自動運転トラックはAIを利用して配送拠点でのオペレーションから長距離輸送に至るまでのあらゆる業務を自動化する商用車。配送の需要の増加とドライバー不足によって業界が重圧を抱えていることに加え、高速道路などのカーブが少ない道路での運用が現実味を帯びてきたことで、このようなインテリジェントなトラックは、初の自動運転車両として公道に大規模展開できる可能性を秘めている。
需要が増加するトラック輸送と人手不足の深刻化
e コマースや翌日配送の増加により、トラック輸送は世界を前進させる上でますます重要な役割を果たしている。アメリカの専門家による推定では全貨物の70%以上がトラック輸送であり、食料品店やガソリンスタンドなどの最も重要な事業では、トラックがなければ数日以内に物資が不足するとのこと。
ドライバー不足が加速するにつれ、この傾向が真実味を帯びてきる。全米トラック協会の報告によると、トラック業界は過去15年間もドライバーの確保に苦労している。同協会ではこの傾向がさらに続く場合、2028年までに16万人のドライバーがトラック業界に必要になるだろうと推定している。さらに、ドライバーに課せられる連続運転可能時間の制限も、トラック輸送のオペレーションに重くのしかかってきる。
トラックの24時間稼働を実現する自動運転技術
自動運転ではドライバーの労力を減らして24時間稼働を実現できるため、トラック需要による負担が軽減し、効率性が向上する。実際、自動運転トラックのスタートアップ企業である TuSimpleと米国郵便公社が最近実施した試験運用では、自動運転トラックがハブからハブへのルートで予定より早く到着したことが繰り返し実証された。
自動運転トラックの移動はフェンスで囲まれたエリアや高速道路に制限されているため、自動運転トラックのほとんどは、都市部の交通や近くを走る車両などの問題に対処する必要がない。このため、障害物を気にすることなく大規模展開が可能。
トラック輸送は年間10万マイルもの距離を移動する
トラック輸送は過酷な環境に対応しなければならない。平均的なマイカー利用者は年間約13,500マイルを運転するのに対し、トラック運転手は平均で、年間10万マイルもの距離を運転する。NVIDIA DRIVEはトラックの長距離移動による摩耗に耐えるように設計されている一方で、レベル2のAI運転支援から完全運転自動化まで簡単に拡張できる唯一のソリューション。
この汎用性と耐久性は今日、すでに開発中。Locomationをはじめとする企業は、1人のドライバーが先頭のトラックを運転し、後続の完全自動運転トラックが縦に並んで付いていく、隊列走行のパイロットに、このコンピューティング プラットフォームを活用している。トラックメーカーのFAWとスタートアップ企業のPlusAIは、自動運転トラックの大規模な車列走行を共同で開発している。TuSimpleは自社の車列走行の開発にNVIDIA DRIVEを利用している。
トラックメーカーである「Volvo Group」がテスト・導入を進行
自動運転技術は現在のトラック輸送における慣行を改善するだけでなく、業界にまったく新しい可能性を開いてくれる。世界最大手のトラックメーカーであるVolvo Groupは、NVIDIA DRIVEを活用して公共交通機関、貨物輸送、ごみやリサイクル品の収集、建設、採掘、林業などを対象に、自動運転 AI 車両のトレーニング、テスト、導入を進めている。同社は「Vera」というパイロット運用中のトラックを使用して、配送拠点内や工業道路上でのキャブレス車両のオペレーションも視野に入れている。
自動運転トラックのスタートアップ企業であるEinrideも、キャブレス車両の開発に取り組んでいる。同社は最近、NVIDIA DRIVE AGX Orinを搭載した、次世代のトラック「Pod」を発表した。この未来型の電気輸送車は、限定施設内でのオペレーションから、裏道や高速道路での完全自動運転にまで対応することができる。
原文
NVIDIAブログ「The Truck Stops Here: How AI Is Creating a New Kind of Commercial Vehicle」
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山田 航也横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。