AIカメラ1500台とスマートレジカート200台、無人店舗をめざすスマートストア「TRIAL」産学連携の利点 epiST Summit 2019 Fall

AIとカメラ、スマートレジカートを活用したスマートストアは既にこんなに進化している。

epiST株式会社が「epiST Summit 2019 Fall ビジネス×アカデミア ミーティング」を東京大学の伊藤謝恩ホールで開催したことは既報のとおり(関連記事「内閣府が考える「日本のスタートアップ育成の課題と問題点、海外との違い、その解決策」7つの戦略とは? epiST Summit 2019 Fall」スタートアップ政策の狙い、7つの戦略とは? epiST Summit 2019 Fall」)。epiSTは産学連携とオープンイノベーションで日本の科学技術を振興するというビジョンのもと、国内の有力な大学研究室と先端技術の取り込みを目指す企業との共同研究を支援、各大学のシード研究から生まれる大学発ベンチャーの投資育成に取り組んでいる。


このイベントでは産学連携の「共同研究成功事例」として、大学と連携している4社が登壇し、研究や実証実験の具体的な内容や成果等を紹介した。
登壇したのは株式会社 Retail AI、RIZAP株式会社、FSX株式会社、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社(DAC)の4社。


AIカメラ1500台とスマートレジカート200台を導入

興味深かったのは、Retail AIが開発しているAIとカメラによる店舗の管理と無人決済。このシステムには産学連携が関わっている。

株式会社 Retail AIのCOO 田中晃弘氏

大手スーパー、ディスカウントストアの「TRIAL」は九州が地盤、244店舗を展開し、その先進性はロボスタでも何度か取り上げてきた。TRIALのAI分析小売り業システム開発をRetail AI社として戦略的に子会社化した。TRIALは最終的にはシステムによる完全自動化を目指している。どのようなシステムなのか、システムの概要はこのムービーが解りやすい。

■TRIAL Retail AI technology 2019

例えば、「TRIAL」新宮店にはスマートレジカート200台、AIカメラ1500台を導入、デジタルサイネージなどとも連携した。1500台のカメラが商品棚を監視、映像をAIが解析して商品の欠品や不足を検知し、スタッフに通知、販売機会のロスを防ぐ。


マーケティングにも積極的に活用する。例えば、青果売り場でレタスをカートに入れた顧客にはカートのサイネージを使ってドレッシングを薦める。また、飲料売り場で商品をカートに入れた顧客には類似商品のセール品を紹介する、といった具合だ。


また、プリペイド方式も採用し、スマートレジカートでそのまま決済もできて、レジ待ちを解消している。


このムービーでは詳しく触れていたないが、同社は来店客の動線も細かく記録している。どこの商品列でどれくらいの時間立ち止まって、どの商品に興味を示したか、どの商品を手にした次にどの商品に手を伸ばしたかなど、詳しく分析し、商品配置や棚の状況を販売の最適化に繋げている。その辺の詳細は別の記事で紹介した。関連記事「小売業「トライアル」店舗における先進のAI活用事例!700台のカメラで顧客トラッキング&マーケティング – DLLAB DAY 2018

トライアルはこれらの技術を駆使したスマートストアを実践。将来は無人店舗、かつ効率的な販売を目指す。もちろん、店舗には他にも在庫の管理、品出し、値札貼り、清掃、配置換えなど、たくさんの人手が必要なので、ここでいう無人店舗は接客部分を無人化することで、スタッフを別の仕事に配置し、全体では省力化をおこなう、ということだ。


産学連携の利点

このイベントのテーマは産学連携。同社の場合は九州大学と慶應大学と連携する。同社によれば「大学は研究室もあって最新技術の取り組みや検証にも積極的だ。しかし、研究に使える機械学習のデータが持っていない。実証実験する現場もない。トライアルは豊富なデータと現場があるのでアカデミア側としてはそれを利用したい。一方でトライアル側は最新技術をさまざま研究するのには時間的、人員的に限りがある。産学連携はそんな両社のニーズを合致させるのに非情に有効」と語った。


データ分析分野で電通などと連携しているが、データサイエンティストが枯渇している状況なので、データ解析やアルゴリズムのブラッシュアップ等で産学連携がとても役立つという。




そのコメントに対してモデレーターは「データを欲している大学は多いので、”自社にこんな面白いデータがある”というのをアカデミア側にアピールすることで、待っていても大学側から声がかかることが多い」と締めくくった。


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神崎 洋治
神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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