NEDOがロボット開発基盤整備事業を開始 7つの研究でロボットシステム普及目指す 実施予定の企業団体名一覧

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、多様な産業におけるロボットシステムの普及拡大を目的としたソフトウエア開発基盤構築に関する研究開発事業を開始すると発表した。「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/ロボティクス分野におけるソフトウェア開発基盤構築」で3テーマ、「デジタル・ロボットシステム技術基盤構築事業」で4テーマの計7件を採択した。


人手不足解決に向けたロボット活用の課題

現在、多くの産業分野で人手不足が深刻化しており、ロボットの活用に期待が高まっている。しかし、従来の人手に依存していた現場へのロボット導入には多くの課題が存在する。多品種少量生産でロボットが扱うモノが多種多様であることや、ロボット周辺環境の変化が大きいことなど、ロボット化の難易度が高いケースが多いのが実情だ。

運用開始後の条件変化により開発・運用コストがかさむことから、導入が見送られるケースも多く発生していた。また、従来型のロボットシステムでは、ソフトウェアのプログラミング言語が各ハードウェアごとに異なるなどの事情により、新規開発者が参入しづらい状況となっている。


オープンなソフトウェア開発基盤の構築

こうした課題を解決するため、NEDOは今回の事業でロボットシステムを構成する各機能をモジュール化し、品質や性能を可視化するソフトウェアの検証技術や各種ツールを開発・整備する。これにより、オープンなソフトウェア開発基盤を構築し、様々な開発者の参入を促進する。

ソフトウェア開発基盤構築事業の予算は、3年間で合計103億円となっている。製造業や建設業、警備など多様な現場に向けたロボットのシステム・インテグレーション(SI)効率化と、品質・信頼性・安全性の強化を目指す。3件の研究開発テーマは相互に連携するとともに、デジタル・ロボット事業で採択された4件の研究開発テーマとも連携する。デジタル・ロボットシステム技術基盤構築事業の予算は2.3億円だ。

■ポスト5G情報通信システ厶基盤強化研究開発事業/ロボティクス分野におけるソフトウェア開発基盤構築

採択テーマ 実施予定先
ロボットSI効率化に向けた品質・信頼性・安全性強化型ソフトウェア開発基盤の構築 国立研究開発法人産業技術総合研究所
イーソル株式会社
技術研究組合産業用ロボット次世代基礎技術研究機構
株式会社セック
パナソニック ホールディングス株式会社
富士ソフト株式会社
株式会社豆蔵
学校法人立命館
SI効率化と多彩なロボットシステムの創出を実現する共創基盤開発 川崎重工業株式会社
NTTビジネスソリューションズ株式会社
株式会社ダイヘン
株式会社FingerVision
株式会社安川電機
ヤマハ発動機株式会社
ugo株式会社
建設市場のロボティクス分野におけるソフトウェア開発基盤の研究開発 株式会社竹中工務店
Kudan株式会社
株式会社ジザイエ
アスラテック株式会社
燈株式会社
株式会社センシンロボティクス
中小製造業の自動化を支えるROS2を用いた動的ピッキングプラットフォームの構築 株式会社Thinker
先進技術の社会実装の加速を目的としたソフトウェア群の研究開発および実証 ヤンマーホールディングス株式会社
株式会社ファーストシステム
株式会社UCHIDA



■デジタル・ロボットシステム技術基盤構築事業

採択テーマ 実施予定先
ロボティクス分野におけるソフトウェア開発基盤を活用した建設ロボットシステムの研究開発 株式会社竹中工務店
鹿島建設株式会社
株式会社大林組
株式会社フジタ
LLM/VLM を用いた産業用ロボットの動作指示システムの開発 株式会社チトセロボティクス
中小製造業の自動化を支えるROS2を用いた動的ピッキングプラットフォームの構築 株式会社Thinker
先進技術の社会実装の加速を目的としたソフトウェア群の研究開発および実証 ヤンマーホールディングス株式会社
株式会社ファーストシステム
株式会社UCHIDA

NEDOはこれら二つの事業を一体的に進めることで、多様な産業分野へのロボットシステム普及を加速させ、産業全体の効率化と技術革新の推進を目指す考えだ。人手不足などの社会課題解決への貢献も期待される。

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