スタンフォード大学の博士号を持つロボット工学研究者トニー・ジャオ氏(CEO)とチェン・チー氏(CTO)が設立した設立したAIスタートアップのSundayは、2025年11月19日(水)、ステルスモードを脱し、家庭用パーソナルロボット「Memo」を正式に発表した。Memoは、皿洗いや洗濯、片付けといった日常の家事を代行することを目的に開発された。
現実世界のデータで学習する新世代ロボット
Memoの最大の特徴は、その学習方法にある。同社が特許を持つウェアラブルデバイス「Skill Capture Glove」を用いて、500以上の実際の家庭でデータ収集を実施。人々が日常的にどのように動き、掃除し、整理整頓しているかを記録。これにより、約1,000万エピソードにも及ぶ、多様かつ高品質な本物の家庭内ルーティンデータを収集することに成功した。
従来の家庭用ロボットの多くは、研究室などの管理された環境で訓練されるため、予測不可能な現実の家庭環境への適応が困難だった。しかし、膨大な実世界データで訓練されたMemoは、キッチンやリビング、洗濯スペースといった雑然とした空間にも柔軟に対応できる。食卓の片付けから食洗機の操作、衣類の折りたたみ、靴の整理、さらにはエスプレッソを淹れるといった、一連の流れを伴う「長時間タスク」の実行能力を持つという。
Sundayの共同設立者兼CEOであるトニー・ジャオ氏は、「これまでの課題は常にデータだった。我々のSkill Capture Gloveは何百もの家族から数千時間に及ぶ日常業務を収集することで、この状況を変える。その実践的な知識により、Memoは家族が本当に必要とするスキルを身につけることができる」と述べている。
安全性と家庭への調和を追求したデザイン
Memoは家庭での使用を前提とし、安全性と安定性が最優先で設計されている。人間のような二足歩行ではなく、バランスに優れ軽量なローリングベースを採用。万が一の停電時にも転倒するリスクを回避し、安定した状態を保つことができる。
外装はシリコンで覆われており、柔らかく親しみやすいデザインとなっている。これにより、ロボットが家庭内にあっても生活空間に自然に溶け込むことを目指している。
2026年後半にベータ版提供開始、参加者募集へ
Sundayは、発表と同日の2025年11月19日(水)から、Memoのベータプログラム「Founding Family Beta」への参加申し込み受付を開始した。このプログラムは2026年後半に開始される予定で、アーリーアダプターとして50世帯が選ばれる。
同社に出資するBenchmarkのジェネラルパートナーであるエリック・ヴィシュリア氏は、「トニーとチェンのアプローチは、ロボット用のデータを大規模に収集することを可能にした。彼らの取り組みは、ロボットが我々の日常生活で実際に機能する未来への指数関数的な成長の始まりを示す」と期待を寄せている。