一般社団法人AIロボット協会(AIRoA)は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構委託事業の一環として、「国産汎用ロボット開発コンペティション」の参加企業のプレエントリー受付を開始した。
本コンペティションは、日本のロボット産業の競争力強化を目指し、実用レベルの汎用ロボット、具体的には双腕モバイルマニピュレーターの開発・製造を促進するものである。
プレエントリーは正式応募前の事前登録で、審査を通過した企業には詳細条件を含む実施要項が提供される。
開発・製造期間とコンペティションの流れ
コンペティション期間は2026年3月から9月までの6カ月間で、参加企業はAIロボット協会が指定する仕様に基づき汎用ロボットの試作機を開発・製造する。

評価は性能評価と実用化要件評価の2軸で行われる。性能評価では、協会が設定する評価タスクをテレオペレーション(遠隔操作)で実演し、成功率、スピード、出来栄え等の観点で審査。自律動作は評価対象外となる。実用化要件評価では、量産計画・普及計画、保守メンテナンス体制等の計画書が評価される。
評価基準を満たした企業は、2026年9月から2027年3月までの改良期間に進み、協会が提示する改善項目に基づいて改良機体を製造する。2027年3月までに一定台数の製造を完了した企業から改良機を納入し、改善項目の達成状況が評価される。
量産体制構築と活用計画
改善項目を達成した企業は2027年3月以降の量産体制構築期間に進み、量産体制を構築する。2027年7月以降、遅くとも9月までに量産機のファーストロットが完成することを条件に量産機を順次納入し、データ収集用ロボットとして活用を開始する。全数の一括完成および納入は不要とされている。
完成した量産機は、NEDO委託事業「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/ロボティクス分野の生成AI基盤モデルの開発に向けたデータプラットフォームに係る開発」のロボット基盤モデル開発に用いるデータ収集用ロボットとして活用される。
参加企業への支援内容
AIロボット協会は参加企業に対して複数の支援を提供する。開発・製造支援として、希望する参加企業には開発・製造に必要な一部ハードウェア部品の貸与、リファレンス仕様の提示等を通じて技術的に支援する。
販路開拓支援では、協会が実施する産業別ユーザー企業へのヒアリング結果を参加企業に共有し、市場ニーズに基づいた開発・製造を支援する。また、小売業、製造業、物流業、建設業等の導入候補企業とのマッチング機会を提供する。
2026年9月の実演イベントではメディア取材を予定しており、自社の技術PRや企業認知度向上に繋げることができる。
評価タスクと参加資格
評価タスクの概要としては、家庭環境を想定した多様な物体のPick-and-Place、清掃作業、扉開閉・部屋間移動、小売環境を想定した商品陳列・在庫管理作業、製造環境を想定した柔軟物操作、ツール操作、物流環境を想定した仕分け作業などが挙げられている。具体的なタスクリストは実施要項に記載され、プレエントリー後、審査通過企業に対して秘密保持契約締結の上、提供される。
参加資格は、日本国内で登記されている企業・団体であること、ロボット開発・製造の実績または計画を有すること、6カ月間の開発・製造期間に対応できる体制を構築できること、長期的な保守メンテナンス体制を構築できること、量産・市場展開を見据えた計画を検討できること、NEDO事業の規定に基づく各種契約条件に同意できることとなっている。複数企業によるコンソーシアム形式での参加も可能である。
プレエントリー後の流れ
プレエントリー後は、内容を参加資格・条件に照らして審査し、審査通過企業のみに10営業日以内(年末年始12月29日から1月4日を除く)を目処に連絡される。審査結果の理由は開示されない。
その後、実施要項の情報の取り扱いに関する秘密保持契約締結の上、実施要項と応募書類のフォーマットが提供される。実施要項確認後、正式応募を判断する流れとなる。

状況によりスケジュールを変更する場合があるとしている。


