ソニーが開発した二足歩行ロボット「QRIO」(キュリオ)がロボカップ会場のソニー・ブースに展示されていました。
ソニーのロボットと言えば「AIBO」ですが、歴代AIBOと同じテーブルにあってひときわ異彩を放ち、圧倒的な存在感は、当時この姿に憧れた人々にとっては、ノスタルジーを誘うのに十分な再会となったにちがいありません。
しかも、QRIOは踊っていました。
まるで最新のロボット技術をお披露目するかのような、なめらかなダンスでした。
しかし実はこのダンス、QRIOが開発当時にプログラミングされたそのままのもの。
約15年も前に、ソニーはロボット技術において、これほどの滑らかな動きとバランス感覚を達成していたのです。
■ダンスの動画はこちら(終盤で珍しい予期せぬコラボが・・)
QRIOが見せてくれた夢
ソニーがQRIOを発表したのは2000年のこと。初代AIBOが発表されたのが、1999年6月なので、その翌年にはペット型のAIBOと併行して、身長50cmの小型ヒューマノイドロボットの開発を行っていることが明らかになったのです。
初代QRIOの歩行速度は分速12m、バランスをとって片脚立ちができ、集団でダンスを踊るシンクロダンス機能も発表されました。そして2003年12月、忘れもしません「世界初・走るヒューマノイドロボット ~歩行・跳躍・走行運動統合制御技術の開発に成功」のプレスリリースがソニーから出されました。(今でもその輝かしい功績を伝えるリリースは残っています(クリックしてジャンプ))
「歩行・跳躍・走行運動統合制御」とは「二足がともに路面から離れた非接地状態を含む運動、すなわち走行や跳躍などにおいても、ロボットを安定的に制御するための技術」のことです。わかりやすく言えば、どちらかの足をつけた状態で歩行するだけでなく、両脚が離れた状態での「走行」や「跳躍」を制御し、実現する技術です。
これらの発表を受けて「QRIOの商品化はまもなくでは」と、多くの人が待ち望んでいましたが、翌年の2004年にソニーは事業戦略の変更から、QRIOとAIBOの開発を中止することを決定しました。
残念ながらその時みた夢は叶わず、QRIOが量産されることはありませんでした。