Embodied AIと汎用ロボットのGalbot 複雑タスクを自律実行する「DexNDM」「NavFoM」を発表

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Embodied AIと汎用ロボットのGalbot 複雑タスクを自律実行する「DexNDM」「NavFoM」を発表

Embodied AIと汎用ロボット開発を手がける中国のGalbotは、ロボットの能力を飛躍的に向上させる2つの画期的な新技術、「DexNDM」と「NavFoM」を発表した。
清華大学、北京大学、アデレード大学、浙江大学との共同開発によるこれらの技術は、ロボットが多様な環境で複雑なタスクを自律的に実行するための大きな一歩となる。

DexNDMはロボットによる器用な操作を、NavFoMは自律的な移動能力をそれぞれ革新するもので、製造、物流、ヘルスケア、小売など幅広い分野での応用が期待される。

DexNDM:ロボットの指先に宿る高精度な操作能力

DexNDM (Dexterous Hand Neural Dynamics Model) は、ロボットが手の中で物体を巧みに回転させることを可能にするニューラルダイナミクスモデルである。従来モデルが苦手としていた、様々なサイズや形状の物体への対応を実現した点が大きな特徴だ。微細な電子部品から本や工具のような複雑な形状の物体まで、手首の向きに関わらず安定した高精度な回転が可能となる。

この技術は、専門タスクに特化した複数のポリシーを学習させた後、それらを一つの汎用的な戦略に統合する「専門家からジェネラリストへ」という独自のアプローチを採用。これにより、異なる種類のロボットや環境にも最小限の調整で適応できる柔軟性を獲得した。

Galbotは既にDexNDMを遠隔操作システムに統合しており、ネジ締めや釘打ちといった複雑な作業を、人間が大まかな指示を出すだけでロボットが自律的に指先を動かして実行できることを実証している。この技術は、製造現場での精密な組み立てや、物流での細かなピッキング作業の自動化を大きく前進させる可能性を秘めている。

NavFoM:あらゆるロボットを導く統一ナビゲーション基盤

NavFoM (Navigation Foundation Model) は、世界初となる「クロスエンボディメント(多様なロボット形態への対応)」かつ「クロスタスク」対応のナビゲーション基盤モデルである。四足歩行ロボットや車輪付きヒューマノイド、ドローン、さらには自動運転車など、形態の異なる様々なロボットに適用できる点が最大の革新性だ。

このモデルは、事前の地図情報や追加学習なしに未知の環境を自律的に移動できる「ゼロショット」能力を持つ。屋内・屋外を問わず、混雑した公共空間や障害物の多い地形でも、リアルタイムで状況を認識・判断し、最適な経路を計画・実行する。

また、「あの人を追って」「赤い車のところまで行って」といった自然言語による指示にも対応可能。

さらに、従来は個別に開発されていた認識、判断、行動の各機能を一つのシステムに統合することで、ロボットの自律移動能力を新たな次元へと引き上げる。

実用化への加速

これら2つの技術は、製造、物流、ヘルスケア、小売など、様々な産業でロボットが現実世界の複雑なタスクをこなす可能性を大きく広げることが期待される。

2023年に設立されたGalbotは、主力製品である汎用ロボット「Galbot G1」を既に各業界に投入し、1年以上の安定稼働実績を持つ。また、同ロボットを活用した完全自律型店舗「Galbot Store」を20以上の都市で20店舗以上展開している。

同社はこれまでに4億ドル以上の資金を調達しており、今回の新技術発表は、同社の描くロボット社会の実現をさらに加速させるものとなるのではないだろうか。

《ロボスタ編集部》

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