AI警備システムの有効性を検証する実証実験 三菱地所・下地島空港施設・下地島エアポートマネジメント

三菱地所株式会社、下地島空港施設株式会社、下地島エアポートマネジメント株式会社の3社は、セコムを監修者として、沖縄県宮古島市所在の下地島空港において、航空保安・空港警備の高度化および効率化を目的に、AIカメラを用いた警備体制の有効性を検証する実証実験を実施したと発表した。

 

日本初となる本格的なAI空港警備の実証

空港内の制限区域(駐機場周辺)を警備対象に含めたAIカメラによる空港警備の本格的な実証は日本で初となる。コロナ禍明け以降、海外を中心とした旅客便の復便と新規増便を背景に、各空港は受入体制の拡充を求められている。空港警備についても更なる強化が必要だ。

下地島空港では、2025年上半期(1~6月)の乗降客数が開港以来初めて20万人を超えるなど増加しており、関係する事業者間で連携して体制強化に取り組んでいる。しかし、警備の領域においても業務負荷や人手不足を起因とする人材の確保、年々厳しくなる気候を起因とする作業負担など課題を抱えていた。これらを解決し既存便・新規便を適切に受け入れるには警備の高度化・効率化が必要である。

 

実証実験の詳細と成果

3社はこうした警備上の課題に対してDXを通じ解決すべく、セコムを監修者としてAI監視カメラを活用した空港警備の実証実験を行い、技術面・運用面の課題の抽出およびリスクアセスメントを実施した。

実証実験は2025年6月16日(日)から20日(木)まで、下地島空港の国内線駐機スポット、旅客動線および旅客ターミナルで実施された。実証対象は以下の3つである。

1.機側監視:国内線の駐機場における、機体駐機中および駐機のない時間帯の侵入等監視
2.搭乗・降機動線監視:搭乗ゲートから機体側、または機体側から預入手荷物受渡場まで、徒歩移動する旅客が指定通路を逸脱・逆流しないで移動するか等の監視
3.投げ込み監視:保安検査を通過した旅客が危険物等を入手しないように不審な行動等の監視

旅客ターミナル一般エリアから駐機場までの警備ポストの一部をAIカメラによる監視に切り替えた結果、AIの支援機能が警備員負担の軽減やヒューマンエラーの予防につながる等、DXによる警備力の向上を確認した。

 

最大4割の効率化を実現する可能性

空港警備でのAIカメラ活用により、下地島空港では最大約4割の警備リソースの効率化が期待できる。3社は国土交通省航空局が推進する空港業務DXに寄与すべく、今後の実運用に向けた関係者協議を進めていく。

実証実験では、セーフィーのクラウドカメラと、マクニカのクラウド環境上で提供されるicetana社のAI技術を利用した。監視カメラの導入により空港エリア全体の監視が可能になり、加えてAIの支援機能がマルチタスクを担う警備員負担を軽減、ヒューマンエラーを予防し、警備力が更に向上したことが分かった。

実証した警備システムを前提に警備主体が異なる旅客ターミナル・空港施設・航空会社それぞれの警備を一体化することで、空港全体の警備効率化の可能性を確認できた(最大約4割程度)。

3社は旅客便の更なる乗り入れを通じ下地島空港および宮古島エリアの活性化を目指すとともに、AIなどのデジタル技術を活用することで社会・地域の課題解決に貢献していく方針である。

※本実証は、空港設置管理者(沖縄県)および航空会社(スカイマーク株式会社)に賛同・協力いただくことで実現している。

 

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杉田 大樹