Amazon傘下のZooxがNVIDIAの技術を活用したレベル5の自律走行ロボタクシーを発表

未来のモビリティについて考えると、個人向け駐車スペースを確保するために舗装される土地の量は減るだろう。今週、自律走行モビリティカンパニーであるAmazon傘下のZooxは、待望の専用ロボタクシーを発表した。(上の画像はロボタクシーのイメージ)


双方向性機能を持つロボタクシー

都市部での日常使いのモビリティとして設計されたロボタクシーにはNVIDIAの技術が採用され、レベル5のロボタクシーとしては初となる双方向性機能を搭載。前進も後退も自在な自動運転車両。
既存の乗用車が運転手にフォーカスしているのに対して、Zooxのそれは乗客のために設計されている。例えば、自動運転で電気を利用するモビリティに必要なセンサー配置や、大容量バッテリーといった機能に最適化して作られている。すべての車両には四輪駆動が搭載され、縦列駐車ができない窮屈な路肩にもスムーズに駐車できる。そのため乗客の乗降、路肩に寄せることや、車の流れを離れることも簡単で、快適さも安全性も高くなる。



双方向性の車両にはどちらが前か後ろかという決まりがない。前進して私道に乗り入れたあと、そのまま方向転換せずに道路に戻ることが可能。思いがけず道路が閉鎖された場合でも、進行方向を変えるだけ、あるいは四輪駆動を使って向きを変えることができる。



車の内部を見ると座席はキャリッジシートになっていて、車の周辺がよく見えるのはもちろん、乗客同士のコミュニケーションにも適している。



各シートはすべて同じ大きさでどの席が良いということもなく、同じクオリティの乗り心地を体験できる。キャリッジシートであるため通路スペースも広くなり、乗客同士がいちいち立ちあがったり身をよじったりすることなく通りぬけることが可能。これらの細かな設計により、従来の車にはなかった安全性のイノベーションに支えられた乗客は、シームレスなモビリティを自由に手にすることができる。





ZooxとNVIDIAの取り組み、そしてロボタクシーの価値

ZooxとNVIDIAのパートナーシップが最初に発表されたのは2017年。高性能かつエネルギー効率の高いNVIDIAのコンピューティング技術を活用し、レベル5の車両を一から構築してきた。これは自律走行の未来に向けた、重要なマイルストーンとなった。また、ZooxはNVIDIAのInception Programにも参画している。このプログラムはスタートアップ企業が AI およびデータサイエンスを使ってさまざまな業界に革新をもたらすための支援を行うというもの。



UBSの専門家はロボタクシーについて「このような車両は2030年までに世界中で2兆ドルの市場を生みだし、日常の移動コストを80%以上も削減すると推定している。価格設定も手が届きやすいロボタクシーは、都市部における車の所有率を下げるだろうと見られている――直近の調査によると、アメリカで運転をしている6,500 人のうち半数近くが、ロボタクシーが普及してきたら車を手放すだろう」と回答している。


ロボタクシーにおけるNVIDIAの役割

NVIDIAはデータセンターから車両までをカバーする集中型アーキテクチャで、ソフトウェアデファインドカーの開発のための唯一のエンドツーエンドのプラットフォームを提供している。

ロボタクシーはレベル5の自律運転を実現するために、新しい機能を継続的に追加していくための十分なキャパシティを持つ演算性能が必要。NVIDIAは学習と検証のためのインフラストラクチャから始まり、車内でのコンピューティングに至るまで、ハイレベルのパフォーマンスを可能にする。このような車両はデータセンターにおいて開発、改善されたディープニューラルネットワークをOTAで受信することで、継続的にアップデートすることができる。

NVIDIAのプラットフォームはオープンかつモジュラー方式のため、ロボタクシー企業がカスタムで例えばZooxの対称的なレイアウトや車両のすみずみまで見渡せる270度の視界が得られるカメラ、レーダー、Lidar といった新設計に適応するように設定することも可能。

大量に搭載されたセンサーからのデータを分析するために必要とされる数のプロセッサを使用できるので、システムおよびアルゴリズムの多様性や冗長性を利用して安全性を確保することができる。ZooxはNVIDIAの技術を活用することで、ロボタクシー向けで唯一の検証済みの、高性能なソリューションを利用し、オンデマンドの自律走行モビリティというビジョンを手の届くものにしている。

※NVIDIAのブログをもとに記事を作成しています。

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山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

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