AIを活用した無人店舗「モノタロウ AIストア」、通販大手モノタロウとオプティムが実証実験

TV CMで見たことがある人なら聞き覚えがあるだろう「モノタロウ」。工業用間接資材の通信販売の大手で正式名称は株式会社MonotaROだ。2018年3月時点で、業務用工具やツールなど取扱商品数は約1500万品にのぼり、約282万人のユーザーがいる。売上高は約883億円。

無人店舗と言えば、米国の「Amazon Go」が衝撃的だったが、日本国内でも無人店舗の実証実験が着実に進められている。このシステムにはディープラーニングが導入されている。ディープラーニングに関するイベント「DLLAB DAY 2018」の出展ブースゾーンで、オプティムの鈴木氏に話を聞いた。

株式会社オプティム プラットフォーム事業本部 マネージャー 鈴木浩嗣氏


無人店舗「モノタロウ AIストア」のしくみ

店舗を持たない「モノタロウ」が、今年4月に初めて持った店舗は、佐賀大学内の無人店舗だ。名称は「モノタロウ AIストア powered by OPTiM」。各種工具から、研磨剤、軍手・作業服・テープなどの作業用品、素材、材料や、大学での研究用材料など約2,000アイテムを扱う。
無人という意味は店舗内にスタッフがいないという意味。店舗には商品が棚に並んでいるので、商品の補充や並べ替え、掃除をする人、システム管理者はいるのだろうが、レジにもスタッフはいない。

「モノタロウ AIストア powered by OPTiM」(イメージ:現在は実際に国立大学佐賀大学構内オプティムイノベーションパーク内で開店している)

来店客は自動のゲートから入店し、並べられた棚から商品を手に取り、品質や機能を確かめた上でスマートフォンでオンライン決済し、商品はそのまま持って出口ゲートから出ることができる(商品は持ち帰ることができる)。

入店前にアプリでログインして「入店コード」を発行する

スマートフォンに表示された入店コードを入店ゲートに見せて店内へ

ユーザーは店内で約2000点の商品類を手にとって確認することができる

もちろん店内に複数の来店客がいてもトラッキングできる

気に入った商品があれば、店内で決済すれば、そのまま持ち帰ることができる

顧客が決済をせずに店舗を出ようとすると出口のゲートが開かず、支払いを完了して欲しい旨の音声メッセージが流れる。

決済していない場合、出口のゲートは開かず、決済を促すメッセージが流れる

「モノタロウ AIストア」利用イメージ(流れ)

店舗内に設置した5台のカメラによる映像、入退店ゲート機器の情報と、キャッシュレス・セルフ決済を行うスマートデバイス用アプリ「モノタロウ店舗アプリ」、オプティムの店舗管理支援サービス「Smart Retail Management」と連携することで、店舗内のカメラや入退店ゲート、各種センサーを制御するとともに、取得したデータをAIが解析し、マーケティングに活用できる来店状況の分析などを行うことができる。

店舗管理支援サービス「Smart Retail Management」による分析

店舗内の人の流れや動線などを知ることができるヒートマップ

店舗には実際にスタッフがいないので、出口ゲートでコンピュータが決済を促す注意を行っても、それを振り切り、ゲートを乗り越えて逃げることも現実的にはできてしまうだろう。しかし、入店時にログインする手続きが必要なこと、さらには複数台のカメラが撮影していることで、万引き犯罪の抑止になっていると言う。また、一度万引きをした顧客については、次回の入店から入口で判別して入店を許可しない手段もとれるため、現状では万引きによる被害はほとんどないと言う。

今後、無人店舗を運営するにあたって必要となるさまざまな問題点を実証実験で検証した上で、防犯検知などの自社システムとの連携も視野に入れながらセキュリティの精度を向上していくことも考えられるとのこと。また、その他の地域や企業との連携して、無人店舗を検討していく予定もあるとのことなので、今後の展開がとても楽しみだ。

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神崎 洋治
神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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