8年前、4m級の巨大ロボットが戦う日米決戦があった!熱狂した壮絶デュエルを振り返る

その昔、太陽系の第3惑星で4mの巨大ロボットによる日米決戦が行われた・・
これはSF映画の話ではなく、実際に起こった現実の話。
巨大ロボ「クラタス」衝撃のデビュー
2010年代に入った頃、巨大ロボットを実際に動かす夢を形にしたプロジェクトが国内で進められていた。「水道橋重工」が2012年に発表した搭乗型人型ロボット「クラタス(KURATAS)」である。
高さ約4メートル、重量約4トンの巨体が動く姿は世界中の注目を集め、エンターテインメント性と技術力の象徴となった。
■KURATAS in WONDER FESTIVAL 2012 SUMMER
「クラタス」のコックピットに乗って操縦したり、外部からコントローラで遠隔操縦したりする様子が動画でも公開され、巨大ロボットの夢の実現に世論は沸き上がった。また、実際にAmazonでも販売がアナウンスされた。
■KURATASの乗り方 – 水道橋重工
MegaBotsからの挑戦状
一方、アメリカではスタートアップ企業「MegaBots」が2014年に「Mark II」「Eagle Prime」といった4m級や4m級超の巨大ロボットを開発。軍事産業の文化を背景に「ロボット同士の格闘ショー」を構想していた。
■MegaBots at Maker Faire 2015: World Debut of the Mk. II Mech
2015年6月にそれは勃発した。MegaBotsがYouTubeを通じて日本の水道橋重工に挑戦状を叩きつけ、「クラタスよ、4m級ロボット同士で決闘しよう」と公開宣言したのだ。
動画では「君たちには巨大ロボットがある。僕たちも巨大ロボットを手に入れた。次に何が起きなきゃならないか分かるだろう? 決闘を申し込む。1年後に戦おう」と挑戦状をたたき付けた。
■USA CHALLENGES JAPAN TO GIANT ROBOT DUEL! (2015.7.1)
水道橋重工「挑戦を受けて立つ」
これに対し水道橋重工はYouTubeで巨大ロボット決戦を受諾。「もうちょっとカッコよく作れよ」と挑発、「ただ撃ち合うだけではなく、格闘戦に耐えられるようにして来い」と返答した。
こうして世界中のファンを巻き込み、「日米ロボット大決戦」という形で話題が急拡大していった。
■RESPONSE TO ROBOT DUEL CHALLENGE.(2015.07.06)
その後、米国側はスポンサーを集めロボットを大幅に改造、日本側も調整を進め、決戦に向けて準備が整えられていった。
■MegaBots Season 1 Trailer (2016.9.15)
■GIANT ROBOT DUEL TEASER #2 (2017.10.17)
2017年10月、ついに夢の「巨大ロボット日米決戦」開催
2017年10月、場所は非公開で試合が行われ、ネットで全世界に配信された。ルールは「2本勝負」で、重量級ロボット同士が実際に接触・破壊可能な武装で戦うという演出を伴ったショーマッチ形式であった。
第1戦ではクラタスとメガボット「Iron Glory」が対戦。スピード感ある射撃と動きでクラタスが優勢に立ち、見事勝利を収めた。日本製ロボットの完成度を見せつけた瞬間である。
しかし第2戦では、メガボットの最新機「Eagle Prime」が登場する。
巨大ロボ、日米決戦の勝敗は
第2戦では、メガボットの最新機「Eagle Prime」が登場。全長約5メートル、重量12トンを超える超巨大な怪物マシンで、重機アームのような武器やチェーンソーを備えていた。
クラタスは果敢に立ち向かったものの、圧倒的なパワー差の前に押し切られ、最終的にEagle Primeの攻撃によって敗北。結果は1勝1敗の引き分けの形で収められ、両者の健闘を称えて幕を閉じた。
この対決は、単なる勝敗以上に「人が乗り込んで操縦する巨大ロボットが本当に戦う」姿を世界に示した点で意義が大きい。エンターテインメントとしての可能性、ロボット工学やメカ文化の未来を象徴するイベントとなり、日本と米国の技術者たちの情熱を世界に強烈に印象づけた。
巨大ロボット「クラタス」の制御システムとして実装されていたのが、アスラテックの吉崎航氏が開発した「V-Sido」(ブシドー)。その後、実物大の動くガンダム(通称:横浜ガンダム)をはじめ、数々のロボットに制御システムとして実装され、活躍している。
■動画 THE GIANT ROBOT DUEL
V-Sidoの開発者、吉崎航氏がオンラインセミナーに登壇!ヒューマノイドについても聞きます
ロボスタオンラインセミナーとして、アスラテックの吉崎航氏にご登壇頂き、「【オンラインセミナー】動く・乗る・魅せる!巨大ロボの最前線 ロボット制御システムV-Sido開発者の吉崎航氏が描く AI時代のロボット制御の未来」を2025年9月8日(月)に開催します。
巨大ロボット「クラタス」や「動くガンダム」、巨大四脚歩行ロボット「SR-02」など、長年にわたり多様なロボット制御に携わってきた経験から得たノウハウやエピソード、巨大ロボットを動かすうえでの苦労、そしてAIとの連携によって進化しつつあるロボット制御のこれから、更に吉崎氏から見た昨今のヒューマノイドのニュースや実用化の未来、実用性の壁など、リアルな視点を深掘りします。
また、万博で2025年9月に公開予定の新型の巨大ロボットに関する最新情報もお届けします。
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