マイクロサージャリー支援ロボットのF.MED シリーズAラウンドで4.3億円の資金調達 マイクロサージャリー手術とは

九州大学病院で開発されてきた手術支援ロボット(マイクロサージャリー支援ロボット)の事業化を目指して設立したスタートアップ企業のF.MED株式会社は、Diamond Medino Capital株式会社や株式会社FFGベンチャービジネスパートナーズをはじめとする7社を引受人とする第三者割当増資を通じ、合計4.3億円の資金を調達したことを発表した。同社はマイクロサージャリー支援ロボットを通じて患者のQOLと予後の劇的な改善への貢献をめざす。


今回調達した資金は製品の開発に加えて、医療機器承認取得に向けた試験の実施や組織の拡充等に活用するとしている。


4.3億円の資金調達を実施

マイクロサージャリーを支援するロボットを開発するF.MED株式会社は、既存投資家である株式会社FFGベンチャービジネスパートナーズ、大分ベンチャーキャピタル株式会社に加え、新たにリード投資家としてハンズオン型ベンチャーキャピタルであるDiamond Medino Capital株式会社と、スター精密株式会社、JMTCキャピタル合同会社、肥銀キャピタル株式会社、三菱UFJキャピタル株式会社を引受人として、シリーズAラウンドにて4.3億円の資金調達を実施した。



マイクロサージャリーとは

マイクロサージャリーは顕微鏡を使い、直径1mmに満たない血管や神経などを手作業で縫って繋いだり、腫瘍を摘出したりする手術の技術。
例えば、がん治療の後遺症であるリンパ浮腫の治療や、がん手術や事故で生まれた体の欠損を移植で治す、あるいは詰まりそうな血管を回避するための迂回路(バイパス)の作成など、人の生活の質(QOL)や予後を劇的に改善させる手術に活用できる。
一例として世界に2.5億人の患者が存在するとされるリンパ浮腫の場合、現在主流である徒手的なマッサージやストッキング装着などにマイクロサージャリーを活かした外科的な治療(リンパ管静脈吻合)を加えると、大きな改善が見込まれるとされている。

しかし、細かな作業をする際に生理的な現象として発生する手振れを制御しつつ、マイクロサージャリーに求められるごく繊細な器具操作を習得することが非常に難しいという技術的課題がある。その結果、実施できる医師が限られているのが実情。また、既存の手術支援用ロボットでもマイクロサージャリーに求められるごく細かな作業には対応できていないという。


マイクロサージャリー支援ロボットとは

F.MEDは独自はリニアモータで駆動する微細作業用マニピュレーターを搭載したロボットを開発。微細な作業が求められる課題解決を目指す。


マイクロサージャリー支援ロボットは医師が操作する。微細作業用マニピュレータは例えば操作を20分の1等に縮小することができ、手振れを制御して忠実に再現して手術が実施できる。ロボット支援によりマイクロサージャリーに求められる極微細な器具操作がよりやりやすくなり、手術成績や安全性の更なる向上への貢献が期待できる。


また、今までは習得に年単位の期間が必要だった訓練期間の大幅短縮も期待できる。その結果、多くの患者のQOL改善や社会生活復帰に貢献するだけでなく、医師不足解消や生産性の向上にも役立つと考えられる、としている。


今後の展望

現在製品は開発中の段階だが、早期に医療機器承認取得を完了し、患者のQOLや予後の改善に貢献できる様に引き続き取り組む考えだ。

まずは安全かつ有効に動作するロボットを患者の治療に使える状態とする。将来は遠隔医療や術者の判断支援など、使いやすく、手術の安全性や有効性をより高められ、医療技術の標準化にも貢献できる付加機能の開発にも取り組む。

関連サイト
F.MED株式会社

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