第1回は一般販売モデルの現状と未来、大量在庫処分のウワサに言及しました。
第2回はPepper開発チームの現状とAndroid対応版Pepperの状況を聞きました。
そして最終回の今回は海外展開等について聞きたいと思います。
神崎
最後にPepperの海外展開の話をお聞きしたいのですが、欧州や米国ではPepper販売の予定やそれまでのマイルストーンはどうなっていますか?
吉田
日本でも海外でも、新しいロボットの発売までには、「発表」「POCパイロット」そして「ローンチ」の三段階があると思っています。日本でもPepperの発表をした後、ローンチ前にネスレさんやみずほ銀行さんなどと提携してPOCパイロットを行いました。同様に欧米でもそれらの段階を経て発売する予定です。
まずは米国ですが、POCパイロットをウエストフィールドやオークランド空港で行っています。私達はこれを「POCパイロットプロジェクト」と呼んでいますが、米国ではその段階だと思ってください。ローンチ時期は決まってはいます。いつなのかはまだ明確には言えませんが、近いうちに米国でもローンチを発表する予定です。
神崎
日本の市場とは違うと感じますか?
吉田
感じます。顧客の反応は日本より厳しいと思います。そのため、日本より幾分、慎重にやっているのが現状です。
神崎
欧州の状況はどうですか? フランスの開発チームのこともあるのでもっと早いと思っていましたが
吉田
いえ、欧州はPOCパイロットの予定は決まっていますが、ローンチの予定はまだ決まっていません。いろいろな言語があることで、ローカリゼーションの手間が多いことも理由のひとつです。アジアでは台湾がPOCパイロットのフェーズに入っています。中国は発表はしたけれど、これからPOCパイロットを健闘する段階で、スケジュールは他の地域より少し遅れていますね

中国版PepperがYunOSである理由
中国市場向けのPepperはソフトバンクと交流が深いアリババグループ(Alibaba Group Holding Limited)が販売することになりました。その際、PepperのOSに日本と同じ「NAOqi OS」を採用せず、アリババグループの「YunOS」を搭載することになりました。クラウド環境も必然的にアリババの「Alicloud」になりますが、これまで同社はそうなった理由を明確にしていません。
神崎
中国版Pepperを「Alicloud」などの独自仕様にしたのはなぜですか?
吉田
法律上の問題があって「Alicloud」になりました。中国では中国製のクラウドOSしか使えません。そのため、日本と同じクラウド環境市場投入することは賢明ではないのです。われわれのグループにアリババがあり、アリババはクラウドやOSの技術やサービスを持っていたので、中国市場向けのPepperにはそれを使うことにしました。ただ、法律的な理由のほかに、Pepperの製品化には、音声認識やアプリなど、中国に合わせて開発しなければならないものがたくさんありますが、その環境を考えれば、アリババの技術を使った方がむしろ良いだろうという意見もありました。
神崎
今回はありがとうございました。疑問に思っていたことがスッキリしました。これからもPepperの進化を期待しています





