Amazon EchoもGoogle Homeも「AIスピーカー」ではなく「スマートスピーカー」だ。

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Amazon Echoなど新しく登場してきたスマートデバイスを何と呼ぶべきなのか・・・。
ロボスタでは1年ほど前に社内で議論をし、AlexaやGoogle Assistantなどを「AI音声アシスタント」と呼び、これらを搭載したスピーカー、Amazon EchoやGoogle Homeなどを「スマートスピーカー」を呼ぶことにした。
「AIスピーカー」という言葉についても検討はしたが、本質はスピーカーではなく「AI音声アシスタント」であり、ヘッドホン、イヤホン、家電、車、ロボットなど他のデバイスに組み込まれていく流れの中で「AIスピーカー」というニュアンスには違和感があったのだ。
その後、専門メディアとしてロボスタでは「AI音声アシスタント」というジャンルを掘り下げて、スピーカー以外のデバイスもロボスタでは紹介してきたつもりだ。そしてスピーカーについてはスマートスピーカーと記載することを原則としてきた。
そんな中、Google Home、Amazon Echoの日本上陸からTVや新聞などの大手メディアもニュースとして取り上げるようになり「AIスピーカー」という言葉が目立つようになってきた。
今回はなぜロボスタが「AIスピーカー」ではなく「スマートスピーカー」と呼ぶことにしているのか、客観的な材料を交えて解説したい。


各メーカー、オフィシャルの呼び方は?

まず、Amazon、Googleなどスピーカーをリリースしているメーカー自身がどのように呼んでいるのかが重要だ。その呼び名が基本的に正しいものなのは言うまでもない。


Amazon Echo


Amazon Echoの公式サイトのタイトルタグは「スマートスピーカー」でページ内の説明も「音声だけでリモート操作できるスマートスピーカーです。」と明記されている。
発表時プレスリリースにおいては「Echo、Echo Plus、Echo Dotは、声で操作できる音声スピーカーです。」と記載されており、「AI」や「人工知能」といった言葉は一言もでてこない。
一方、海外のAmazon Echoの公式サイトは、「Hands-Free-Speaker」と記載される。
結論、Amazonは「スマートスピーカー」と呼んでいると考えて良いだろう。

Google Home


Google Homeの日本語公式ページのタイトルタグは「スマートスピーカー」となっている。
発表時プレスリリースにおいては「Googleアシスタントを搭載するスピーカー」と記載されており、Amazon同様「AI」や「人工知能」といった言葉は一言もでてこない。
一方、アメリカのGoogle Homeの公式サイトはタイトルタグで「Smart Speaker & Home Assistant」となっている。
結論、Googleは「スマートスピーカー」と呼んでいる。これは日本でも海外でもである。


LINE Clova Wave


LINE Clova Waveの公式サイトのタイトルタグは「スマートスピーカー」で、ページ内でも「音声で操作するスマートスピーカー」と明記されている。
発表時プレスリリースにおいては「AIアシスタント「Clova」を搭載したスマートスピーカー」と記載している。
ただし、2017年10月20日に発表されたTVCMのプレスリリースでは「AIスピーカー」と記載され、CM自体も「AIスピーカー」と表記されている。この表記のブレはSEOを意識したものではないだろうか。
結論、LINEは日本語で「スマートスピーカー」または「AIスピーカー」と呼ぶ。正確に言うなら、当初スマートスピーカーだったが、後にAIスピーカーとも呼ぶようになった。


Apple HomePod


Appleのスマートスピーカー「HomePod」。英語公式サイトでは「再生している場所に適応するパワフルなスピーカー」と説明されている。スマートスピーカー、AIスピーカーといった表現はされていない。
発表時の日本語プレスリリースでは「驚きの音質と知性を持った、Appleデザインのホームミュージックスピーカー」「家庭用ワイヤレススピーカー」と記載されている。
結論、Appleは単に「ワイヤレススピーカー」または「ミュージックスピーカー」と呼ぶ。AIスピーカーともスマートスピーカーとも呼んでいない。


Microsoft Cortana / Harman Kardon Invoke


日本語版は存在していないが、英語版オフィシャルサイトを見ると「インテリジェントスピーカー」と表現されている。
発表時プレスリリースにおいては「ボイスアクティベーテッドスピーカー(音声起動スピーカー)」と記載されている。
結論、Microsoftは「インテリジェントスピーカー」または「ボイスアクティベーテッドスピーカー」と呼ぶ。Apple同様、AIスピーカーともスマートスピーカーとも呼んでいない。


サードパーティーは?


「Amazon Alexa」や「Google Assistant」を搭載したサードパーティー製のスピーカーも各社から登場している。その呼び方も調べてみた。

オンキヨーは「スマートスピーカー」または「AI対応スマートスピーカー」。
ソニーは「スマートスピーカー」。
パナソニックは「スマートスピーカー」
Ankerは「スマートスピーカー」。
東芝は「音声対話デバイス」または「スマートスピーカー」。

結論、ほぼすべてが「スマートスピーカー」と呼ぶ。「AIスピーカー」を名乗るプロダクトは存在していない。


Wikipediaでは?


Wikipediaで検索すると「スマートスピーカー」、「Smart Speaker」は存在する。しかし「AIスピーカー」、「AI Speaker」のページは現在存在していない。
またWikipediaで「Amazon Echo(英語)」、「アマゾンエコー(日本語)」、「Google Home(英語)」、「グーグルホーム(日本語)」の記載を確認すると、いずれの説明も「スマートスピーカー / smart speakers」となっている。
Wikipediaを見る限りは、「AIスピーカー」は存在しておらず「スマートスピーカー」が日本語・英語においても主流であることがわかる。


Googleトレンドでの検索回数推移は?

検索キーワードのトレンドを調べることができるGoogleトレンドを使って、検索回数推移の比較を行ったデータが以下の通り。



日本の過去12ヶ月のデータは、2017年10月に入ってから「AIスピーカー」が優勢となっている。TVや新聞で「AIスピーカー」と呼ぶことが大きく影響したとみられる。



一方、アメリカだけ、もしくはすべての国を対象にしてみると、「AI Speaker」はほぼ使われないことがわかる。
ここでの結論は「AIスピーカー」と呼ぶのは日本だけであり、海外ではほぼ通じない言葉であるということである。一方「スマートスピーカー」はグローバルで使われる言い方であることがわかる。


Google検索結果数では?

日本でのGoogleのWEB検索の結果、ヒットしたページ数を以下まとめた。

スマートスピーカー
  約 1,700,000 件

AIスピーカー」(半角英数字)
  約 921,000 件

AIスピーカー」(全角英数字)
 約 618,000 件

ヒット数で見ると「スマートスピーカー」が「AIスピーカー」よりも多い。これは「スマートスピーカー」の表記で数年前から記事が蓄積されてきたことが要因だろう。ブログなどでもスマートスピーカーという表記を見かけることが多い。


それでもまだAIスピーカーと呼ぶ?

以上いくつかの観点で見てきたが、現状Amazon EchoやGoogle Homeを「AIスピーカー」と呼ぶ根拠が全く見つからない。メーカーもスマートスピーカーと呼び、グローバルにもスマートスピーカーと呼ばれているのだ。どこからAIスピーカーという呼び方が出てきたのかわからない。一部メディアが「AIスピーカー」と表現するのは何故なのだろうか。


Google Homeを「AIスピーカー」と呼ぶ場合、Google AssistantがAI、Google Homeがスピーカーということだろうか。ではGoogle Assistant搭載のandroid端末はAIフォンと呼ぶだろうか? これを我々は通常スマートフォンと呼んでいるはずだ。このルールで言えばやはりGoogle Homeはスマートスピーカーという呼び方が正しいと思うのだ。
海外大手プレイヤーはスピーカーに限らず「人工知能」、「AI」というワードを安易に使わない傾向にある。実際に一般の人がイメージする人工知能的なやりとりが可能なスピーカーはまだ存在していない。音声入出力のバックグラウンドにある技術はAI的な要素はあるものの、ユーザーが触れるアシスタントとしてはまだAIとはかけ離れていることは使えばすぐにわかることだ。
そんな状況の中、日本の一部メディアが「AIスピーカー」と報道することは、ユーザーを誤解させる可能性があるのではないか。やはり現時点ではスマートフォン、スマートスピーカーという流れの方が良いと筆者は考える。


【参考】スピーカーやスマホに搭載される音声システムを何と呼ぶ?


スピーカー呼び方ではなく、Alexa、Google Assistantなどスピーカーに搭載される音声でやりとりできるシステムをなんと呼ぶべきなのかも併せて調べておく。以下公式サイトからの呼び方をまとめた。

呼び方はスピーカーに比べると各社ばらばらである。Wikipediaでは、「AIアシスタント」の記述が多い。AIアシスタントとは、バーチャルアシスタントとのことで個人のタスクまたはサービスを実行できるソフトウェアエージェントと定義されている。海外では「Virtual Assistant」、「Intelligent Personal Assistant」、「Voice Assistant」などと呼ばれる。
なおロボスタではこれらを踏まえて、回りくどい言い方ではあるものの「AI音声アシスタント」と読んでいるのは前述の通りだ。


【参考】新語・流行語


ユーキャン新語・流行語大賞2017のノミネート30語に「AIスピーカー」が選出されている。確かにAmazon EchoやGoogle Homeの上陸は話題だ。ノミネートされる事自体は歓迎している。
しかし、なぜ「スマートスピーカー」ではなく「AIスピーカー」が選ばれたのだろうか。
このノミネートは「現代用語の基礎知識」収録の用語をベースにしているというが、言葉のプロとして大賞事務局がどういう経緯で選出しているのか、その理由が知りたいところだ。なお、「授賞語は、言葉のニュアンス違いから、表記が違ってくる場合があります。」という注意書きもあるため、受賞した際には表記が変わる可能性もあるという。引き続き結果を注目したい。

僕はこう思った:

いろいろ書きましたが、メディア事業としてはSEO的視点も無視できず、ロボスタではAIスピーカーと記載している記事も実はゼロではありません。最近では「スマートスピーカー(AIスピーカー)」という表記をした記事もあります。もちろん本当は違うと思ってるんですが、いろいろ大人の事情というものもあります。やれやれ。



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《中橋 義博》

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中橋 義博

中橋 義博

1970年生まれ。中央大学法学部法律学科卒。大学時代、月刊ASCII編集部でテクニカルライターとして働く。大学卒業後、国内生命保険会社本社において約6年間、保険支払業務システムの企画を担当。その後、ヤフー株式会社で約3年間、PCの検索サービス、モバイルディレクトリ検索サービスの立ち上げに携わる。同社退社後、オーバーチュア株式会社にてサービス立ち上げ前から1年半、サーチリスティングのエディトリアル、コンテントマッチ業務を担当する。2004年に世界初のモバイルリスティングを開始したサーチテリア株式会社を創業、同社代表取締役社長に就任。2011年にサーチテリア株式会社をGMOアドパートナーズ株式会社へ売却。GMOサーチテリア株式会社代表取締役社長、GMOモバイル株式会社取締役を歴任。2014年ロボットスタート株式会社を設立し、現在同社代表取締役社長。著書にダイヤモンド社「モバイルSEM―ケータイ・ビジネスの最先端マーケティング手法」がある。

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