リバーフィールド株式会社と東京慈恵会医科大学附属柏病院は、「触覚」を有する手術支援ロボットシステム「Saroa サージカルシステム」を用いた泌尿器科領域での初症例を、慈恵医大柏病院で2023年8月16日に実施し、無事に手術が終了したことを発表した。
「Saroa」(サロア)による泌尿器科領域の初症例は、慈恵医大柏病院 泌尿器科 三木淳診療部長により前立腺がんの手術が実施されたという。
「触覚(力覚)をフィードバック」する機能を搭載した手術支援ロボット
近年、外科手術において術後の回復が早い、傷口が小さいなどの利点から、低侵襲な内視鏡外科手術における手術支援ロボットでの治療が増加の一途をたどっている。手術支援ロボットは、手振れ防止機能や手術に使用する術具(鉗子)に関節があることで精密に操作を行うことができ、外科治療において手術支援ロボットでの治療が今後さらに普及すると予想されている。
「Saroa」は、独自の空気圧精密制御技術を活かし、手術に使用する鉗子にかかる力を検出し、執刀医に「触覚(力覚)をフィードバック」する機能を搭載している。従来にはなかった触覚(力覚)を有することにより、自分の手で直接手術しているような感覚が得られ、手術の精度がより高くなると期待されている。
「Saroa」は2023年5月に製造販売承認を取得
手術支援ロボットシステム「Saroa」は、リバーフィールドと東京工業大学、東京医科歯科大学が共同開発した手術支援ロボットシステムで、2023年5月に製造販売承認を取得した。「Saroa」には次のような特徴がある。
製品の特長
(1)触覚(力覚)フィードバック機能
従来の手術支援ロボットは、カメラ映像から得られる視覚情報にのみ依存している。「Saroa」には、鉗子が握る力(把持力)を制御情報から推定し、医師が操作するコントローラにフィードバックする機能を搭載している。これにより、ロボットを操作する医師は、自分の手で直接手術しているような感覚で手技を行うことができ、患者様に対して、より安全で高精度な手術の実現が期待できる。
(2)省スペース
空気圧駆動を採用することで、医師などが至近距離にいる場合においても十分なスペースを確保できる軽量・小型なデザインを実現。これにより、手術室間・施設内の移動もしやすく、より柔軟な運用が可能。医療関係者にとって安全な設計となっている。
(3)オープンプラットフォーム
「Saroa」では、様々なメーカーの内視鏡、モニタ及び電気メス装置を組み合わせて使用することができる。病院ですでに保有している装置を使用できるため、導入コストの低減化を実現する。
執刀医師のコメント
今回、初症例をおこなった三木診療部長は下記のようにコメントしている。
三木診療部長
既存の手術支援ロボットと比べても操作性に遜色なく、順調に手術を行うことができました。泌尿器科領域では、もともと最もロボット手術が普及していますが、今回新たな手術支援ロボットが使用できるようになることは、選択肢が増えるだけでなく、手術手技の進歩にも役立つため、大変喜ばしいことです。従来の手術と異なり、触覚があること、小型であることなどから、安全な手術という観点からも、さらに多くの患者さんに貢献できると考えます。
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