首都高速道路株式会社「晴天・雨天別の事故件数の比較」によると、雨天時の事故率は晴天時の約 4 倍とも言われ、降水の有無は車の安全運転に大きく影響する。しかしながら、降水エリアの把握や予測によく用いられる雨雲レーダーは、対流圏下層(上空 2km 以下)の雨雲が降らせる雨や、霧雨のような小さな雨粒による雨は捉えることができないという弱点があり、そのような場合、降水エリアを正確に把握することは困難だった。
そこで、ウェザーニューズとトヨタが取り組む共同研究の一環として、2019年11月1日より11月末まで、対象地域を走るトヨタのコネクティッドカーから得られるワイパーの稼働状況をマップに可視化し、実際の気象データと照らし合わせる実証実験を開始した。
トヨタは、2018年6月に販売を開始したクラウン及びカローラスポーツを皮切りにコネクティッドカーの本格展開を開始しており、今後国内で発売するほぼすべての乗用車に車載通信機(DCM:Data Communication Module)を搭載予定。ウェザーニューズは、全国約1.3万地点の独自の観測網に加え、ユーザーから届く1日18 万通もの天気報告を活用することで、高精度な天気予報を実現している。
両社は同共同研究を通して、気象データとコネクティッドカーから得られる車両データより、レーダーで捉えられない降水や実際の降水強度など、道路及びその周辺の状況を正確に把握することで、「いざという時に役に立つ」情報として広く提供し、状況に応じた運転者への注意喚起を行い、ドライバーのさらなる安全に寄与することを目指すとしている。
なお、両社は10月に今回と同様のエリアを対象に「コネクティッドカー情報を AI 解析、道路冠水リアルタイム検知の実証実験」を行っている。
同実証実験の概要
雨雲レーダーに映らない低い雨雲により関東で雨となった過去の事例では、アプリ「ウェザーニュース」のユーザーから寄せられる現地の天気報告である「ウェザーリポート」で、雨の報告があったエリアとワイパーの稼働エリアがおおよそ対応していたことがわかっており、ワイパーデータの活用により、雨雲レーダーで捕捉できない降水の把握が期待できる。同実験ではワイパーデータと気象データとの関係を詳細に分析し、正確な降水エリアの把握のほか、ワイパー強度に対応する降水強度の推定などにも取り組み、ワイパーデータの天気予報への活用も検討する予定だ。
なお、ワイパーデータについては、トヨタのコネクティッドサービス利用の車両から収集した車両データに統計処理を行ったうえで、個人が識別されない形で運用していく。
https://tpf.weathernews.jp/v/TOYOTA/wiper/intro/