株式会社アトラックラボは、災害現場や危険環境での捜索・調査活動を支援する六脚スパイダーロボットを開発したと発表した。瓦礫や段差の多い不整地を安定して走破しながら、対象物に直接触れて状態を判断する「触診」機能を備えたフィジカルAIロボットだ。
車輪型では進めない現場のために六脚を採用
近年、大規模地震や豪雨災害の増加に伴い、人が立ち入ることが困難な現場で活動できるロボットへの期待が高まっている。しかし従来の車輪型やクローラー型ロボットは、瓦礫や段差の多い現場では走行性能に限界があり、十分な調査ができないケースも少なくなかった。カメラ映像だけでは対象物の状態を正確に把握できず、安全性の判断や救助活動に必要な情報が不足するという課題もあった。
アトラックラボはこうした課題の解決に向け、高い走破性能と「触って判断する」機能を兼ね備えた六脚スパイダーロボットを開発した。6本の脚を独立して制御することで、車輪型ロボットでは進入が困難な瓦礫や段差、不整地でも安定した歩行を実現する。
四脚歩行・二脚触診で調査を同時に行う
本機の最大の特徴は、通常は4本の脚で姿勢を保持しながら、残る2本の脚を用いて対象物に接触し、触診を行う独自機能にある。歩行と調査を同時に実現することで、災害対応や設備点検の効率を高める狙いだ。
対象物へ直接触れることで硬い・柔らかいといった物理的な特性を判定でき、カメラ映像だけでは得られない情報を取得できる。倒壊建物内の状況確認や設備点検など、より精度の高い判断を支援する。
AIによる画像認識と触診情報を組み合わせることで、周囲の環境や対象物を総合的に認識する。「見る」だけでなく「触れて判断する」新しいフィジカルAIとして、より高度な現場対応を可能にするとしている。
想定用途は災害対応からプラント点検まで
想定される用途は、災害現場での捜索・調査、倒壊建物内の状況確認、被災者捜索支援、インフラ設備点検、プラント設備調査、危険区域の遠隔調査、消防・防災分野、原子力・化学プラントの巡回、大学・研究機関でのロボット研究など多岐にわたる。
アトラックラボの代表取締役である伊豆智幸氏は「災害現場では『見える情報』だけでは十分ではない。対象物に触れ、その状態を把握することではじめて、安全で適切な判断が可能になる。今回開発した六脚スパイダーロボットは、瓦礫を乗り越える走破性能と、触診による情報取得を組み合わせた新しいフィジカルAIロボットだ」とコメント。
同社は今後、本ロボットを災害対応、防災、インフラ点検分野での実用化に向けて開発を進めるとともに、自律歩行技術やAIによる環境認識、遠隔操作システムとの連携を強化していく方針だ。視覚・触覚・AIを統合したフィジカルAIプラットフォームとして、人が立ち入ることが困難な環境での調査・点検・救助活動を支援していくとしている。