医療機器メーカーとしてグルーバルに展開するメドトロニックの日本法人、日本メドトロニックは1月16日(月)に報道関係者向けにメディア体験会を開催したことは既報「メドトロニックが最新の手術支援ロボットシステム「Hugo」を公開 X線設備付き研修トラックやMR技術など5つの最新医療ICT体験会」のとおり。
普段は詳細に公開される機械がそれほど多くはない医療システムが体験できることは、報道関係者にとっては有意義な機会であるとともに、その様子やシステムを詳しく知りたいと感じている読者も多いことだろう。
そこで今回は、同社の注目の手術支援ロボットシステム「Hugo」の体験会の様子を動画を中心にお届けしよう。「Hugo」が初心者にも簡単に、かつ直感的に操作できることがわかると思う。なお、現時点で当該機器における保険診療含む対象は泌尿器科および婦人科の手術となっている。
■報道関係者に公開された「Hugo手術支援ロボットシステム」と体験会
手術支援ロボットシステムと「Hugo」の特長
なお、前回も紹介したが、「Hugo 手術支援ロボットシステム」は外科手術で医師の鏡視下手術を支援するシステムで、複数のロボットアーム(鉗子)と内視鏡を使って、お腹の内部を微細に渡って施術することができる。大きくお腹を切る開腹手術と比較して、鉗子や内視鏡を通す複数の小さな穴を開けるだけで済むので、患者の身体的なダメージが低く、回復や退院の期間が少なくて済む「低侵襲手術」と呼ばれている(ちなみに筆者はロボット支援手術を患者として受けた経験がある)。
「Hugo 手術支援ロボットシステム」の特長のひとつは、手術室内の可動性を高めるアーム一本単位での位置調整が可能なデザインを持つこと。
従来の手術支援ロボットシステムはひとつのボディに複数のアーム(鉗子)が搭載されていたが、「Hugo 手術支援ロボットシステム」は1つのホディに1本のアームを持つデザインを採用。それぞれが独立したアーム(鉗子)のため、症例や患者に応じて柔軟にアームを配置できる。
また、従来の手術支援ロボットシステムでは、施術画面をスコープのように覗きこむ形状が一般的だったが、Hugoは「オープンコンソール」を採用、術者が見ている操作画面を複数人で同時に確認でき、他の手術室スタッフとの顔を見てのコミュニケーション等も容易になるように工夫されている。
日本内視鏡外科学会 理事長のコメント
大阪赤十字病院 病院長、及び日本内視鏡外科学会 理事長の坂井義治先生は次のようにコメントしている。
坂井義治先生
「ロボット手術は2012年の前立腺手術の保険適用から10年で5つの専門領域において25以上の手術が保険適用となり発展の目覚ましい領域です。外科手術において長らく培ってきたエビデンスのある手術手技と、手術支援ロボットならではのテクノロジーを共に活かすことで更なるロボット手術の発展が期待でき、患者さんの身体的負担軽減と治療結果の向上を目指す我々外科医にとって喜ばしい事です。
サージカルロボティクスAPACシニアマーケティングダイレクター 中川玲子氏は次のようにコメントしている。
中川玲子氏
国内における手術支援ロボットは、診療報酬制度並びに国内医師の高い技術力により急速に普及しています。Hugo RAS システムは、低侵襲手術における当社の60年に渡るテクノロジーを基盤としています。今日および将来の手術ニーズを満たすために熟考されたロボット支援手術システムを日本の医師へ、そして患者さんへ提供できることをうれしく思います。
なお、その他の詳細も前回記事で掲載しているのでそちらも併せて参照して欲しい。
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神崎 洋治神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。