囲碁AI世界一と若手棋士育成を目指すプロジェクト「GLOBIS-AQZ」に参画 トリプルアイズ

2019年4月18日、株式会社トリプルアイズは、グロービス、囲碁AI「AQ」開発者の山口祐氏、公益財団法人日本棋院、国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)と協働し、世界一の囲碁AI開発と若手棋士育成を目指す「GLOBIS-AQZ」プロジェクトへの参画を発表した。(冒頭の写真:グロービス、山口祐氏、日本棋院、産総研)

「GLOBIS-AQZ」プロジェクトとは

「GLOBIS-AQZ」プロジェクトとは、2018年9月に発足した囲碁AIの開発プロジェクト。
グロービスが主体となり、トリプルアイズと山口祐氏による共同開発、日本棋院の協力の下、若手の囲碁棋士育成を行うという。また本プロジェクトでは、産総研と「高性能計算機を用いた強化学習モデルの最適化に関する研究」を共同で行う。将来的には、開発されたプログラムをオープン化し一般の利用を進めるなど、広い視野でのプロジェクト展開が考えられている。
今回、研究開発される囲碁AI「GLOBIS-AQZ」は、山口祐氏が開発し世界2位(2018 中信証券杯 第2回世界電脳囲碁オープン戦準優勝)の実績をもつ「AQ」の思考アルゴリズムを引き継ぎ、山口氏がAIの強化学習を設計。トリプルアイズは強化学習におけるレーティング結果の計測、可視化と、山口氏の担当する思考アルゴリズムの構築サポートを行う。
さらに、AIの強化学習に向けた大規模演算のためのインフラ構築と最適化を支援するグロービス、囲碁AIによるプロ棋士の学習支援で若手棋士育成を協働する日本棋院、開発段階で欠かせない大規模計算資源に産総研のAI橋渡しクラウド「ABCI」を利用し、「GLOBIS-AQZ」の研究開発をスタートしている。

(イメージ)GLOBIS-AQZの「Z」はTRIPLEIZE(トリプルアイズ)の「Z」から。

囲碁AI世界一を目指す意味

「GLOBIS-AQZ」は本年8月に中国山東省で開催を予定している「2019中信証券杯 第3回世界電脳囲碁オープン戦」に出場し優勝を目指す。それはすなわち、囲碁AI世界一を目指すことでもある。
トリプルアイズ社によれば「囲碁AIの分野では、2016年にイ・セドル九段を破った「アルファ碁」の登場以来、世界一の栄冠はグーグル社のものと目されてきました。しかし、それ以降も囲碁AI世界一をめぐる戦いは熾烈さを極めてきました。「絶芸-Fine Art-」擁するテンセント社、昨年「ELFOpenGo」を公開したフェイスブック社など、囲碁AIは今まさに戦国時代の様相を呈しています。こうしたなか日本製囲碁AIプログラムはいつも苦戦を強いられてきました。参加数では目立つ日本製も、研究開発にかけるヒューマンリソースや資金などで米中の企業に大きく水を開けられているのが実情なのです。」と語っている。

(写真)2018年テンセント囲碁AI世界大会にRaynz(トリプルアイズのプログラム)で出場した時の様子。

トリプルアイズは2014年から囲碁AIの開発をスタートしていて、囲碁AIの研究開発を行う企業はほとんどないという。


トリプルアイズの代表取締役 福原智氏は「囲碁AI 世界一奪取宣言」を発表。この宣言は、本田技研工業創業者の本田宗一郎氏の「マン島TTレース宣言」に倣って自ら打ち出したもの。

「囲碁AI 世界一奪取宣言」抜粋(トリプルアイズ)

今こそ、わたしたちは本気でグーグル、テンセントに勝ちいかなければなりません。
今こそ、エンジニアの底力を見せるときです。
トリプルアイズは、必ず囲碁AIで世界一を奪取します。そこに日本のIT産業の真価を誇示したいのです。そのために、みなとともに精魂を傾け、創意工夫に努力を重ねることを誓います。(全文 https://www.3-ize.jp/information/?p=590

なぜ囲碁AIにこだわるのか(トリプルアイズ代表・福原氏のスピーチより)
(写真)GLOBIS-AQZにおける当社の役割を説明する福原氏。
「欧米のAI研究では古くから『チェスは人工知能のショウジョウバエ』と言われてきました。遺伝学がショウジョウバエを素材に進化したように、AI研究もチェス、つまりボードゲームで進化してきました。これは遊びではありません。囲碁AIの研究開発に真剣に取り組むことは、AIを進化させることとまったく同じことです。そしてAIの進化がなければ、日本のIT業界は諸外国においていかれるだけです。いや、すでにおいていかれています。アルファ碁やファインアートに勝てるプログラムが国内にないとすれば、アメリカ、中国のAI研究開発に勝っているとは決していえません。今回、グロービスさん、山口さん、産総研さん、そして日本棋院さんと『GLOBIS-AQZ』を共同開発するにあたり、私の心にあるのは、かつての本田宗一郎氏の宣言を真似すれば『日本のIT産業の真価を問い、これを全世界に誇示しなければならない』という強い決意です。」
トリプルアイズは、囲碁AIの研究開発は日本IT産業の浮沈の鍵を握るものだと考えています。その考えは共同開発の4者みな同じだと信じています。「GLOBIS-AQZ」プログラムのソースコードと計算データが世界大会出場後、一般公開され自由に利用できるようになるのも、そうした考えの表れです。
「GLOBIS-AQZ」をきっかけに日本のAI研究と、IT業界がさらなる進化を遂げることをトリプルアイズは願っております。そして、必ずや世界一をとるプログラムを創るべく鋭意、研究開発を進めてまいりますので、今後もご注目ください。


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