自動車業界では自動運転車の安全性に関する、強力で、透明性が高く、技術的に中立な規格の必要性がますます高まっている。
そのような流れの中、世界的自動車部品サプライヤーであるヴァレオは1月8日、ラスベガスで開催されているCES 2019において、モービルアイの数理安全モデルResponsibility-Sensitive Safety(RSS)に基づく新しい自動運転車(AV)安全規格の自動車業界内での普及を目指し、同社とこの開発と推進に関するパートナーシップ契約を締結した。
モービルアイはカメラとその解析によって周囲の危険を察知し、衝突事故防止や抑止を実現する高度運転支援システムを目指す企業で画像認識用の半導体開発も手がけている。2017年3月にインテルに1兆7,000億円で買収された。BMWグループ、インテルと自動運転での連携を発表しつつ、、独フォルクスワーゲンと連携して自動運転の配車サービスも手がける見込みだ。
RSSは、自動運転車の安全性に関する業界標準の定義を作成する上で技術的に中立な起点であり、論理的に実証可能なルールと定義された回答を使用して、検証可能なモデル内で安全運転の人間の概念を数式化したもので、安全性を教えるために何百万キロもの運転履歴を用いなくても、安全についての定義を行える。
自動運転の主要企業は、自動運転用初のオープンソース開発プラットフォームであるBaidu(百度)のApolloプロジェクトのようにRSSモデルの採用が徐々に始まっており、政府も自動車業界も、RSS規格を自動運転車の安全性の重要なモデルとして認識している。
■【動画】モービルアイ公式サイトによるRSSの説明(英語)
今回のパートナーシップは、両社は欧州、米国、中国でRSSモデルの技術標準の採用を促進するために必要なポリシーと技術を共同で開発することや、安全な自動運転車の検証と商用展開のためのフレームワークの原案作り、RSSモデルに関する公的研究への資金提供、規格草案の作成、および主要な作業部会や専門の標準化団体などへの参加が含まれている。
また、この提携は、他業界と共に将来のモビリティのためのエコシステムを構築するという同社のアプローチに則ったものであり、同社としては、カメラやレーダー、超音波センサーに加え、自動車への搭載で要求される堅牢さを備え現在唯一量産されているレーザースキャナー・ヴァレオ SCALAをもつ業界で最も幅広いセンサー群を揃えた認識システムの世界的リーダーとしての専門知識によって貢献すると述べている。
同社の会長兼最高経営責任者であるジャック・アシェンブロワ氏は以下のようにコメントした。
ヴァレオ 会長兼最高経営責任者 ジャック・アシェンブロワ氏
自動運転車、特にセンサーと車両認識システムに関する確かな専門知識と経験をもち、安全性を最優先に掲げるヴァレオは、自動運転車の安全基準の最高レベルを達成することを目指して、RSSをサポートし、協力します。
自動運転と半導体と言えば、NVIDIAを思い浮かべるが、インテル陣営はウェイモ(Google)やコンチネンタル、バイドゥなどとも関係を深めていて、いよいよ混沌としている。