スマートロボティクスが遠隔操作の「UV-C殺菌ロボット」実証実験 宿泊療養施設で殺菌と安全性の両立確認へ 神奈川県と

サービスロボットを開発するスマートロボティクスは神奈川県「新型コロナウイルス感染症神奈川県対策本部」協力のもと、新型コロナウイルス感染症の軽症者等の宿泊療養施設(アパホテル&リゾート横浜ベイタワー)にて「殺菌ロボット」の実証実験を行ったことを発表した。同社は現在、医療機関や教育機関、宿泊施設等の導入に向けたテストの準備を進めている。


UV-C 波長254nm殺菌灯を搭載した「殺菌ロボット」を遠隔操作

スマートロボティクスが開発した「殺菌ロボット」はパナソニック製の殺菌灯10本を搭載し、UV-C(紫外線)波長254nmを左右180度に照射することが可能。UV-C(紫外線) 波長254nmの照射は古くから様々な細菌において不活性化の効果が認められているが、直接人体に照射すると目の痛みや皮膚の炎症を起こす原因となり、ロボットを稼働させるには運用面で細心の注意が必要。そのため、同社は人の目で安全を確認しながら操作ができる遠隔操作を採用している。


「殺菌ロボット」はスマートロボティクスが今年4月にリリースした「テレワークロボット」の台車部分をベースとしてカスタマイズ展開した製品


遠隔操作による殺菌ロボットの有効性を実験

今回の実証実験は対策本部フロア(3F)から「殺菌ロボット」の遠隔操作を行い、「人が近くにいないか」「目指す場所に的確にUV-C照射が実行されているか」等、操作画面上で常時確認をすることで、最善の走行ルートを選択して殺菌を行うことができたという。


トータル約2時間の稼働実験

また、ルミテスター Smart(測定器)を使って殺菌効果の見える化も行った。UV-C照射前後で拭き取り検査を行ったところ、UV-C照射後の測定値はマイナス59%〜83%の改善が見られ、UV-C照射の殺菌効果を確認することができたという。


ルミテスターSmartとは、食品取扱現場や医療現場の衛生検査にも使用されている「ATPふき取り検査(A3法)」が行える検査ツール

今回のUV-C照射の殺菌効果は、「新型コロナウイルス」の不活性化(殺菌効果)を測定したものではない
実証実験の内容

・対策本部フロア(3F)に操縦者が待機し、ロボットの遠隔操作を行った。
・対策本部フロアから、稼働エリア(B1F)まで遠隔操作でロボットを走行させた。
・ロボット走行中もUV-C照射のON/OFFを遠隔で操作し、照射。
・とくにしっかりと殺菌をしたいポイント(「エレベータ開閉ボタン」「受付の受話器周辺」「食事配膳用机の上」)においては、3分間停止をして照射を実施。


遠隔からUV-C照射のON/OFFが可能な「殺菌ロボット」

スマートロボティクスの「殺菌ロボット」は、施設内の離れた場所や自宅から遠隔操作が可能。UV-C照射のON/OFFも遠隔にて対応可能な仕様になっているため、万が一、殺菌照射中に人が近づいてきた際には、素早くUV-C照射をOFFにできる。導入したその日から稼働させることができ、初期導入についても自律走行型ロボットのように初期導入コストが掛からないという。(UV-C 照射は必ず周囲に人がいない環境で行う)

カスタマイズで自律走行((ライントレース、SLAMなど)が可能だが、同社では導入する施設での走行ルートや時間帯、紫外線 UV-Cが人体に与える影響の理解が浸透してきたタイミングで自律走行への切り替えを推奨している。


殺菌ロボットの仕様
操作方式 遠隔
本体サイズ 410mm × 520mm × 1720mm
重量 約57kg(本体バッテリーを除く)
走行速度 最高速度 1.4m/s
連続稼働時間 走行8時間(4スロット分用いた場面)待機時24時間 ※バッテリー稼働
充電時間 約1.5時間(2スロット充電器2台使用時)
照射可能範囲 左右180度
波長 254nm(UV-C波長)
殺菌灯 10本(19.8W/本)※Panasonic製
定格寿命 8,000h
充電要件 AC100V~230V、50Hz-60Hz、6A

ABOUT THE AUTHOR / 

山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

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