ABB RoboticsとNVIDIAがフィジカルAIで協業|「GTC 2026」でWORKRが事例紹介を予定

ABB RoboticsとNVIDIAが協業、製造業向けフィジカルAIの実現へ
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ABB Roboticsは、製造業が実世界のロボットアプリケーションにフィジカルAIを導入することを支援するため、NVIDIA OmniverseライブラリをRobotStudioへ統合することを発表した。

産業用フィジカルAIの実現に向けた大きな一歩

ABB Roboticsのプレジデント マーク・セグーラ氏は、「NVIDIAの高速コンピューティングおよびシミュレーション技術を活用し、シミュレーションと実世界のギャップを埋めることで、産業用AIとフィジカルAIを世界規模で実現するための最後の障壁を取り除いた。ABBロボティクスは、完全電動の産業用ロボット第1世代の開発から、RobotStudioによるデジタルツインシミュレーションの推進、自律性と汎用性を備えた新世代モバイルロボットの創出まで、50年以上にわたり産業オートメーションの知能化をリードしてきた。
今回のNVIDIAとの発表は、産業界にフィジカルAIを本格的に提供するものである」と述べた。

Sim-to-Realギャップの解消

この協業は、ABB Roboticsのプログラミング、設計、シミュレーションソフトウェアであるRobotStudioと、NVIDIA Omniverseライブラリが持つ物理的に高精度なシミュレーション能力を統合し、長年課題とされてきた「Sim-to-Real」(シミュレーションから実世界へ)のギャップを解消することに焦点を当てている。

開発者はデジタルツイン内でロボットをシミュレートし、フィジカルAIモデルをトレーニングするための合成データを生成できるため、あらゆる業種・規模の企業が様々な産業ワークフロー向けにAI駆動型ロボット導入することが可能となる。

シミュレーションの精度と現実世界の照明、素材、環境との間にある長年の乖離は、「sim-to-real」ギャップとして知られている。この格差は数十年にわたり、製造業が仮想世界で先進的な製造プロセスを設計・開発する能力を制限してきた。

NVIDIA OmniverseライブラリをRobotStudioに統合することで、ABBロボティクスは前例のないロボットシミュレーションと合成データ生成機能を提供する。

これにより、高度な知能を持つロボットがこのギャップを最大99%の精度で埋めることが可能になる。

ABBは、ハードウェアと同一ファームウェアで動作する仮想コントローラを有する唯一のロボットメーカーであり、これによりシミュレーションと実世界の動作をほぼ完全に一致させることができる。
位置誤差を従来の8~15mmから約0.5mmに低減するABBロボティクスのAbsolute Accuracy技術と組み合わせることで、仮想環境・実世界いずれにおいても他に類を見ない高精度を実現し、高精度な産業用途にも最適な性能を提供する。

RobotStudio HyperRealityの特徴と効果

RobotStudio HyperRealityと名付けられたこのソリューションでは、生成される物理的に高精度なシミュレーションおよび基盤モデルが、実環境からのデータフィードバックによって常に最適化され、システムを継続的に改善する。これらのモデルは、産業が求める信頼性と精度をもって、世界中のあらゆる場所にある無数のABBロボットをトレーニングするために使用できる。

NVIDIAのロボティクス&エッジAI担当バイスプレジデントであるディープゥ・タッラ氏は以下のようにコメント。
「産業分野では、仮想トレーニングとAI駆動型ロボットの大規模実運用とのギャップを埋めるため、物理的に正確なシミュレーションが必要だ。NVIDIA OmniverseライブラリをRobotStudioに統合することで、ABBロボティクス独自の仮想コントローラ技術に高度なシミュレーションと高速コンピューティングをもたらし、あらゆる規模の製造業が複雑な製品を市場に投入するスピードを加速させる」

この革新的技術により、製造業は生産ラインの設計・テスト・最適化を仮想空間上で行うことが可能になる。
これにより、セットアップおよびコミッショニングの時間を最大80%短縮し、物理的なプロトタイプを不要にすることで最大40%のコスト削減を実現する。
また、コンシューマ向け電子機器のような複雑な製品においては、市場投入までの期間を50%短縮することができる。

ABB Roboticsはまた、同社の幅広いロボットポートフォリオにおいてエッジでのリアルタイムAI推論を実現するため、NVIDIA JetsonエッジコンピューティングプラットフォームをOmnicoreコントローラへ統合する可能性についても評価を進めている。
今回の発表は、ABB RoboticsとNVIDIAが長年進めてきた協業の成果に基づくものであり、その中には、NVIDIA JetsonをABBロボティクスのVSLAM自律移動ロボットへ統合した実績や、ギガワット規模のAIデータセンター開発などが含まれている。

実運用での活用事例

RobotStudio HyperRealityは、あらゆる規模の製造業の顧客に対し、幅広い業界と用途に向けてサービスを提供する。
全世界6万人のRobotStudioユーザーへ向けた2026年後半の正式リリースに先立ち、一部の顧客がすでにその機能をテストしている。

世界最大の電子機器受託製造企業であるFoxconnは、コンシューマ向け電子機器の組立工程において、本協業による最初のユースケースとなるパイロット運用を進めている。
コンシューマ向け電子機器の微小部品の組立自動化には困難が伴う。これは複数の製品バリエーションに応じて異なる生産方法が必要であるほか、繊細な金属構造物を扱うため精密なピックアンドプレイスと組立制御、さらに細かな調整が求められ、追加のデバッグ時間やエンジニアリングリソースを要するケースが非常に多いためである。
RobotStudio HyperRealityを活用することで、Foxconnの組立ロボットはさまざまなシナリオにおける複数の実生産プロセスを完成させるために合成データを使用して仮想的にトレーニングされ、実際の生産ラインへ移行する前に99%の精度を達成する。

生産ラインを仮想的に最適化することで、物理的なトレーニングやテストを不要とし、セットアップ時間とコストを削減するとともに、コンシューマ向け電子機器の市場投入までの期間を短縮する。

Foxconn最高デジタル責任者(CDO)の石哲博士は「コンシューマ向け電子機器の製造においては、精度こそがすべてだ。しかしこれまで、シミュレーションやデジタルツインでこのレベルの精度と再現性を実現することは不可能だった。ABBロボティクスとNVIDIAの協業がもたらす可能性に我々は非常に大きな期待を寄せている。高度なAI推論と理解を通じて、設計の改善、生産立ち上げの迅速化、そして製品進化の促進を実現する並行エンジニアリングが可能になるためだ」と述べている。

米国製造業の人手不足解決を支援

カリフォルニア州に拠点を置くロボットによる労働力を供給する企業WORKRは、産業向けにロボット製造ソリューションを提供しており、同社はこの技術の活用領域を、米国全土の中小規模メーカーへと広げている。

NVIDIAが開催する「GTC 2026」(3月16日~19日、カリフォルニア州サンノゼ)において、WORKRはABB技術を基盤とし、NVIDIA Omniverseライブラリを用いた合成データで訓練されたAI搭載ロボットシステムを公開する。
このシステムは、オペレーターがプログラミング知識を必要とせずに導入可能である。

ABBの産業用ロボットと自社開発のWorkrCore AIプラットフォームを組み合わせることで、同社はロボット労働力を活用し、新たな作業を数分で習得可能かつ誰でも操作できるソリューションを提供し、製造業が直面する深刻な労働力不足の解決を支援する。

WORKRのCEO兼創業者であるケン・マッケン氏は「この協業は、産業用AIを今すぐに導入可能にするためのものだ。ABBおよびNVIDIAとともに、先進的な自動化技術が企業規模を問わず、あらゆる製造業で活用できることを実証している」とコメントした。

《ロボスタ編集部》

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