ソニーモバイルの「Xperia Hello! SDK 勉強会」が開催されました!

7月30日、ソニーモバイルコミュニケーションズ株式会社はコミュニケーションロボットXperia Hello!の企業向け専用アプリケーションを開発できる「Xperia Hello! SDK」の提供を開始しました

これによりビジネス用途で自由にXperia Hello!のアプリケーションを開発することが可能になりました。

発表の翌日、7月31日にさっそく品川のソニー株式会社本社でXperia Hello! SDK勉強会が開催されたので、その様子をお伝えします。


ロボスタ勉強会ということで、司会進行とモデレーターは、ロボスタの西田が行なった

会場はこちら、ソニー株式会社の本社にある会議室です。



会場では参加者にコーヒーやお菓子などが振る舞われました。



Android搭載プロジェクター「Xperia Touch」がお品書きの案内


Welcome to Xperia Hello! World

まずはソニーモバイルコミュニケーションズ株式会社 倉田さんから「Welcome to Xperia Hello! World」という題目で「Xperia Hello!」を紹介。


ソニーモバイルコミュニケーションズ株式会社 第3ビジネスユニット シニアテクニカルプロデューサー 倉田宜典氏

自己紹介は、倉田さんがXperia Hello!と並行して担当しているバーチャルアナウンサー沢村碧(さわむら みどり)さんが行いました。



倉田さんはソニー入社後、HomeAudioの組み込みソフトウェアの開発からスタートし、初代AIBO、二足歩行ロボットQRIOに関わり、現在はコミュニケーションロボットXperia Hello!とバーチャルアナウンサー沢村碧などを担当しています。

さて、「18、42、03」の3つの数字が書かれたスライドからはじまりました。この数字、どんな数字かわかりますか?



正解は、倉田さんが関わってきたロボットAIBO、QRIO、そしてXperia Hello!の自由度です。Xperia Hello!が3自由度とはその少なさに驚きます。



Xperia Hello!は「3自由度」でも大きな表現力を持つロボットです。

まず外見的な特徴の説明から。見た目にまず水筒のようなツルッとした形状ですが、これはシンプルなデザインにしたいというデザイナーの要望だけでなく、安全性も考慮した結果なのだそうです。



ロボットに突起物があると子供がそこに指を挟んで怪我をしたり、突起物に負荷がかかってロボット本体がそこから壊れやすくなるリスクがあります。そこを考慮してXperia Hello!はこのような形状になっています。

Xperia Hello!は中心軸を生かした設計で、重たいものを下に置いて中央に寄せられています。これにより駆動部が軽く動かせる、音も静かにできる、負荷が減らせてコントロールしやすい、そして壊れにくいという特長が生まれます。



「オールウェイズリスニング=いつでも音声聞き取りをしてくれる」という点にこだわって作られているのも特徴の一つ。そのためには常に給電している状況、すなわち常にコンセントに繋がっている状況にこだわっています。これにより、電池切れが起こらず常に聞き取り状態となり、CPUもフルパワーで利用することができます。

これはロボット自身が動かないので自由度を減らせ、故障率を下げることが出来るという割り切りの判断でもあります。

首の部分がパン(左右)とチルト(上下)の2自由度。パンとチルトの位置に工夫がされており、2軸で首をかしげるような動きが可能です。



そして顔部分には片目ごとに5つ、両目で10個のLEDが入っています。プログラムによって瞬きするような光らせ方も可能です。



これらの機構で様々な表現が可能になります。

今回提供される「Xperia Hello! SDK」では400くらいの動きがプリセットで入っているため、プログラミングする時にイチから動きを作る必要はありません。ロボットアプリデベロッパーにとってはモーション作成に時間が取られず、他の重要なことに注力することができます。



Xperia Hello!には人感センサーが入っています。センサーで人を感知したのをトリガーにして、CPUを起こしたり、何かの動作をさせたりなどを行うことができます。ロボットアプリデベロッパーの方の創意工夫により色々なことが可能になるでしょう。



カメラはスマートフォンのXperia品質のものが入っています。部屋の中など、比較的暗いところでもきれいに撮影することができます。



Xperia Hello!は音声認識や画像認識をSDKに内包していません。これには理由があります。

業務用でロボットを利用する際、家庭で使われる用途とは異なる状況であることが多いです。家庭では家族の人数分だけ顔認識できればいいことが多いですが、例えば企業の入館用に使うという場合には数百人の顔認識が必要になることもあるでしょう。

こう考えるとビジネス用途では、状況によって様々な要求が発生するので、音声認識や画像認識はそれぞれの要求に応じてチョイスするほうがよいのではないかという思想です。

Xperia Hello!の第一フェーズは、家族の一員として日々の暮らしをアシストするコミュニケーションロボットとして展開していました。

今回のSDK提供からが第二フェーズです。SDKを使ってXperia Hello!の開発を行い、ビジネスを推進させていくことを目的としています。



Xperia Hello!では、「ロボットのアプリケーション開発を通じてビジネスが成り立つようなことをソニーモバイルとして目指したいと思っています」と倉田さん。

倉田さんが関わってきた初代AIBOやQRIOでの体験をふまえ、今のロボットに何が大切かの喧々諤々な議論を重ね、真剣に考えられて作られたのがXperia Hello!であると知ることができたお話でした。

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北構 武憲

本業はコミュニケーションロボットやVUI(Voice User Interface)デバイスに関するコンサルティング。主にハッカソン・アイデアソンやロボットが導入された現場への取材を行います。コミュニケーションロボットやVUIデバイスなどがどのように社会に浸透していくかに注目しています。

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