自動運転ロボットが公道で自律配送、市民が体験 遠隔操作やルート最適化も 岡山県玉野市/三菱商事/三菱地所/東京海上日動ら

岡山県玉野市で、低速・小型自動配送ロボットのルート最適化を利用した「遠隔監視・操作」型の公道走行の実証実験が12月4日から始まった。小売店から複数の顧客に対して「ルート最適化技術」を用いて、医薬品や日用品を自動搬送ロボットが時速3kmの低速走行で配送する。


国の「成長戦略実行計画」に基づいたもので、三菱商事、三菱地所、東京海上日動火災保険が実施、ティアフォー、アイサンテクノロジー、オプティマインドが技術提供している。実証実験は12月11日まで。

出発式には玉野市のイメージキャラクターののちゃんが登場して、子どもたちも大喜び

ののちゃんと子どもたちに見送られて出発する自動搬送ロボット

自動運転を見守る遠隔監視・遠隔操作システムも実証実験


依頼主に商品を配送する公道の自律走行デモ

実証実験にあたり報道関係者向け発表が開催され、市長は「玉野からはじまり未来に繋げていくプロジェクトになる」と語り、ロボットや自律運転などハイテク技術による実証実験は都市部よりむしろ、高齢化が進む地方にこそ必要であり、将来的には日本全国に必要となるもの、とした。

岡山県玉野市長 黒田 晋氏

市庁舎からデモ走行をスタートする自律走行ロボット

一般車道を渡り・・

路側帯を走り

依頼のあった場所に到着、商品を届けに来たことを音声でアナウンス

自律走行ロボットから注文した商品を取り出す顧客

配送作業を終了して帰路につく


■ デモ走行の動画 (店舗で荷物を受け取って住民に自動配送)

画像/映像提供:三菱地所株式会社


将来はバスやタクシーも無人運転に

玉野市はものづくりの街として知られているが、黒田市長は「今回の実験によって得られた情報があらゆる分野で活用されることを期待したい」として、実証実験のデータが交通だけでなく、もの作りや高齢化、子育てなど、様々な分野に活用して欲しいと語った。また、玉野市では、100円で乗れるコミュニティバス「シーバス」と300円で市内の指定エリア内を移動できる乗合タクシー「シータク」を運行しているが、将来はこれらが無人で運行できるようになることが理想、と続けた。

自律走行ロボット。高さ105cm、長さ110cm、幅75cm。自動運転制御システムや3次元マップ、通信装置などを搭載する


実証実験の背景

高齢化が進み、公共交通機関の減少、免許返納などによって、地域の交通手段の維持と確保が課題となっている。更には、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、宅配需要が急増し、人手を介さない非接触型の配送ニーズも高まっている。こうした社会課題に対するソリューションとして、無人の低速・小型の自動配送ロボットを活用した新たな配送サービスの実現が期待されている。


また、政府の「成長戦略実行計画(令和2年7月17日閣議決定)」では、低速・小型の自動配送ロボットの社会実装に向けて、「遠隔監視・操作」型の公道走行実証を年内で可能な限り早期に実現したい、としている。さらに、その結果を踏まえて、早期に制度設計の基本方針を決定することも明記されている。

この実証実験において、技術的にはティアフォーが開発する自律走行ロボット「LogieeS」を使用している。更に、顧客注文情報などを基に計算した配送順と走行経路を算出するオプティマインドの「Loogia」を自律走行ロボットと連携することで、公道を利用したロボットが店舗で商品を受け取り、顧客へ自動配送するしくみを実現している。

オプティマインドは「配送ロボットをはじめとした自動運転配送が社会実装される近未来においては、人手を介在することなく配送情報などのデータが行き交うこととなり、配車管理および配送順・走行経路を自動で計算するアルゴリズムは、より一層、必要不可欠な技術・社会インフラとなります。オプティマインドは「Loogia」を自動運転車両やロボットに対して提供していくことを見据え、本実証実験に取り組んでいます」と語っている。


実証実験の概要

予定時期
令和2年12月4日(金)~12月11日(金)
実施エリア
玉野市役所を中心とするエリア(中央公園周辺)
内容
小売店から、周辺の住居/事業所など複数顧客に対しルート最適化技術を用いて医薬品/日用雑貨を配送


実施事業者名 主な役割

三菱商事株式会社
実験全体のコーディネート、全体統括
三菱地所株式会社
施設内におけるロボット運用、ノウハウ提供、助言
東京海上日動火災保険株式会社
新たな保険開発、緊急時対応体制、トラブルの予防体制への助言


パートナー企業 技術提供内容、役割

株式会社ティアフォー
オープンソースの自動運転ソフトウェア「Autoware」を活用した自動配送
ロボットの開発、実証実験の実行
アイサンテクノロジー株式会社
高精度3次元地図作製
株式会社オプティマインド
ルート最適化アルゴリズムの提供


画像/映像提供:三菱地所株式会社

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神崎 洋治
神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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