
大阪けいさつ病院は7月22日、国内初となる手術支援ロボット「ダビンチ5」を使用した直腸がんに対する低位前方切除手術を実施したと発表した。執刀を担当したのは、同院消化器外科の竹政伊知朗院長補佐。
大阪けいさつ病院にて手術後の記者取材に応じる竹政 伊知朗 院長補佐
最新技術により手術精度を向上
今回導入されたダビンチ5は、米国製の手術支援ロボットで、第4世代の旧モデル「ダビンチXi」の最新版。同院では7月19日に同機器を導入し、わずか3日後に初回手術を実施した。
新機種での主な改良点は3つ。1つ目として、手術精度の向上が挙げられる。ダビンチ5専用鉗子を用いた「フォースフィードバック機能」により、よりリアルな触覚で術者の操作精度向上が見込まれる。
2つ目は、効率的な低侵襲手術をもたらす設計だ。150以上の設計見直しによって効率的なワークフローを実現し、術者の自律性が高まることで手術時間の短縮とラーニングカーブの早期向上が期待される。
3つ目は、AIによる術後評価と改善機能で、手術データの解析を通じて、術後の経過や治療方針の最適化が可能となる。
手術を行う消化器外科 高橋副部長、朴医長
狭い空間での精密手術を安全に実現
竹政氏は今回の手術について、「直腸がん手術では、特に骨盤内の狭い空間で行うため非常に繊細な操作が求められるが、進化したロボットの高精度な動作により、神経や臓器へのダメージをより抑えた安全な手術が可能となった」と評価している。
コンソールで操作をする竹政院長補佐
同氏は、導入したデュアルコンソール(コントローラー2台での操作)システムにより、術者と助手の連携がさらに強化されたことにも言及。AI解析機能の搭載と合わせて、次世代の外科医育成にも貢献するものと期待を示している。
手術支援ロボットの導入は、医療業界における自動化・高精度化の流れを象徴している。特に複雑な手術において、人間の技術とロボット技術の融合により、患者への負担軽減と治療成果の向上が同時に実現されつつある。
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