「30分でわかる! Pepper(ペッパー)のすべて〜分解写真で見る仕組みと機能〜」に行ってきました。

11月21日(土)にベルサール秋葉原で開催された「TRENDY EXPO TOKYO 2015」に行ってきました。

こちらで「30分でわかる! Pepper(ペッパー)のすべて〜分解写真で見る仕組みと機能〜」という講演会が開催されました。内容の紹介はこちら。

 世界初の感情認識ロボット「Pepper(ペッパー)」。まるで感情を持っているかのように自ら行動し、利用者を理解しようとする。この講演ではペッパーが生まれた背景に始まり、ペッパーと暮らす人々の未来の生活を提示する。併せて「なぜ倒れにくいのか?」といった内部の構造や機能などハードウエアの側面も解説。特に内部の構造は、分解写真を使ってわかりやすく説明する。

解体されたPepperは「Pepper解体新書」や、日経ロボティクス読者限定イベントで見たことありましたが、内部構造の解説を聞いたことはなかったので、楽しみです。

 Pepper解体新書 – 日経テクノロジーオンライン
 http://techon.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20150618/423845/


今回の講師は『Pepperの衝撃』著者である、ITジャーナリスト神崎洋治さんです。(参考:『Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス』を読みました。

時間が30分とかぎられているので、以下のトピックから会場の挙手の多い順に話をしていただくこととなりました。どれも気になる内容です。

 1. Pepperって何?どんなロボット?
 2. なんで注目されてるの?
 3. ロボットは今後のトレンドなの?
 4. Pepperの中身や部品を知りたい
 5. AIや自立学習等、最新技術との関連
 6. これからの情報産業はどうなるの?
 7. ロボットのせいで失業するの?


Pepperのもっとも衝撃的なことは、「現時点では人々が期待しているようなもの凄いことはPepperにはできない」です。

毎月1,000台が1分で完売するくらい、Pepperは人気です。導入企業も続々増えており、話題性は十分にあります。

2014年6月、Pepperの一般発売を発表した時にも衝撃が走りました。「人類史上はじめて、ロボットに心を入れることに挑戦する」と孫さんが言ったからです。

自立的に行動する、感情を認識する、自ら感情を持つことに挑戦するロボットこそ、Pepperなのです。


Pepperのハードウェアについてです。

まず「見る、聞く、話す、考える」ハードウェアについてです。

そして、Pepperの頭部についてです。

頭部の内部構造です。頭部にはCPUとその基盤が実装されており、比較的簡単に交換が行える構造になっています。

身体のセンサー類です。様々な場所に多くのセンサーが付いていることが分かります。

Pepperは多くのセンサーで状況判断を行い、アプリケーションを自律制御する独自のアルゴリズムを搭載しています。衝突を回避し、Pepper自らバランスをとって転倒を防ぐ様々なセーフティ機能を搭載しています。

Pepperの部品点数は、約5,000点。

バッテリーのような重い部品は下に配置されています移動手段としてオムニホイールを採用し、バッテリーを下半身に設置したことで、バッテリー駆動時間が12時間前後としたことがPepperの衝撃です。

今までの二足歩行のロボットだとバッテリーは1時間前後しかもちませんでした。

というのも、二本足だとバッテリーの設置場所がどうしても身体の中央となります。するとバランスが悪くなり、倒れなくするためにセンサーを多く付ける必要が生じます。結果、バッテリー持ちが悪くなってしまうのです。

Pepperに搭載されているCPUです。

最初に先行発売されたデベロッパー版は、Atom Z530シングルコア(32/512kB/1.6GHz)です。一般発売版は、Atom E3845クアッドコア(64/2MB/1.91Ghz)です。

頭部と冷却ファンの構造です。

Pepperの背中の部分です。

手の部分の構造です。コミュニケーションロボットなので、Pepperに握力はほとんどありません。

Pepperのモーターです。

場所によって、ブラシモーターとブラシレスモーターが使い分けられています。下半身にはブラシレスモーターが使われていて、耐久性が高い、消耗しない、比較的静か、などの利点があります。


Pepperの感情認識エンジンについてです。

聞き取る声の抑揚によって、人間の感情を認識します。

Pepper自身の感情についてです。

光吉氏が開発した「感情マップ」を実装して、Pepper自身に感情を持つことを実現しました。

Pepperの感情部分については、以下の記事で詳しく紹介されています。

 なぜロボットに感情が必要なのか、ソフトバンクの熟慮(上):ITpro
 http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/14/090100053/082700077/

 なぜロボットに感情が必要なのか、ソフトバンクの熟慮(下):ITpro
 http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/14/090100053/082700078/

また、光吉氏による資料にも、詳しく紹介されています。

 「音声脳神経分析技術の応用」心を定量計測する技術
 http://www.agi-web.co.jp/docs/Univ-Tokyo.pdf


Pepperは、時代の先端技術となる「クラウド ビッグデータ」「Iot」「AI 人工知能」「ディープラーニング」「ノイマン型から脳型コンピュータへ」「シンギュラリティ(技術的特異点)」などのハブになる可能性があります。

Pepperはインターネットにつなぐことができるので、クラウドロボティクスの可能性が広がります。

また、PepperはIBMワトソンと接続が予定されています。

IBMワトソンと繋がることにより、Pepperが人間の意思決定を助けるロボットとなる可能性が有ります。

講演の最初に「現時点では人々が期待しているようなもの凄いことはPepperにはできない」とありましたが、Pepperがインターネットと接続することにより、いろいろな先進技術を活用することで、大きな可能性を秘めたロボットという点が「Pepperの衝撃」ということでした。

今日の講演会は以上です。

もっといろいろ知りたい方は、神崎さんの著書『Pepperの衝撃』をおすすめします。

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北構 武憲

本業はコミュニケーションロボットやVUI(Voice User Interface)デバイスに関するコンサルティング。主にハッカソン・アイデアソンやロボットが導入された現場への取材を行います。コミュニケーションロボットやVUIデバイスなどがどのように社会に浸透していくかに注目しています。

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