多種多様なエアモビリティが同一の空域でも協調して安全に活動できる社会の実現に不可欠な「エアモビリティ統合運航管理プラットフォーム」の整備に取り組むことで、日本におけるエアモビリティ前提社会の到来を牽引する民間事業者のパイオニアを目指して、事業を推進して参ります」としている。


■コンソーシアムメンバー
代表事業者
・三井物産株式会社
共同事業者
・国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
・Terra Drone株式会社
・朝日航洋株式会社
協力実施者
・株式会社DSA

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ロボスタ編集部

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