世界的なエレクトロニクスメーカーのMolex(モレックス、イリノイ州ライル)は、ヒューマノイドロボットの関節やアクチュエータ向けに開発した超小型のハイブリッドコネクター「MiniMix パワー・信号用ハイブリッドコネクター」を発表した。
電力供給と高速データ通信を1つのコネクターに統合することで、ロボットメーカーが直面している量産化の際の配線工程のボトルネックを解消する。
試作から量産への移行で顕在化する配線の課題
Molexのコンシューマーアンドコマーシャルソリューションズ部門プレジデント兼SVPを務めるブライアン・ハウゲ氏は、「ヒューマノイドロボットメーカーは、試作品の構築から商業向けの大量生産へと急速に移行しているが、従来のジョイント配線方法が深刻な製造ボトルネックを生じさせている」と指摘する。
ヒューマノイドロボットの手首や肘、膝、足首、ネックアセンブリーといった多軸多関節部は年々小型化が進んでおり、狭いスペースの中で高出力の配線と高速の制御データ伝送を両立させることが、業界共通の課題になっている。
従来は電力用と信号用のコネクターを個別に使用するのが一般的だったが、コネクターがかさばって狭いスペースに収まりきらず、最終組み立て時に裸線を手作業で配線し端子を手はんだ付けせざるを得ないケースが多かった。これにより潜在的な故障点が増え、生産性の低下にもつながっていた。
業界最小クラスの配線プロファイルを実現
MiniMixは、最大15.0Aの電力供給と、1Gbpsの高速通信規格「1000BASE-T1」イーサネット通信を単一の統合インターフェース内にまとめたのが特長だ。配線に必要な開口部は最小5.65mmまで小型化されており、他の選択肢と比較して配線領域を最大50%削減できるとしている。これにより、狭いアクチュエータチャネルや多関節の四肢、ロボットジョイント、エンドエフェクター内にも、端子処理済みのケーブルアセンブリーをスムーズに通すことが可能になった。
コネクターはストレートおよびライトアングルの2種類の嵌合方向で提供され、内部スペースの利用効率を高めながらケーブルの応力ひずみを抑制する。耐振性を備えた堅牢な機械的設計により、ロボットの反復動作や絶え間ない屈曲にも耐える耐久性を確保したという。
ジョイントアクチュエータが部品コストの4~6割を占める
Molexが引用したマッキンゼー・アンド・カンパニーによる2026年のサプライチェーン分析では、ヒューマノイドロボットの総部品表(BOM)のうち、ジョイントアクチュエータシステムが40~60%を占めるとされる。1台のロボットには約50カ所もの多関節ジョイントアクチュエータが組み込まれることもあり、配線の複雑さを解消しハーネス重量を軽減する統合接続ソリューションの重要性は今後さらに高まるとみられる。
MiniMixは現在、デザインインや共同評価向けにサンプルと機能評価アセンブリーの提供を開始しており、完全な商業生産への移行は2026年後半を予定している。Molexは、NVIDIA Jetson Thorなどのコンピューティングプラットフォームに電力を供給する高密度コネクターや、LiDAR・触覚センサー向けの超小型コネクターなど、ヒューマノイドロボット向けの幅広い接続ソリューションを提供しており、MiniMixを他の高出力コネクターと組み合わせることで、量産に対応したハードウェア基盤をロボティクスOEM各社に提供するとしている。
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