オリィ研究所、外出困難な人達に新しい働き方を提供「アバターギルド」開設 難病や障がい者の就労を分身ロボットで支援

オリィ研究所は育児介護、難病や障がいなど様々な理由で外出困難となっている人が一歩を踏み出し、企業や自治体とともに新しい働き方を開拓するプロジェクト「AVATAR GUILD」(アバターギルド)を開始したことを発表した。(上の画像は分身ロボットでの就労事例 NTT提供)

すでに過去1年間で難病や重度の障がいなどで外出困難な人達が神奈川県庁、日本電信電話株式会社(NTT)、日本マイクロソフト株式会社、共和メディカル株式会社、三菱地所ホーム株式会社などにて就労を開始している。


共和メディカル株式会社提供

日本マイクロソフト株式会社提供
■AVATAR GUILDホームページ

・パイロットエントリー応募希望者
https://avatarguild.com/entry/index.html

・採用検討企業
https://avatarguild.com/company/index.html


外出困難な人達が働ける「分身ロボットカフェ」を2018年にオープン

オリィ研究所では2014年から重度障がい者を雇用し、重度障がいがあっても分身ロボットを操作できる様々なインタフェースの開発、またそれらを用いての社会参加、就労サポートを実施してきた。遠隔操作が可能な分身ロボット「OriHime」に加え、2016年にはALSなどでPCを操作できない人達の為の意思伝達システム「OriHime eye-swich」、2017年には接客や肉体労働が可能な全長120cmの「OriHime-D」を開発し、遠く離れた場所からテレワークを行う実験として、2018年より「分身ロボットカフェ」(英語表記:AVATAR ROBOT CAFE)を開催、実験を重ねてきた。


2018年にオープンした「分身ロボットカフェ DAWN ver.β」

これまで4度実施した分身ロボットカフェの実験では、病気や障がい、住んでいる場所などにより外出が困難な方が分身ロボットの”パイロット”となり、カフェスタッフとして働く実証実験を行い、接客、配膳、販売員、フロアマネージャー、司会、案内、シフト管理など様々な役割を担当、アバターワークの可能性を模索してきた。

このカフェ実験を行う中で、カフェの店員として働いているパイロットの姿を見た障がい者雇用や在宅ワーカーの雇用を促進したい企業から声があがり、そのうちいくつかの自治体・会社で雇用が実現した。

オリィ研究所の代表の吉藤氏は、「これまで在宅にいる人はよほど専門知識や技能がない限り、新たな仕事を探し就職する事は困難だった。私達の実施してきた障がい者雇用や分身ロボットカフェ実証研究で蓄積した知見、ノウハウ、データを就労を希望する外出困難者と採用を求める企業に提供することで、高い就労意欲があっても外出が困難で働くことができなかったより多くの人が、自分の意思で社会参加でき、社会にとっても人的リソースの問題解決に寄与できる世の中を目指す。」としている。



採用企業からのコメント(プレスリリースから引用)

■日本電信電話株式会社(NTT)ダイバーシティ推進室 室長 池田円 氏
当社では、分身ロボットカフェで出会ったパイロットに感銘を受け、2020年2月よりオフィスでの受付でOriHime-Dによる来訪者への応対および応接室へのご案内業務のトライアルを実施しました。パイロットのお二人がいつも明るく丁寧に対応してくださるため、お客さまや社員からの評判もよく、2020年5月からのパイロットの雇用、ならびにOriHime-Dによる受付業務の本格導入を決めました。ICTで不可能を可能とし、存在を運ぶ、この取り組みには多様な働き方の可能性を感じています。素敵なパイロットをご紹介いただいたオリィ研究所さまにはたいへん感謝しております。

■共和メディカル株式会社 統括本部 部長 西村翼 氏
オリィ研究所の「孤独を解消する」という理念に共感しOriHimeの導入を決定し、昨年9月には外食業界でご経験のあるパイロットを採用いたしました。パイロットは「後進に道を拓きたい」という志を持って、スイーツショップにおける販促活動、医療専門学校での講演活動、また広報活動も実施するなど種々の取組みで活躍頂いております。弊社もパイロットと共に仕事に取り組むことがオリィ研究所はじめ社会問題の解決に取組む方々の一助になればとの思いで色々とチャレンジして参ります。

■日本マイクロソフト株式会社 プリンシパルアドバイザー 大島友子 氏
当社ではオリィ研究所様にご紹介いただいた2名の方に、IT関連ニュースの翻訳、正式リリース前の製品の検証などを行っていただいています。
パイロットの方のお仕事として接客のイメージが強かったのですが、当社でお仕事をしていただくにあたって業務内容のご相談をしたところ、すぐにITエンジニアの経験がある方を紹介いただきました。お二人には技術的なタスクを難なくこなしていただいており、外出が困難というだけでこれほどの人材がいらっしゃるということを実感させていただき、当社としてもともに多様な働き方を推進させていただきたいと強く感じております。

関連サイト
「AVATAR GUILD」

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山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

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