ラピュタロボティクスの自動フォークリフトが「トラック積み下ろし/積み込み」が可能に クリアランス15cm幅にも対応

物流向けロボティクスを手がけるスタートアップであるラピュタロボティクス(Rapyuta Robotics)株式会社は、2024年7月19日、同社が2023年4月から販売している自動フォークリフト「ラピュタAFL」に「トラック積み下ろし」機能や、「ランダムな高さに対応可能なパレット段積み」、多数のパレットが積まれたような「狭いエリアでの平置き」(左右クリアランス片側15cm対応) などの機能を追加したと発表し、プレスや物流関係者向けにデモを行った。

*動画



機能追加によって自動荷役の役割を拡張する。既存機能である定点間搬送、垂直搬送機前後の仮置き搬送、格納・パレットピッキング機能に加え、倉庫内における自動荷役の幅広い業務の自動化が可能となり、自動フォークリフトの導入メリットがさらに向上するとしている。

クリアランスが15cmしかない「狭いエリアでの平置き」にも対応


■自動フォークは長距離搬送に活用するのが効果的

ラピュタAFL。自動フォークリフト市場はまだまだ発展途上で今後の成長が期待される領域

「ラピュタAFL」は2023年4月の発売以来、導入が進められている。公開されている事例は鈴与、安田倉庫、TOTO、SBSロジコムの4社。実際にはこれ以外の会社でも導入されており、中には4台導入されている現場もあるという。なお、ラピュタロボティクスは複数のロボットを連携させて効率よく動かす「群制御」技術を強みとしている。

*動画

「ラピュタAFL」は今回の機能追加により、倉庫の奥まった場所や複数のパレットが置かれているような、片側15cmの狭小クリアランスでのアプローチも可能になった。また、異なる高さであっても対応可能となった。事前に高さがわからない段であってもLiDAR(レーザーセンサー)を使って段の高さを計測して、パレットを取ったり置いたりできる。これにより、自動荷役の幅が広がる。

*動画

たとえばTOTO株式会社小倉物流センターでは2台の「ラピュタAFL」を使って上階から降りてくるパレットを出荷仮置き場まで自動搬送させている。垂直搬送機で降りてきたパレットを、「ラピュタAFL」がトラックバースの出荷仮置き場まで100m運ぶ。仮置き場まで自動フォークリフトが運んだあとは、有人のフォークリフトで搬送する。

*動画

この現場では2人分の作業をAFLで代替することで二人分の省人化を実現した。Rapyuta Robotics 自動フォークリフト事業部長の有元啓祐氏は「大型倉庫での長距離反復作業はもっとも効果的」だと語る。自動フォークリフトの作業速度はまだまだ人に敵わない。だがトップスピードを長時間維持できる長距離搬送にロボットを活用することで、適切な省人化が可能になる。


■ラピュタロボティクスの売りはソフトウェアと柔軟性

操作はタブレットで指定

「ラピュタAFL」への指示はタブレットで行う。比較的簡単なユーザーインターフェースで、直感的な操作が可能だ。移動させるパレットや場所などの作業内容をGUI画面で指示したあと、自動モードを指定してロボットを動かす。

AFLを使うことで「フォークリフト操作」の様子が大きく変わる。一人が複数台に指示を出して操ることも可能

顧客へは特に「柔軟性」をアピールしているという。自動フォークリフトの実際の運用には制約が多い。だが「ラピュタAFL」は床や壁へのマーカーなどを設置する必要はなく、レイアウト変更や運用の変更に対しても柔軟な対応が可能だ。自動フォークは事前に作成した地図に基づいてSLAM(自己位置推定と地図作成)を行って移動する。

運ぶパレットの置き場所については数十cm程度ずれていても対応できる。荷役精度にも対応する。パレットの種類についても、様々なサイズ・材質・厚さに事前に形状を登録しておくことで対応可能だ。

今回、新たに追加された機能である「トラック荷台への自動積み下ろし、積み込み」についても、トラックの荷台形状自体を「構造物」として登録することで対応する。フォークリフトのマストがぶつかりかねない、側面のウイングが完全に上がりきらないタイプであっても置き方を工夫することで自動荷積みができる。

*動画

現場ごとに異なる荷積みスタイルへの対応や、倉庫の管理システムとの対応その他については、今後、人との協働のあり方も含めて、実際の現場での運用を経て詰めていくとのことだった。


■自動化の価値を考えるときは「人の速さに惑わされ過ぎない」ことが重要

Rapyuta Robotics 自動フォークリフト事業部長 有元啓祐氏

「ラピュタAFL」の搬送能力(速度)は1時間あたりパレット30枚程度で、これは、ベテランの操作する有人フォークリフトのおおよそ半分程度に過ぎない。だが「1日あたりの生産性という観点で考えると、十分な生産性を上げることができるケースが多い」と有元氏は語る。

「人間は2倍以上いけるでしょう。でも、最高速度がどの現場でも必要かというとそうでもない。むしろ『人の速さに惑わされ過ぎない』ようにすることが、自動化の価値や全体の費用対効果を考えるときには重要」だという。

もちろん「セールストーク」ではあるものの、筆者も、この指摘はとても重要だと思った。たしかに、人はものすごく柔軟で、高速に作業をこなすことができる。だが、本当に目標にすべきは、そのトップスピードを出すこと自体ではない。1日あたりの生産性だ。特定の作業だけ速くなっても、そこで滞留しては意味がない。同様に、現状人手で行われている作業速度が適正とは限らない。今後人手が減少するなかで、業務を維持できるかどうか、そのための変化に対応できるかどうかだ。

ラピュタAFLは有人モードでの操作も可能

フォークリフトの運転には免許がいるし、熟練も必要だ。既に現場のなかには、十分な熟練した人手が確保できないため、作業手順を変えるところも出始めているという。これからさらに省人化を考えるためには、目の前の作業をそのまま自動機やロボットで置き換えることが適正なのか、本当に求められている結果は何なのかという観点から、新たに考え直す必要がある。

ABOUT THE AUTHOR / 

森山 和道

フリーランスのサイエンスライター。1970年生。愛媛県宇和島市出身。1993年に広島大学理学部地質学科卒業。同年、NHKにディレクターとして入局。教育番組、芸能系生放送番組、ポップな科学番組等の制作に従事する。1997年8月末日退職。フリーライターになる。現在、科学技術分野全般を対象に取材執筆を行う。特に脳科学、ロボティクス、インターフェースデザイン分野。研究者インタビューを得意とする。WEB:http://moriyama.com/ Twitter:https://twitter.com/kmoriyama 著書:ロボットパークは大さわぎ! (学研まんが科学ふしぎクエスト)が好評発売中!

PR

連載・コラム