ATR ロボットのスケボー練習施設「ロボットスケートパーク」を整備 人と共に学び協働作業できるAIヒューマノイド社会の実現へ

国際電気通信基礎技術研究所(ATR)は、NEDOの委託事業「人と共に進化する次世代人工知能に関する技術開発事業」において、世界初の試みとして、人がスケートボードなどスポーツを実施する時の脳波・筋電・モーションキャプチャなどのデータ収集と、ヒューマノイドロボットによる学習実験を並行・連携して実施できる「ロボットスケートパーク」環境をATRに整備したと発表した。

ATRは、京都大学、産総研と共同で、「ロボットスケートパーク」を活用し、実環境において人と共に学びながら協働作業ができるAI搭載ヒューマノイドロボットの実現に向けて、ロボット搭載用AIの俊敏な身体制御能力と瞬間的な判断能力を評価する研究に取り組むとしており、今後、NEDOとATRは、「ロボットスケートパーク」の環境拡充を加速し、さまざまな分野の研究者が人・AI共進化の共同研究などを実施できる拠点を目指す。

人とロボットが共に長所を生かし短所を補い活躍する社会へ

現在、AIを高度化させる深層学習により、ロボットの物体認識・把持の成功率は約90%に達している。また、バック転などができる高い運動能力をもつロボットの制御技術に特化した仕組みも開発されており、ロボットの利用場面の拡大に大きく貢献しており、今後はさらに人とロボットがそれぞれの長所を生かし短所を補いながら共に活躍できる社会の実現に向けて、実環境の多様な状況・タスクを人と同様に再現できる「賢い」ロボット搭載用AIの開発が求められる。

しかし、特殊なアクチュエータに頼ることなく、自由度が高いロボットに、人の運動をまねして、多様で俊敏な運動をするようなロボット搭載用AIの設計法が未開発であったことに加えて、こうした研究開発を行うための実験環境も未整備であったことから、現在まで実現されていなかった。

 このような背景の下、NEDOは2020年度から「人と共に進化する次世代人工知能に関する技術開発事業」をATRに委託。京都大学、産総研と共同で、人と同程度の俊敏な身体性で人と協働作業可能なヒューマノイドロボット搭載用AI「サイボーグAI」の基本技術の開発と、開発した「サイボーグAI」がもつ、人と同程度の身体性と実時間意思決定能力を定量的に評価するための実験環境「ロボットスケートパーク」の整備・拡充に取り組んでいる。

今回の成果

1:世界初、「ロボットスケートパーク」環境の整備

スケートボード実施時の人の脳波・筋電・モーションキャプチャといったデータの同時計測と、ヒューマノイドロボット)による学習実験を並行・連携して実施できる実験環境「ロボットスケートパーク」を、京都府精華町にあるATR敷地内のロボット実験棟(床面積486.92平方メートル、高さ7メートル内部に構築。

「ロボットスケートパーク」には、人やロボットのためのスケートボードランプ、人やロボットがスポーツをする際の安全設備、人やロボットの動きを計測するシステム、人の筋肉や脳の機能を同時計測可能とするワイヤレス計測システム、などが設置されており、人とロボット(ロボット搭載用AIを含む)のデータ収集、学習を同時に行うことができる実験環境は世界初となる。

2:「ロボットスケートパーク」環境の活用成果

今回整備した「ロボットスケートパーク」にて、ATRが開発中の「サイボーグAI」を搭載したヒューマノイドロボットにより、曲率に変化があるような複雑な環境内において、人の俊敏な運動をまねる動作の生成を達成した。

また、人が同様のスケートボード運動を行っている際の脳波・筋電などの生体信号を計測した結果、ポンピングやキックターンなどの運動が脳活動に関連があることも分かった。これは脳が制御する運動の単位に関わる可能性があり、ロボットが人をまねて学習する際に利用可能な要素であるだけでなく、人のスポーツの熟練度などの評価の目安となる可能性があるとしている。

さらに、人とロボットの運動を計算機上のサイバー空間で比較し、両者の類似性を視覚的に評価可能なソフトウエアを構築した。

今後の予定

NEDOとATRは、京都大学、産総研との連携の下、本事業において、「ロボットスケートパーク」環境を拡充しつつ活用することで、「サイボーグAI」に関する基本技術の開発加速を図るとともに、さまざまな分野の研究者が人・AI共進化の共同研究などを実施できる拠点を目指すとしており、2024年度には「NEDO懸賞金活用型プログラム」の中で「ロボットスケートパーク」環境にて収集したデータを活用したコンテストの開催を予定しており、連携して本コンテストのデータ整備のための調査を実施している。

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ロボスタ編集部

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