農薬散布ロボット「Dr.FARBOT」販売開始 病害虫診断、圃場データ管理など順次実装予定

アグリテックを最大限に社会実装することをミッションに掲げるGINZAFARM株式会社は、農業生産者のニーズに応えるべく、2023年より主に施設園芸を対象とした農薬散布ロボット「Dr.FARBOT」(ドクターファーボット、以下FARBOT)の量産モデルの販売を開始することを発表した。

FARBOTはプラットフォームタイプで、搭載機構の付け替えにより一台のロボットで複数のタスクをこなす。第一弾として問合せが最も多い農薬散布スプレーヤ搭載のFARBOTを提供する。また、同社は令和4年度東京都KingSalmonProjectに採択されており、同プロジェクトにてFARBOTを納入予定。


飛散性に優れた静電ノズルを搭載、ホース牽引型で散布量の制限なし

FARBOTに搭載するスプレーヤ機構には静電ノズルを採用、飛散性、付着性に優れている。動力噴霧機併用のホース牽引タイプで薬剤を汲みに行く手間なく連続で作業を行える。スプレーヤの高さは上下に可変、どのノズルから散布するかを選べるため、作物の成長に併せて散布範囲を変更可能。FARBOTの操作同様に散布のON/OFFはリモートコントローラーで行え、離れた場所から操作を行うことで農薬被曝の心配も大幅に削減される。オプションでセンシング機能の追加も可能。同社の検証試験では従来の手散布作業に比べて30%以上の作業時間短縮、20%の農薬使用量の低減が見られたという。

Dr.FARBOTスプレーヤ搭載モデル

テスト機による散布状況


日本の施設園芸圃場に適したサイズと機能性

■トマト、きゅうり、なす、ピーマン、ししとうなどの施設園芸、垣根仕立ての栽培作物に適している
■ホース牽引は補助モーターを付属、快適作業をアシスト
■3段階のスピード切り替えモードを搭載
■トレッド幅の可変により通路幅の狭い圃場から広い圃場でも対応可能
■軽トラックで運搬可能なサイズで圃場間の移動も簡単
■バッテリーは汎用性の高いカートリッジ式を採用

・Dr.FARBOT本体サイズ
長さ825mm、幅432mm(トレッド幅3段階 400mm、460mm、520mm)、高さ373mm、重量25kg

・Dr.FARBOTスプレーヤ搭載サイズ
最大高さ1800mm 最小高さ1690mm(静電ノズル左右5連)

・メーカー希望小売価格
FARBOT+スプレーヤ機構 1台あたり2,200,000円(税込)

・オプション
センシング機能
※新規導入しやすいサブスクリプション提供も準備中。
※仕様・価格は変更の可能性がある。販売開始時期はHPなどで告知。


操作体験した農家の声

テストに協力した農家のコメント(栃木県・トマト栽培)
ロボットということで抵抗がありましたが、最初の1レーン目の走行でその不安が解消されるほど操作が簡単なことがわかり、すぐに慣れることが出来ました。少し離れた位置から散布状態を確認しながら作業が出来るので、楽なだけでなく効率も良いと思いました。

農家によるテスト状況


今後FARBOTにはさらなる機能を追加、防除のシステム化を構築

FARBOTに搭載予定の技術
■AIによる病害虫診断機能
■通信ネットワークを活用したリモートセンシング機構
■FARBOTによるデータ取得〜解析による最適防除診断システム
■薬剤を使用しない防除技術
など「みどりの食糧システム戦略」も見据え、未来型のスマート農業技術を今後も提供していく。

関連サイト
GINZAFARM株式会社

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山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

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