株式会社アトラックラボは、NVIDIA Isaac Simを活用したデジタルツイン開発環境を構築した。自社開発のAI自律制御システム「AT-SYNAPSE」とROS 2ベースの制御スタックをIsaac Simと統合し、フィールドロボットの自律移動、周囲認識、障害物回避、安全停止などを実機導入前に仮想空間で高精度に検証できるようにした。
自社開発のフィールドロボット「AT-CART8」は、ROS 2ベースの制御スタックを変更することなくIsaac Simへ投入できるため、実機と同一のソフトウェアによる開発・評価が可能となる。これにより試作回数の削減、開発期間の短縮、品質向上を同時に実現する。
開発背景
フィールドロボット開発では、実環境への持ち込みによる走行試験や調整が必要で、開発期間やコストが課題となっていた。特に物流倉庫や工場、医療施設など人が行き交う現場では、安全面や運用上の制約から十分な検証時間の確保が難しい。同社は「危険な仕事、不快な仕事を、ロボットとAIの手に。」をミッションに掲げ、UAV、UGV、USVなどのフィールドロボットを開発してきた。今回、倉庫や医療施設などの実環境を高精度なデジタルツインとして再現し、AT-CART8を制御スタックの変更なく仮想空間上で動作させる環境を構築した。


環境
実機と同一のROS 2制御スタックをそのまま活用できる点が特長で、カメラ、IMU、3D LiDAR、オドメトリ、TFなど実機と同一のROS 2トピック構成を再現した。RVizやrqt_robot_steeringなど普段の開発ツールもそのまま使用できる。
AT-SYNAPSEとの連携により、LLMを活用したAIロボットの思考プロセスまで含めたシミュレーションが可能となり、音声やテキスト指示に対する状況認識・判断から自律移動、障害物回避、安全停止までを仮想空間で検証できる。
物流倉庫のパレットラックや搬送通路、医療施設の待合室や受付エリアなど実環境を再現した複数のステージを構築し、NVIDIA RTXによるリアルタイムレンダリングでフォトリアルな環境を実現した。Isaac Simから出力される3D LiDARスキャンやオドメトリ情報をRVizへリアルタイムに配信し、自己位置推定やセンサー認識の精度確認も可能とした。
今後の展望
同社は今後、本環境をUAV、UGV、USVなどのフィールドロボット開発プロセスへ本格的に組み込み、企画・設計からシミュレーション、実機評価までをつなぐ開発基盤として活用する。
AT-CART8をはじめとするロボット製品とAT-SYNAPSEの連携も強化し、実環境を忠実に再現したデジタルツイン上での検証環境を提供。さらに、ロボット導入を検討する企業やシステムインテグレーター、研究機関との共同開発にも展開し、PoCから製品開発、現場導入までのリードタイム短縮と開発品質向上を支援する方針だ。
将来的には顧客の工場や物流倉庫、医療施設をデジタルツインとして再現し、仮想空間で先に動かしてから実機を導入する新しい開発・導入プロセスの実現を目指す。
代表取締役の伊豆智幸氏は「ロボット開発は、実機を作ってから検証する時代から、仮想空間で十分に鍛えてから現場へ展開する時代へと変わろうとしている。AT-SYNAPSEとNVIDIA Isaac Simを組み合わせ、ロボットが見て、考え、判断し、動く一連の動作を実機と同じROS 2制御スタック上で検証できる環境を実現した」とコメントしている。


