トヨタテクニカルディベロップメント株式会社(TTDC)は、ソフトウェアファーストでの制御開発に向けた新たな拠点として「デジタル開発センター」を2024年2月に、同社本社(愛知県豊田市)に開設することを発表した。「デジタル開発センター」では、モビリティの制御開発に必要なシミュレーション環境を構え、すぐに、一緒に、共創し、タイムリーに支援・創出・サービスを提供する。なお、TTDCは、トヨタ自動車の100%出資企業。
ソフトウェアファーストでの制御開発を推進
カーボンニュートラルがグローバルで叫ばれ、スマートシティ、DX、CASEと大変革の社会において、市場の需要へ、より早く商品を対応すべく、商品開発の加速は非常に重要な要素となっている。特に「ソフトウェアファーストでの制御開発」においては、シミュレーションツールの活用は開発を加速する手法として有効とされている。
制御開発を加速できない課題(障壁)
一方、開発の現場においては、開発を加速させる最適な評価手法の研究、開発工程間での資産の利活用、評価に必要な設備投資(予算や導入期間)など、本来の制御開発以外の対応により高負荷になっている。
この様な、シミュレーション環境を駆使し制御開発を加速するには、様々な課題(障壁)が存在しているという。
これらの課題の解決に、TTDCでは「デジタル開発センター」において、製品開発技術者とともに取り組んでいく考えだ。
「デジタル開発センター」の設備概要
各種シミュレーション環境を完備する。目的にあったシミュレーションモデル、評価シナリオの自動生成等、多様なシミュレーションツールをつなぎ、最適な評価環境を提供する。さらに、最先端設備と技術ソリューションを取り揃え、すぐにその場でトライすることが可能。
MILS (Model-In-the-Loop-Simulation)
制御装置と制御対象等のモデルを用いたシミュレーション
SILS (Software-In-the-Loop-Simulation)
制御装置と制御対象等のソースコードを用いたシミュレーション
HILS (Hardware-In-the-Loop-Simulation)
実ECUを用いたシミュレーション
VILS (Vehicle-In-the-Loop-Simulation)
実車を用いたシミュレーション
また、エンジニアリングサービスでは、同社のスペシャリストがシミュレーション環境の導入から活用、顧客に代わって評価・解析を行うテスティングサービスまで、幅広くサポートし、顧客による商品開発の加速を支援する。
主なコンテンツと提供サービス
「デジタル開発センター」では、多様なシミュレーションツールを駆使したコンテンツを取り揃え、体感&開発に活用できるようになる。
デジタル開発センターでは、モビリティの迅速な制御開発に向けて、シミュレーションツールの利活用、設備導入から開発プロセスへの定着、さらには技術者の育成まで、幅広くサポートする。
●シミュレーションツールを使用した評価・解析サポート
●PoCから運用までの共創サービス
(MBDやAIを活用した技術支援)
●シミュレーション環境の構築支援
・評価目的に応じたプラントモデル、IOモデルの製作
(高精度化、縮退化、秘匿化)
・ハーネス、外部I/F、ラックなどハードウェアの構築
・テストの自働化など、評価環境の効率化の支援
(CI/CD※2構築、システム自働化)
・評価シナリオの網羅性向上への技術サポート
●ソフトウェア技術者の育成
・スキルアップトレーニング(MBD、AI)
・各種ツールトレーニング
今後の展開
TTDCでは、これまでもバーチャルとリアルを融合する技術でお客様の商品開発に最適な開発環境の構築を支援してきた。そこで培った技術・経験をデジタル開発センターへ集約し、より顧客の身近な存在として支え、日々進歩する最新技術への教育及び技術を鍛える場として、デジタル人財の育成にも活用することで、モビリティ社会の変革・発展に寄与していきたい、としている。
まずは「デジタル開発センター」開設に向け、AD/ADAS、EV開発を中心に開発環境を整えていく。デジタル開発の効率化で課題を抱えている顧客は、気軽に問い合わせして欲しいとしている。
また、より多くのパートナー企業との連携・協業も広げていく。
トヨタテクニカルディベロップメント株式会社