ロボスタハッカソンが開催! ドコモのAIエージェントAPIを活用し、最優秀賞に輝いたのは?

3月16日〜17日の2日間、東京・渋谷のドコモR&Dサテライトスペースにて、ロボットスタート主催のハッカソンが開催されました。協力企業にNTTドコモを加えて、ドコモのAIエージェントAPIを活用した作品を競うハッカソン。本記事では、この2日間の模様をお届けします!



音声UIで何ができるか

初日午前には、パネルディスカッションも行なわれ、AIエージェントAPIの特長やどのような作品が求められているかについて語られました。


NTTドコモの大西可奈子さん(左)と秋永和計さん(右)

登壇したのはNTTドコモでAIエージェントAPIの開発を率いる秋永和計さん、NTTドコモで雑談対話システム「かたらい」を開発し『いちばんやさしいAI〈人工知能〉超入門』(マイナビ出版)の著者でもある大西可奈子さん、


ロボットスタートの西田寛輔

ロボスタでエバンジェリストを務める西田寛輔の3名。この3名は今回のハッカソンでの審査員も務めています。

秋永さん

まずドコモのAIエージェントAPIで何ができるのかということなんですが、例えばラズパイにSDKを入れてしまえば簡単におしゃべりができるようになります。VUI(Voice User Interface)はそれだけでは成立しません。その裏にあるサービスが本業であって、あくまで入り口でしかないんです。なので、皆様ができるだけ簡単にVUIを作れるようにとシステムを用意してきました。


西田

音声合成が53種類使えるということですが、それを使えば例えばロールプレイングゲームのようなもので、おばあちゃんはおばあちゃんの声で喋って、女の子は女の子の声で喋るというものも作れるんですよね?


秋永さん

そうですね。裏側は一つのシステムであっても、声を変えるだけで複数人が喋って、存在しているようなシステムも作ることができます。


一方で入力の話で言えば、いわゆるテキストチャットボットのようなものも作ることができます。音声で入力してテキストで出力したり、テキストで入力して音声で出力したり、音声から音声、テキストからテキストと4通りの入出力の組み合わせを選ぶことができるので、自由度も高いです。


西田

少し一般的なお話も聞いてみたいのですが、大西さんは音声UIは普段使っていますか?


大西さん

AIスピーカーなどは使っています。ただ私は雑談人間なので、天気を聞きたいというよりは雑談をしたいんです。できれば彼氏が欲しい(笑)


それが最終目標なので、今日はみなさんに彼氏を作ってもらえたらいいなと思っています(笑)


秋永さん

彼女は若干病的なので(笑) 振り切っていますよね。

ボットとのやりとりって意図にそぐわなかったり、フラストレーションがあるじゃないですか。その解決手段として「かたらい」は面白いです。かたらいと喋っているときにトンチンカンなことを言われるとイラっとするんですよ。それを彼女に聞いたら、「現実の彼氏も3割くらいイラッとしますよね」って(笑)


技術を楽しく使おうとすれば、技術的に完全じゃないところも味付けになるなと感じました。スマートスピーカーの影響もあってか、音声UIが真面目すぎるっていうのも課題かなと思っています。



今回のハッカソンが、抽選で選ばれた限られた参加者で行なわれたということもあり、パネルディスカッションも終始アットホームな雰囲気で進みました。



アイデア共有、ハッカソン開始

パネルディスカッションが終わると、参加者によるアイデア出しがスタート。ドコモのAIエージェントAPIやかたらい、ラズパイやユカイ工学の「codama」を組み合わせてどんなことができるか、アイデアを膨らませていきます。



アイデアが完成したら、参加者同士でそのアイデアを評価し合い、評価が高かったアイデアを中心にチーム作りを進めます。これにより5つのチームが出来上がりました。



チーム作り後はお昼休憩を挟んで、午後からいよいよハッカソンの開始です。

ドコモのAIエージェントAPIを開発するスタッフや、ロボスタのエンジニアチームも、より良い作品になるようにとサポートをしていきます。

初日のハッカソンは夜を前にして終了しました。

2日目、いよいよ発表へ

2日目はお昼前から集まり、各チーム開発を急ぎます。昼過ぎには時間を余して開発が完了したチームもあれば、ギリギリまで追い込むチームもあり、そこでもチームカラーが出ていました。






昼食休憩を挟み、各チームの発表準備も終わると、いよいよ発表へ。

審査員の3名が見守る中、各チーム発表とデモを行なっていきます。


海戦ゲームを音声で


「声で遊べる海戦ゲーム」とは、音声で命令ができる海戦ゲームのこと。海戦ゲームは、相手が隠れているマスを見つけて、そこに攻撃ができたらポイントを獲得できるというゲームです。

今回はUnityと連動し、発射した様子やそれが命中したかどうかの描画がディスプレイに映される仕組みになっていました。ただ声で遊ぶだけでなく、ディスプレイと連動することで、ゲームとしてより楽しいものになっている印象でした。

発表後の質疑応答では、「声でやる意義」について問われると、「本物の艦長も声で司令を出すので同じ臨場感を味わうことができれば」との回答。確かに海戦ゲームのように声の方がマッチするゲームは他にもありそうですね。


セバスちゃんが近くで見守る「SOBA」


日々様々な情報やIoTデバイスに囲まれて生活をしている現代。その傾向は、これから先どんどん進んでいくはずです。そんな生活において、常にそばでサポートをしてくれる存在としてセバスちゃんを活用するアイディアです。



開発できたのはVRでセバスちゃんを見るというところまでで、今回のAIエージェントAPIとの接続までは至りませんでしたが、VR上のセバスちゃんとの会話を楽しみつつ日常生活をサポートしてくれる存在ができたら、日々楽しそうです。




VR上のセバスちゃんを会場の全員が順番に覗いていきましたが…想像以上に近くにいて、みんな驚いていました(笑)


面白ければロケットが飛ぶ!「大喜利ロケット」


ラズパイと接続をして、モーターを繋げることで、回転を見事に表現した「大喜利ロケット」。エキスパートエージェントとして開発されており、立ち上げると大喜利のお題が出題されます。そのお題に対して面白い回答をすると、ロケットが回転し、中にあるドライアイスが削られて白い煙が出てくるという仕組みです。リセッシュがかかっているため、回転とともに良い香りが周囲に漂うというものでした。



「面白い」かどうかの判定まではできていなかったためランダムでの判定でしたが、アイデアが面白く、盛り上がりました。本来は、判定をランダムではなく形態素解析を用いてワードの組み合わせで面白いと判定することを想定していたようです。


謙虚なあなたに「会議発言くん」


会議発言くんは、PCから入力した文字列を、匿名でスピーカーに発話させるシステムです。会議中は発言力が強い人が喋り、そうではない人は意見を言いづらい雰囲気ができてしまいます。



「本当はこう言いたいのに…」と思った人がPC画面から発言内容を入力することで、匿名の状態でスピーカーから発話されます。

審査員からは、「気弱な人は言い方が優しくなってしまうので、ただ単に入力した内容を発話させるのではなく、語尾を強気にするなどの工夫があるともっといい」「反対に、上司からすると強い言い方をするとコンプライアンス的によくないので、柔らかい言い方に変えて欲しい」など、単なる音声合成ではない変換する言い方に期待が集まっていました。


訪問客を撃退するスマートインターホン


一人暮らしをしているおばあちゃんの自宅に、悪徳な営業マンが訪れて、話を聞いてしまったがために高額な商品を買わされてしまう。そんな事件が起きています。



スマートインターホンの「撃退くん」は、ドアベルが押されるとAIエージェントAPIで開発した撃退くんがインターホン越しに対応。会話をする中で、訪問客が営業マンか友人かなどを見分けてくれるというものです。



インターホンが押されると「どちらさまですか?」名前を尋ね、訪問者が喋った名前をリストと照合。もし名前がリストにあれば、室内のおばあちゃんにスピーカーで通知されます。宅配便の場合にも事前にリストに入れておくことで通過することができます。しかし用件を尋ねて、「販売」や「営業」などのNGワードが入っていた場合には家にあげるわけにはいきません。雑談エンジンの「かたらい」に繋げて、インターフォン越しに雑談をさせるのです。



審査員からのコメントでは、「雑談で家の前に悪徳営業マンを留まらせてしまうのはよくないのでは?」というツッコミに対しては、「雑談をさせて留まらせておくことで、他の家に回る時間をなくしたい」と回答。うまく実装できれば、被害も減りそうですね。



いざ審査、そして結果発表


発表が終わると、審査員の3名が別室に行き審査タイム。



景品は大西可奈子さんの著書「いちばんやさしいAI〈人工知能〉超入門(マイナビ出版)」や、codama、「Hamic BEAR」、ポータブル充電器やIoTデバイスなどの中から入賞上位順に欲しい景品を選択していくというものでした。

いよいよ結果発表に移ります。


最優秀賞:撃退くん


最優秀賞に輝いたのは、チームキャベツが開発した撃退くん。高齢者宅のインターホンという需要がたくさんありそうな製品であり、かつ雑談を悪徳営業マンを留まらせるために活用するというアイデアが評価されました。


準優勝:海戦ゲーム


準優勝は海戦ゲーム。音声だからこそ本物と同じような感覚で司令ができるという、タッチなどとは違う価値を提供している点が評価されました。ディスプレイと連携することで、さらに臨場感高くゲームができる点も評価が高かったです。


第3位:大喜利ロケット


大喜利がウケるとロケットがまわるという面白いアイディアで、ハード側の実装を2日間で仕上げているのは見事でした。


フューチャー賞:会議発言くん・SOBA


会議中に話すのに勇気がいる人もPC越しに発言ができるという面白いアイデアでした。実装まで完成していればもっと評価は高かったかもしれません。



VR上のキャラクターとの会話システムでしたが、VR上にセバスちゃん(バーチャルキャラクター)を表示させるところまでの実装しか2日間では間に合わず。こちらもアイデアが実装できていれば上位だったかもしれません。



初日のアイデアを評価して特別賞が贈られた2名

最後に審査委員長を務めた秋永さんは、「斬新なアイデアでかつ二日間という大変な日程の中で完成度が高かったです」と述べ、「思った以上に音声UIは大変で、まだこの難しさを乗り越えた人はいません。ぜひ今後も色々とチャレンジをしていただいて、世の中に面白いアイデアを出してもらえたら」と締めくくりました。




最後に懇親会を開催。お酒片手にVUIの可能性について語り合いました。





「ドコモのAIエージェントAPI」を活用し、VUIの可能性に触れることが出来た2日間でした! スマートスピーカーのアプリのような、音声を利用したアプリケーションの枠にとらわれず、インターフォンやVRなど、いろいろなハードウェアの作品が体験できたのが印象的でした。ロボットやスマートスピーカーだけではなく、さまざまな電子機器に、このようなVUIが搭載される未来が直ぐ側に来ているのかもしれませんね!


参加されたみなさま、お疲れ様でした!


今回、参加者の皆さんに体験していただいた「ドコモのAIエージェントAPI」を利用した、開発者向けのプラットフォームがロボスタより公開されています!ラズパイなどのコンピューターや、Android、iPhone、Unityなどのサンプルも公開されていますので、興味を持たれた方は是非体験してみてください!

【公式】開発者応援プラットフォーム「ロボスタトーク」開発マニュアル (2019/3/6更新)
https://qiita.com/tonosamart/items/ac488e510d7efc166860

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