東京大学・松尾研発のスタートアップであるProx Industries株式会社は2026年8月19日、清水建設株式会社が進めるフィジカルAIの研究開発に対し、ヒューマノイドロボットの行動学習に向けた研究開発基盤の構築を支援したと発表した(本支援は2025年度に実施)。
労働力不足の建設現場に汎用ロボットを
労働力不足が深刻化する建設業界では、AIを搭載したロボットが課題解決の有力な手段として期待されている。従来、建設現場で使われてきたロボットは、あらかじめプログラムされた動作のみをこなす特定作業向けの専用機が中心だった。
これに対し、AIが周囲の状況を認識・判断しながらロボットを制御する仕組みが実用化されれば、1台のロボットが複数の作業を担う汎用機として活用できる可能性が広がる。複雑で日々状況が変化する建設現場において、フィジカルAIは労働力不足の解消や生産性・安全性向上に寄与する技術として注目されている。
シミュレーションとテレオペで行動学習データを蓄積
今回の取り組みでは、Prox Industriesが清水建設のヒューマノイドロボット行動学習に向けた研究開発基盤の構築を支援した。具体的には、NVIDIAのシミュレーションプラットフォーム「Isaac Sim」を活用した仮想環境の構築に加え、遠隔操作(テレオペレーション)による動作データの収集、学習データの拡張といった、ロボットの行動学習に必要な一連の研究開発プロセスを整備した。
あわせて、視覚・言語・行動を統合したロボット基盤モデルであるVLA(Vision-Language-Action)の活用可能性についても、Prox Industriesが持つ技術的知見をもとに助言を行った。
これらの支援を通じて、ヒューマノイドロボットの学習データを効率的に生成・蓄積し、今後の行動学習に向けた検証を継続的に進められる研究開発基盤を構築できたとしている。
産業現場全般へのフィジカルAI実装を目指す
Prox Industriesは「日本から物理知能を実装する」を掲げ、AIとロボットの融合により、これまで人にしか担えなかった物理労働の領域に知能を実装することを目指す企業だ。フィジカルAIの中核技術を専門とする研究者・技術者が集い、国内エンタープライズ企業を中心に複数のフィジカルAIプロジェクトを手がけている。ヒューマノイドのほか、四足歩行ロボット、協働ロボット、モバイルマニピュレータなど多様な実機や、NVIDIA Omniverseを中心としたシミュレーション環境を活用し、シミュレーションと実機の間で技術を橋渡しするSim2Real・Real2Simを含む高度な技術課題に取り組んでいる。
同社は今後も、建設・製造・物流・インフラなど幅広い産業現場でのフィジカルAIの研究開発と社会実装を推進していく方針を示している。今回の清水建設との取り組みは、建設業界における汎用AIロボット実用化に向けた具体的な一歩として位置づけられそうだ。
ロボスタオンラインセミナー情報
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