iRobot、「ブラーバジェットm6」を日本市場に投入 ルンバi7と連携する床拭きロボット

アイロボットジャパン合同会社は2019年7月23日、床拭き掃除ロボットの最上位機種「ブラーバジェットm6」を7月26日から認定販売店と公式ストアで販売開始すると発表した。単品でも使用できるが、ルンバのフラッグシップである「ルンバi7」と一緒に使用すると、ロボット同士が連携。ルンバによる掃除の後に自動的にブラーバが起動し、床拭き掃除を行うことができる。価格は69,880円(税抜き)。現時点ではサブスクリプションモデルでの提供予定はない。

ルンバと連携し、ルンバ掃除後に自動起動して拭き掃除で仕上げする


「ロボットの集合体」がスマートホーム

アイロボットジャパン合同会社 代表執行役員社長 挽野元氏

アイロボットジャパン合同会社 代表執行役員社長の挽野元氏は、アイロボットがロボット掃除のシェアを、2018年上期が6割だったのに対し、今年上期は7割に伸ばしたと発表。ロボット掃除機カテゴリーの市場成長率は10%。掃除機カテゴリーにおけるiRobotシェアは2019年6月以降は10%を超えている。ロボット掃除機が掃除機購入時には必ず選択肢に入り始めたことを示すという。

掃除機カテゴリーでのiRobotシェア

アイロボットはスマートホーム構想を掲げている。ロボット掃除機もその一歩だ。シンプル、オートメイテッド、パーソナルを掲げている。ロボットはそれぞれ単体のミッションで動いている。だが今後は、「家自体もロボットになる」という。

アイロボットのスマートホーム構想

そして「ロボットの集合体」がスマートホームであり、個別のIoTデバイスが自動的にシステム連携すると述べた。

人が何もしなくても各種IoTデバイスがシステム連携するスマートホーム

アイロボットCEOのコリン・アングル氏は20年前から夢を持っていたという。人が手をわずらわせることなく掃除ができるようなロボットの実現だ。その夢実現の第一歩が「ルンバi7」である。「Responsive Intelligence」によってロボットが家を把握し、自動的に掃除し、クリーンベースがゴミを集める。理想は存在感のない、人間が気づかないうちに掃除をしてくれるロボットだという。

「Imprint Link」機能でルンバと連携

そのさらなる相乗効果を生むものが、今回の「ブラーバジェットM6」だと紹介した。「Imprint Link」機能により、ルンバi7と連携する「コラボレーティブ・インテリジェンス」を持つ。挽野氏は「人は何もしなくても家が綺麗になるテクノロジーだ」と述べた。「ロボットの可能性はスマートホームをステージとして、さらに広がっていく」という。




ルンバのあとにブラーバが拭き掃除で仕上げ

アイロボットジャパンプロダクトマーケティング部長 山内洋氏

機能は、アイロボットジャパンプロダクトマーケティング部長の山内洋氏が紹介した。「ブラーバジェットm6」は「ルンバi7」同様、間取り作成機能「Imprintスマートマッピング」で最大10種類の異なるフロアマップを作成・記憶する。1Fであれば1F、2Fであれば2F、それぞれの最適パターンで効率的に拭き掃除を実行する。最初はフロア全体を探索するように清掃を行うが、繰り返し清掃をすることで、一部屋ごとを効率的に個別に掃除していくようになる。特定の部屋のみ掃除することや、曜日や時間ごとに掃除範囲を指定することもできる。

間取り作成機能「Imprintスマートマッピング」

「Imprintスマートマッピング」は、プロセッサ速度の進化によって実現できるようになった機能だ。「ルンバi7」は、同900シリーズの33倍の計算処理速度を持っている。これらの技術は「ブラーバジェットm6」にも搭載されており、「ブラーバジェットm6」は、「『ルンバi7』のブラーバ版だと言える」という。

学習によって部屋間取りを把握、最適ルートで掃除する

なおルンバの清掃終了はクラウドで管理されているので、ブラーバの清掃開始もクラウドから指示されるかたちになる。ルンバとブラーバが入れる領域は異なるため、現時点ではマップは共有されておらず、個別に管理される。

「ブラーバジェットm6」は水拭きと乾拭き、二つの清掃モードを選択できる。一回の充電で最大60畳まで清掃が可能。効率的パターンで清掃できるようになったことで、水拭き面積を飛躍的に増すことができた。

水タンクも450cc程度に大型化。一気に60畳清掃可能に

「ブラーバ」シリーズでは初のカメラ搭載機種。アイロボット社の独自技術「iAdapt3.0ビジュアルローカリゼーション」によるナビゲーションで移動する。

シリーズ初の自動充電・再開機能を搭載している。またWifiにも対応し、スマホアプリのiRobot HOMEアプリで外出先からも清掃を開始できる。侵入禁止エリアもアプリから設定する。GoogleアシスタントやAmazon Alexaにも対応するので声で拭き掃除を開始させることもできる。

侵入禁止エリア設定可能

さらに、「Imprint Link」機能がない「ルンバ900」シリーズとの連携機能も年内に提供する予定。山内氏は「新たな拭き掃除の歴史が始まる」と述べた。




最小限の手間で拭き掃除を実現

アイロボットジャパンプロダクトマーケティング スペシャリスト 藤田佳織氏

アイロボットジャパンプロダクトマーケティング スペシャリストの藤田佳織氏は、「日本人と拭き掃除の歴史は長いが、今回の発表は、日本の拭き掃除の大きな転換点だ」と語った。家中の床を手で拭き掃除するのは時間面においても体力面においてもも大変だ。しかし今回の「m6」は家中の床を一度に拭き掃除できるようになり、キッチン、ダイニング、寝室などを日常的に、丸ごと拭き掃除できる。これはロボットならではの体験だという。カメラと「Imprintスマートマッピング」で効率的に、様々な種類の床を拭き掃除する。段差認識、自動充電などの機能も搭載した。

ブラーバは拭き掃除ロボットなので、カーペットやラグには乗り上げないし、水を吹きかけて濡らすこともない。今回のm6発売により、ブラーバのライナップは3種類になった。

階段からは落ちないが、カーペット上には乗り上げず濡らさない

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森山 和道

フリーランスのサイエンスライター。1970年生。愛媛県宇和島市出身。1993年に広島大学理学部地質学科卒業。同年、NHKにディレクターとして入局。教育番組、芸能系生放送番組、ポップな科学番組等の制作に従事する。1997年8月末日退職。フリーライターになる。現在、科学技術分野全般を対象に取材執筆を行う。特に脳科学、ロボティクス、インターフェースデザイン分野。研究者インタビューを得意とする。WEB:http://moriyama.com/ Twitter:https://twitter.com/kmoriyama 著書:ロボットパークは大さわぎ! (学研まんが科学ふしぎクエスト)が好評発売中!

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