STマイクロエレクトロニクス、初のAI拡張型スマート加速度センサを発表 低消費電力で高精度ジェスチャ認識が可能

STマイクロエレクトロニクスが、先進的な処理エンジンを内蔵しセンサの自律性を向上させた新しい加速度センサ「LIS2DUX12」「LIS2DUXS12」「LIS2DU12」を発表した。

LIS2DUX12、LIS2DUXS12 第3世代MEMS技術採用(MLC/FSMなどプログラム可能な機能搭載)
LIS2DU12 エントリ・レベルの加速度センサ


外部イベントに対するシステム応答時間の短縮と消費電力の低減に貢献

今回発表されたLIS2DUX12及びLIS2DUXS12は、STの第3世代MEMS技術を採用し、機械学習コア(MLC)や先進的なステート・マシン(FSM)、高性能の歩数計などプログラム可能な機能が追加されている。また、LIS2DU12はエントリ・レベルの加速度センサとなっており、比較的要件の厳しくないアプリケーションに利用が可能となっている。

LIS2DUX12、IS2DUXS12、LIS2DU12ともに最新の業界標準であるI3Cインタフェースを搭載。イベント検出用に共通のデジタル機能を搭載している他、低サンプリング周波数で高精度を実現するアンチエイリアス・フィルタが内蔵されており、わずかな消費電力で高精度のジェスチャ認識が可能だ。

LIS2DUX12およびLIS2DUXS12に搭載されたMLCが、人工知能(AI)アルゴリズムによる信頼性の高いアクティビティ検知を可能にし、FSMが動作の認識精度を向上させると同時に、センサ内部で自律的に処理が実行されるため、ホストによる通信・処理が不要で、大幅な消費電力低減とシステム応答の高速化が実現する。また、自己構成機能(ASC)が搭載されており、センサ単体で設定値(測定範囲や測定周波数など)を調整し、性能をミリアンペア単位で最適化できる。

LIS2DUXS12はST独自のQvar検出チャネルも搭載されており、周辺の静電環境の変化を検出して、ユーザ検知や近接検知が可能となっている。これにより、ユーザ・インタフェースの制御、液体の検知、生体認証センサ(心拍数モニタなど)といったアプリケーションに付加価値を提供する。ユーザ・インタフェースではQvarと加速度信号を組み合わせることで、ダブル・タップ動作やマルチタップ動作における誤検出を防止することができる。


センサの使用用途と価格

今回発表されたスマート加速度センサは、最新のウェアラブル機器、完全ワイヤレス・ステレオ(TWS)スピーカおよびイヤホン、スマートフォン、補聴器、ゲーム機用コントローラ、スマート・ウォッチ、アセット管理システム、ロボット、IoT機器などにおいてコンテキスト認識を実現するとしている。

3製品すべてにSTの最新の超低消費電力アーキテクチャが採用されており、超低消費電力機能をアンチエイリアス・フィルタと組み合わせることで、アプリケーションの性能を向上させ、信号から不要なノイズを除去出来る。また、すぐに使用できるMLCおよびFSMアルゴリズムをSTのMEMS GitHubのページから入手が可能となっており、複雑なジェスチャや資産管理など、さまざまなユース・ケースに簡単に使用することが出来る。

各センサの1000個購入時の単価はLIS2DU12が約1.20ドル、LIS2DUX12が約1.38ドル、LIS2DUXS12が約1.43ドルとなっており、12リードLGAパッケージ(2x2x0.74mm)で提供される。
なお、LIS2DUX12およびLIS2DUXS12は現在量産中となっている。

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ロボスタ編集部

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