全方向移動ユニット「PalGo高荷重タイプ」日本精工&人機一体の共同開発プロジェクト

日本精工株式会社(NSK)と株式会社人機一体は、重量物の搬送と全方向移動の両立を目指した「アクティブキャスタPalGo 高荷重タイプ」の共同開発プロジェクトを2024年3月より進めていることを発表した。

 

プロジェクトの背景と目的

NSKが開発したアクティブキャスタPalGoは、前後左右、回転も含めた自由な動き(全方向移動)を実現する駆動ユニットである。2022年の国際ロボット展でコンセプトモデルを初出展し、2024年4月にはNSKが医療現場の負担軽減を目的として実用化した搬送アシストロボットMOOVO(ムーボ)に搭載され、初めて市場投入された。

一方、人機一体では倉庫内などの狭小空間に対応し、重量物搬送に耐えうる全方向移動ユニットを探索していた。このような背景から、両社のニーズが重なり、2024年3月よりアクティブキャスタPalGoの高荷重対応化に向けた共同開発を開始している。

※PalGo(Pal:相棒、Go:駆動、前進)という商品名には人とロボットの共存に役立つユニットになってほしいという気持ちが込められているとのこと。

 

デザインコンセプトと特徴

PalGo高荷重タイプの製品化・実用化を推進するため、「零式人機」などのデザインを担当する有限会社znug designの根津孝太氏をプロジェクトに迎えた。同氏はコンセプトスケッチおよびデザインマネジメントを担当する。

機械設計・意匠デザインにおいては、人機一体が「零式人機」シリーズで根津氏と共同で培ったデザインシステムを採用し、「力の流れの可視化」をコンセプトに、駆動・旋回機構の動きを外装意匠として表現している。

 

デザインコンセプト

・inside out:内部の美しいメカを魅せる・差動の力の流れを可視化
・差動を生むベベルギアを、象徴的なモチーフとしてグラフィカルに表現
・アイコニックさ・キャラクター性を感じさせる、塊感のあるただずまい

PalGo高荷重タイプには2基のモータの差動機構による駆動機能と旋回機能が搭載されており、そこで生まれる「力の流れ」を、視覚的に象徴するオレンジのラインで外装上に表現する。これにより、駆動・旋回の自在な制御性能がひと目で伝わる「機能美」を実現するデザインを目指している。

 

iREX2025への出展予定

両社は、2025年12月に東京ビッグサイトにて開催される2025国際ロボット展「iREX2025」に出展する。東7ホールにて共同での展示を計画しており、詳細は2025年11月頃に改めて発表予定である。

 

関係者のコメント

株式会社人機一体 知財開発部 野村方哉氏は「狭い空間で重量物を安全かつ自由自在に搬送したいというテーマに対して、高重量物に対応したPalGo高荷重タイプの開発をNSKと進めてまいりました」とコメントした。

有限会社znug design 根津孝太氏は「高品質と信頼性で世の中の『うごく』を支え続けてきたNSKと、フィジカルな苦役を無用とすることを理念とする人機一体のコラボレーションは、次代を動かすものになると確信しています」と述べている。

日本精工株式会社 技術開発本部 新領域商品開発センター 近藤大介氏は「『あまねく世界からフィジカルな苦役を無用とする。』という人機一体のミッションに共感し共同開発を開始しました」と語った。

 

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杉田 大樹