AIやメタバースなどのテクノロジーの進化、新型コロナウイルス感染症危機、働き方改革など、企業や地方自治体を取り巻く環境が目まぐるしく変遷している中、近年特にめざましい革新を遂げているのが生成AIだ。
生成AIの中でも特にテキスト生成AIは、ユーザとの自然な対話による情報の伝達を行うことができ、顧客からの問い合わせ対応やさまざまな情報の収集・分析等への活用ができることから、自治体・企業の人材不足への対応や労働生産性の向上が期待されているが、テキスト生成AIについては導入事例も少なく、使い方がわからない、セキュリティ面で不安がある、導入したが利用が進まないという声も多い。
そのような声に対し、西日本電信電話株式会社(NTT西日本)とエヌ・ティ・ティ・スマートコネクト株式会社(NTTスマートコネクト)のNTT西日本グループ2社は、2023年8月22日から、自治体・企業向けにMicrosoft社のAzure OpenAI Serviceを利用したテキスト生成AIを活用した新たなサービスを提供開始した。
同サービスについて
日本マイクロソフト株式会社との協業発表以降に送られてきている多数のユーザーからの反響に応えるべく、NTT西日本グループは【活用コンサルティングサービス】【個別環境構築支援サービス】【テキスト生成AIサービス】をワンストップで提供する。
なお、同サービスは、同社グループが2023年5月22日に発表した日本マイクロソフト株式会社との協業(「地方自治体のDXを加速させるため日本マイクロソフト株式会社と協業」)における「スマート自治体」を実現するDXサービスの提供・自治体業務のBPO支援の一環となっている。
活用コンサルティングサービス(NTT西日本提供)
● DX推進し、新たな価値をお客さまと創造するための共創空間である「LINKSPARK」の運営で得た知見・ノウハウをいかした課題設定の整理、活用シーンの創出、事例調査、実証実験、人材育成(スキル者の育成やリテラシー教育)、ガイドライン作成等のコンサルティングサービス
● 導入後もテキスト生成AIをより活用してもらうため、ユーザーと共にワークショップなどを通じた活用促進方法の検討、優良事例の展開等を実施
お客さま個別環境構築支援サービス(NTT西日本提供)
● ユーザー独自のテキスト生成AI基盤の構築サービス
● ユーザーの既存のシステム等との連携やサービス操作画面(チャット画面、管理画面)の柔軟な作成、また特定業務に特化したご利用、ユーザーのご利用データが外部利用されないMicrosoft社のAzure OpenAI Serviceの活用等、要望に応じた構築を行うことが可能
テキスト生成AIサービス(NTTスマートコネクト提供)
● Microsoft社のAzure OpenAI Serviceを用いて提供する、お客さまのご利用データが外部利用されない状態でお手軽に利用可能なビジネス向けAIチャットサービス
● 導入してもどのように活用していいかわらない、生成AIの出力条件の設定等が難しいという利用者に対して活用を促進させるテンプレート機能を具備。テンプレートを用いたチャットや、優良な テンプレートの共有が可能
● テンプレート管理、アカウント管理、ログ管理、使用量の上限設定、チャット履歴保存等、ビジネス利用に必要な管理機能を具備
▼サービス概要
提供料金 | 1) 活用コンサルティングサービス:100万円~/件(実施内容により個別見積り) 2) お客さま個別環境構築支援サービス:個別見積り 3) テキスト生成AIサービス:月額料金990円~/ユーザ(税込)、33,000円/契約(税込) / 初期料金75,900円/契約(税込) テキスト生成AIサービスの料金、利用条件等の詳細はNTTスマートコネクトホームページにて公開予定となっている |
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サービス提供開始日 | 2023年8月22日(火)より提供開始(テキスト生成AIサービスは 2023年10月1日提供開始予定) |
役割分担 | 【NTT西日本】:お客さまご対応窓口、導入支援、活用シーン検討、人材教育実施 【NTTスマートコネクト】:テキスト生成AIサービス(チャット、管理機能の提供・保守運用)提供 |
行政分野における生成AIの利用に向けた実証を開始
NTT西日本グループは、山口県が設置・運営する、やまぐちDX推進拠点「Y-BASE」において、行政分野における生成AIの利用に向けた実証を2023年8月下旬から開始する。県や市町などの自治体業務での生成AIの活用のユースケースを今回の実証の中で抽出するなど、生成AIの行政分野での実装に向けて、セキュリティ機能の強化や、活用方法・事例の拡大等に取り組む予定だ。また自治体や企業のユーザーの業種、業態それぞれの特性に応じたテンプレート機能の拡充や、ユーザーの内部データをもとにテキスト生成が可能となる検索高度化機能の実装、より高度なセキュリティを確保できる構成でのサービス化検討等、さまざまな要望に対応できるようなサービス機能拡充、改善を進めていくと述べている。
■【動画】【PV(ショート版)】やまぐちDX推進拠点 Y-BASE
同取り組みに関して、山口県 総合企画部の田中純 氏と、日本マイクロソフト株式会社 執行役員の浅野智 氏が以下のように述べている。
山口県 総合企画部 デジタル推進局長 田中 純 氏
山口県においては、やまぐちDX推進拠点『Y-BASE』を核として、産業分野や行政分野等におけるデジタル実装を進め、デジタル社会の実現を図る取組、「やまぐちデジタル改革」を官民の連携・協働の下、推進しています。
この度、『Y-BASE』の事業パートナーであるNTT西日本グループと連携し、「Azure OpenAI Serviceを活用した新たな生成AIサービス」を、Y-BASEのクラウド基盤である「Y-Cloud」と連携・構築し、生成AIの行政分野での利用に向けた実証を開始することとなりました。
生成AIについては、行政、及び民間企業において、業務改革や業務効率化、新たな行政サービスの創出などが期待される一方で、セキュリティ、データ管理等、様々な課題もあることから、このたびの実証を通じ、生成AIの社会実装に向けた検証を行っていきたいと考えています。
日本マイクロソフト株式会社 執行役員 常務 パートナー事業本部長 浅野 智 氏
日本マイクロソフトは、西日本電信電話株式会社様と、エヌ・ティ・ティスマートコネクト株式会社様の「Azure OpenAI Serviceを活用した新たなサービス」提供開始を心より歓迎いたします。
Azure OpenAI Serviceは、言語とコードを深く理解した大規模で生成的なAIモデルを活用し、最先端のアプリケーションを構築するための新しい論理的思考と理解の機能を実現すると共に「責任ある AI」の実践により、エンタープライズレベルのAzureセキュリティを実現致します。
Azure OpenAI Service を活用した、コンサルティング、開発、運用、保守まで一貫したサポートにより、西日本地区の企業や自治体等におけるデジタルトランスフォーメーションの実現に寄与される事を期待しています。
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