大阪けいさつ病院では、2025年1月8日に日本初となる、手術支援ロボットの最新機種「ダビンチSPサージカルシステム(ダビンチSP)」を使用した胃の手術を消化器外科主任部長 大森健 医師執刀のもと実施した。ダビンチSPはインテュイティブサージカル社が開発した手術支援ロボット。
1つの創で胃がん手術
大阪けいさつ病院で2025年1月の新病院オープンに合わせて単孔式のダビンチSPを導入。
今回手術で使用したダビンチSPは、従来型のダビンチXiが複数の創から手術を行うのに対し、1つの創で手術を行うことができ、手術を受ける患者の身体への負担の少なさから、術後の早い回復や傷口の整容性の向上などが期待されている。
実際、今回の手術を受けた患者からは、「痛みがほとんどなく、快適な入院生活を送ることができた」との言葉をもらったとしている。
現在、大阪けいさつ病院の「先端ロボット手術センター」では、従来型であるダビンチXi2台に今回導入したダビンチSP1台を合わせた計3台の手術支援ロボットが稼働し年始より積極的に手術を行っており、今後も最先端の医療機器を駆使し大阪から日本の医療をリードしていくとしている。
執刀医からのコメント
大阪けいさつ病院 消化器外科主任部長 大森健 主任部長
今回、1月8日に行いました手術は、日本初(おそらく世界初)となる追加ポートを一切使用せず、純粋に1つの傷のみで行うダビンチSPによるPure単孔式ロボット胃切除術です。従来の報告では、単孔式+1ポート、もしくは+2ポートを追加したReduced Port Surgeryが主流であり、理由は技術的な難易度の高さに起因するとされています。
当院は2009年に世界初の単孔式腹腔鏡下胃切除を実施して以降、単孔式手術の先駆けとして知られております。私は2014年から2024年6月まで大阪国際がんセンターにて年間300例の胃がん手術を行い、これまでにロボット手術を1000例以上経験してまいりました。単孔式胃がん切除術も500例以上行い、今回のPure単孔式手術を完遂できたのは、この経験の積み重ねによるものと考えております。
1つの傷にこだわる理由は、患者様への負担を最小限に抑えたいという想いからです。外科医は、自分が行いやすい手術ではなく、患者様にとって優しい手術を提供すべきであるという信念を持っております。
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