
凸版印刷株式会社と株式会社ZMPはロボットを管理するクラウドシステムとエレベーターを制御するシステム間のセキュリティ通信に関する実証実験を2021年11月から2022年1月に実施し、IoTデバイス向けセキュリティソリューション「セキュアアクティベートサービス」の有効性を検証したことを発表した。
実証実験の背景と狙い
近年、AIやロボティクスの技術革新が進み、工場での生産ロボットだけではなく、ビルなどの施設内の案内や荷物の配達など、ロボットを実社会へ導入する検討が進んでいる。しかし、オフィスビルや商業施設では、施設入退場のセキュリティゲートの通過や施設内移動時のエレベーター利用などが、ロボット活用の障壁になっている。ビル内でのロボット活用を推進するためには、ロボットの制御システムとビル管理システム間の安全な連携が必要となり、セキュリティが確保された通信方法などが検討されている。
このような課題に対し、凸版印刷とZMPはまずロボットを管理するクラウドシステムとエレベーターを制御するシステム間のセキュリティ通信に関する実証実験を行った。
実証実験の概要と成果
実証では建物内に設置するエレベーターを制御するシステムに凸版印刷のIoTデバイス向けセキュアエレメント「Edge Safe」を組み込み、ZMPのロボット管理クラウドシステム「ROBO-HI」との間でデータを送受信した。また、凸版印刷の配信クラウドサービスから「Edge Safe」へ電子証明・鍵配信を行うことで、「ROBO-HI」間との暗号通信が可能となり、セキュリティ通信における凸版印刷のIoTセキュリティソリューション「セキュアアクティベートサービス」の有効性を確認できた。実施期間は2021年11月から2022年1月までの3カ月間。
ハッキングや不正アクセスをはじめとしたIoTデバイスのサイバー攻撃リスクに、高度なセキュリティを備える電子証明書・認証鍵配信サービスと、IoTデバイス向けセキュアエレメント「Edge Safe」提供・発行サービスの2つのサービスからなるサービス。
■ZMPの「ROBO-HI」について
ロボット管理クラウドシステム「ROBO-HI」(ロボハイ)は、施設や街単位でロボットを統合的に管理するプラットフォーム。ロボットやIoT、エレベーターなどの設備、各種業務システムと連携、人手を介することのないロボット群管理を実現するサービス。
今後の展開
凸版印刷とZMPは実証実験で得た知見を活かし、「Edge Safe」(ファームウェアや認証鍵、電子証明書などの重要情報を安全に格納できる電子部品)を組み込んだロボットとエレベーター制御システムや入退室ゲート制御システムとのセキュリティ通信による、ロボットの自立移動の検証を行う。安全安心なロボットの導入および、ビルのスマート化に向け、同サービスの開発を進めていく。
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山田 航也
横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。