東京大学とデンソーが社会連携講座を共同開設、AI技術活用で次世代生産システム構築へ

国立大学法人東京大学大学院工学系研究科と株式会社デンソーは、2025年4月1日(火)から社会連携講座「AI技術を活用して持続発展する次世代生産システム運用基盤の構築」を共同開設すると発表した。
日本製造業の課題解決を目指す
日本の製造業は、リーンマニファクチャリング技術(無駄を徹底排除した効率的な生産方式を実現する生産管理、現場マネジメント手法)を強みとする一方で、労働人口の減少や熟練知識の継承難といった深刻な課題に直面している。これらの課題を克服し、持続的な成長を遂げるため、生産現場におけるデジタル化の推進とAI技術の活用が急務となる。
生産現場には日々膨大なデータが蓄積されているが、それを十分に活用しきれていない現状がある。また、熟練者が持つ技能や判断力などの熟練知識は、形式知化が難しい暗黙知となっており、その継承が大きな課題となっている。
講座概要と研究内容
本講座は2029年3月までの4年間、東京大学大学院工学系研究科に設置される。担当教員には太田順教授、梅田靖教授、原辰徳准教授、上西康平特任講師が就任。
具体的な研究内容として、以下の3つの柱が設定されている。
生産システム運用時の稼働データ分析プロセス・ロジックの知識体系化
生産現場から得られる稼働データをどのように分析し、改善につなげるか、そのプロセスとロジックを再利用可能な知識として体系化する。
稼働データと工程・設備モデルからの情報抽出、異常原因と対策案の分析・推論
センサーデータや画像などの詳細な稼働データと、生産工程や設備のモデルを組み合わせ、AIを用いて有益な情報を抽出していく。それを踏まえて、生産上の異常原因やその対策案を自動的に分析・推論する技術を開発する。
生産システム運用基盤の持続的発展のためのモデル・知識管理
開発した知識モデルや蓄積した知識を常に最新の状態に保ち、生産システムが持続的に進化・発展していけるような、効果的なモデル管理および知識管理の手法を構築していく。
教育プログラムへの展開
本講座で得られた研究成果は整理・体系化され、AIやデータを活用する未来のモノづくりを担う人材を育成するための教育プログラムとして展開される。これにより、将来の製造業を担う人材育成にも貢献することを目指している。
記念シンポジウムを開催
講座の発足を記念して、2025年10月21日(火)14:00から17:30まで、東京大学本郷キャンパス工学部5号館1階51号室およびオンライン(Zoom)で公開キックオフシンポジウムが開催される。
参加費は無料で、講座メンバーによる研究内容の紹介や登壇者によるパネルディスカッションを通じて、次世代の生産システムのあり方について考察する場となる。
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