今回はデリバリーロボット、つまり物を配達をしてくれるロボット、その中で注目のStarship Technologiesを紹介したい。
同社の創業者はAhti Heinla氏とJanus Friis氏。もともと二人はSkypeの共同創業者でもあり注目度も高く、既に約20億円もの資金調達を完了している有力ロボットメーカーだ。モバイル技術、特別設計のロボット、地元の配送システムを組み合わせることで、配送をより迅速にスマートにそしてローコストで効率よく行うことを目指しているという。
配達ロボットの外見はシンプルだ。6輪の車輪を持ち、カメラ、センサー、制御システム、通信機器、LED、バッテリーを内蔵している。
ボディの蓋を開けると、中身は運搬物を入れるスペースが用意されている。想像以上にスペースは広く、内蔵するシステムは小型化されていることがわかる。
動作については、ほとんど自律的な自動運転をベースに、人間のオペレーターの遠隔での監視・操作を組みわせた仕組みとなっている。まだテスト段階においては、非常に賢いやり方だ。万が一のアクシデントは人間が操作すればいいのだから。
ロボットで配達するメリットは、コスト面が挙げられる。通常の配達費の1/10レベルまでコスト削減できるという。また車を使った運搬に比べて環境に対してクリーンであることもあげられる。一方、デメリットは万が一の事故などがあげられるが、現在のテスト中の事故は皆無であるという。配達する方、荷物を受け取る方、どちらにとってもメリットが大きい配達方法だと思われる。
実際の搬送には制限もある。5km半径の距離で配達が可能だが、それを超える距離は配達ロボット単体では行えない。この範囲であれば、配達時間は5分から30分という。荷物を受け取る人は、配達行程をリアルタイムでスマートフォンで確認できる。
安全設計も既に十分なレベルにある。移動速度は歩行者の速度と同じ、配送可能な荷物の重量は18kgまで、人や障害物を自動で避けることができる、受取人だけが蓋を開けて荷物を取り出せる、ロボットの位置は追跡されていると、かなり考え抜かれたシステムになっている。
動画で見る「Starship Technologies」のデリバリーロボット
ここからはこのロボットを動画で見ていきたい。
こちらは配達の仕組みを紹介する動画。
ロボット配達の紹介
こちらの動画では、自動的に配達を行う様子が紹介されている。
シリコンバレーでのテストの様子
2016年7月にシリコンバレーで行われたテスト。歩道走行、障害物回避、歩行者通過待ちなど90%の自立運転を達成し、無事配達を完了したという。
Robovanによるロボット配達の統合
Starship Technologiesとメルセデス・ベンツ・ヴァンが提携し「Robovan」と呼ばれる車両を開発。複数台の配達ロボットをバンに搭載し、バンの移動と、ロボットによる配達を組み合わせることで、効率的な輸送システムとなっている。
カリフォルニア州レッドウッドシティーでのテストの様子
2016年11月カリフォルニア州レッドウッド市で行われたテストの様子。15個のチョコレートクッキーを地元の家の家に無事届けることができた。現在、58都市16カ国でテスト中とのこと。
Starship Technologies
現在国内では宅配便サービスが業務過多が問題になっています。もし集荷施設から自宅までの短距離の配達は今回紹介したような配達ロボットが対応してくれるようになれば、宅配業者の業務負担、利用者のコスト負担のどちらも減らすことができるのではないでしょうか。道交法など諸々制度の話もあるとは思いますが、とても有意義なロボットの活用事例ですので、なんとか国内でもチャレンジしたいところですよね。
Starship Technologies