菱熱工業がAI活用の施設管理システム「天才施設管理者」の提供開始

菱熱工業株式会社は、AIプラットフォーム「天才施設管理者」を開発し、2025年9月10日(水)より本格的なサービス提供を開始したと発表した。

 

現場と経営をつなぐAIソリューション

「天才施設管理者」は、製造や店舗などの現場施設データを集約・可視化し、経営層がタイムリーに現場状況を把握できるよう支援するAIプラットフォームだ。食品工場、外食店舗、シネマコンプレックスなどでの空調設備管理を中心に活用可能で、今後は幅広い業種への展開を計画している。

同社は3年間で100社の導入を目指すとしている。2025年8月にテスト運用を開始し、約1か月の試用期間を経て本格サービスの提供に至った。

 

主要機能は3つの柱で構成

「天才施設管理者」の主な機能は以下の3つに分かれる。

1.現場状況の可視化とトラブル対応機能
現場データを一元管理し、機器仕様や部品情報を検索可能にする。エラー原因の推定なども行い、経営層から瞬時に現場状況を把握できる仕組みを提供する。

2.経営判断・投資計画の支援機能
更新工事の履歴や予定を可視化し、固定資産台帳などと連携することで、データに基づく合理的な投資判断をサポートする。

3.技術継承と知識の標準化機能
ベテラン社員のノウハウをAIに蓄積し、若手社員への技術継承を促進する。これにより属人化を防ぎ、知識を標準化することが可能になる。

 

情報断絶問題の解決を目指す

開発の背景には、同社が長年直面してきた「情報の断絶」という課題がある。経済産業省「2024年版ものづくり白書」によれば、部門間で「連携できている」と答えた企業はわずか34.6%にとどまっている。

こうした状況を踏まえ、同社は現場と経営をつなぐAIプラットフォームの必要性を感じ、「天才施設管理者」の開発に至った。

同サービスは、設備管理に関する知見とRAG(検索拡張生成)技術を組み合わせ、固定資産台帳や点検報告書、HACCP関連文書などの重要データを活用可能にしている。システムベンダーとは異なる”設備の現場に根差したAI支援”を実現するとしている。

 

サービス概要と料金体系

導入プロセスは4段階で構成される。課題ヒアリング・方向性決定から始まり、学習データ収集・投入、AI構築(約2週間)・試用(1週間)を経て、運用開始後のフィードバック・改善まで一貫してサポートする。

料金体系は、初期制作費が20万円から。月額利用料は1アカウント4,000円(20アカウントまで)、21アカウント目以降は1アカウント3,000円となっている。年間契約が基本となる。

将来的には、故障報告の自動受付や協力業者への自動発注、経営判断の自動化など、AIによる「エージェント化」を進めていく予定だ。労働力不足やリスクマネジメントなどの経営課題解決に貢献するとともに、経営層から現場担当者まで誰もが使いやすく、幅広く活用できる意思決定支援ツールとして展開していくとしている。

 

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杉田 大樹

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