セメント袋の運搬作業で電動一輪車の導入効果を検証 一般の一輪車と作業時間を比較 日本道路とCuboRexが提案する建設現場の未来

株式会社CuboRexは、2023年1月24日、日本道路株式会社と共同で、建設現場の運搬作業の効率化を実証する共同実験を実施した。その中で電動一輪車を使用した場合に、一般の一輪車と比較して、作業の効率化と効果に関する実験結果を公開した。

「E-cat kit2」を装着し、電動アシスト化した一輪車。農業、土木建設、インフラ工事、災害現場などで活用できる

日本道路は「技術の日本道路の永続的な進化の実現」をコンセプトとした研究開発のための複合施設「土浦テクノBASE」を整備している。今回、施設内の工事現場を模したフィールドで、CuboRexの「一輪車電動化キット E-cat kit2」のテストを行い、効果を検証した。その結果、通常の一輪車であれば相当な労力を要する勾配のある道でも、楽に運搬が可能になり、大幅な労力削減、作業効率向上が確認できたと発表した。





セメント袋を載せた状態で30mの距離を運搬、電動一輪車の効率化を検証

今回の実証実験は、省力化・省人化のための作業の機械化を推進する過程として、電動一輪車と一般的な一輪車を比較して、効率向上の程度を定量的に比較した。
作業内容は、運搬作業にCuboRexの「一輪車電動化キットE-cat kti2」を利用した「電動」一輪車を使用し、セメント袋を載せた状態で30mの距離を運搬。電動一輪車と一般的な一輪車を利用した際の登板に要する時間を比較した。


評価方法は、電動一輪車の肉体的負担軽減効果を5段階で評価。作業効率の向上を実感した割合を包括的に調査した。また、実際の現場での使用感を作業員8名にヒアリングし、定性的な効果も検証した。


一般的な一輪車と電動一輪車の運搬の様子の比較




実証実験の結果


定量的な効果

電動一輪車を使用した場合、運搬労力の負担が軽減され、毎回ほぼ一定の時間でセメント袋を運ぶことができた。
一方で手動の一輪車では、回を重ねるごとに疲労が蓄積され、所要時間が長くなる傾向が見られた。結果として、75kgの荷物を運ぶ際、電動一輪車を使用することで作業時間を約30%短縮できたことが確認された。

電動一輪車を使用することで作業時間を約30%短縮


定性的な効果

作業後のアンケート調査では、電動一輪車を使用した100%が「通常の一輪車に比べて疲労度が少ない」「作業効率の向上を感じた」「今後も使い続けたい」と回答。担当者からは75kgの重量を載せていても一輪車のバランスを取ることが容易であり、勾配のある道もスムーズに走行可能であったとの所感があった。
これらの結果から建設現場での当社の電動一輪車の大幅な労力削減、作業効率向上が確認された。


今後の展望

今回の実証実験を通じて、電動一輪車の導入が建設現場での作業効率向上と作業員の負担軽減に大きく貢献することが明らかになったという。この成果は、現場の「キツい」をロボティクスで軽減するという同社のミッションを体現するものと判断した。

CuboRexは「今後も当社は、技術進化をつづける日本道路をはじめとする建設業界と協力を深め、建設作業現場のDXを促進し、より安全で効率的な作業環境の実現を目指します。」とコメントしている。


実証実験実施の背景


建設・土木業界の市場と課題

国土交通省の調査によれば、建設業界の就業人口は年々減少し、高齢化が進んでいる。現在60歳以上の技能者が全体の約1/4を占めており、10年後にはその大半が引退すると見込まれている。現場の急速な高齢化と若者離れが深刻化する中で、人材の有効活用と現場の生産性向上のためのDX推進が急がれている。

出典:国交省の調査資料
https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001493958.pdf

日本道路における省力化・省人化

日本道路でも同様の課題を抱いており、実験フィールドを整備し、省力化・省人化のための作業の機械化やロボットの導入に積極的に取り組んでいる。
最重要課題は工期の短縮で、それには現場の安全かつ効率化が鍵となっているという。
今回、電動一輪車を新たな試みとして利用することで、現場の効率化につながる期待から、共同で実証実験を実施することになった。

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ロボスタ編集部

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