「ながら運転」「居眠り運転」をAIが自動で検知 デンソーテンが法人向け「安全運転管理テレマティクスサービス」に新機能搭載

社有車や営業車を管理している企業にとって、人の安全を守るために事故の未然防止を図ることが必要だ。しかし、万が一交通事故を起こしてしまった場合、経済的な損失だけでなく、社会的な信用失墜による事業機会損失にもつながるため、様々な企業で広く安全管理の意識が高まっている。

カーエレクトロニクスメーカーの株式会社デンソーテン(デンソーグループ)が、同社の法人向け通信型ドライブレコーダー「G500Lite」のサービス利用者の映像データを分析したところ、前方不注意や漫然運転など「ながら運転」や安全確認が不十分といった事故要因が非常に多いことが判明した。

これらの事故要因を普段から意識して、事故を回避する必要があると考えた同社は、今回新たに、「G500Lite」を用いて安全運転を支援する「安全運転管理テレマティクスサービス」において、ドライバーの脇見・スマートフォン操作による片手運転などの「ながら運転」「居眠り運転」をAIが自動で検知する機能や、道路交通法遵守を可視化する機能などの新たな機能を追加。2021年3月29日よりこれら新機能の提供を開始した。なお、今回追加搭載された機能は、既に導入済の利用者も買い換えなしに活用できる。



「安全運転管理テレマティクスサービス」とは

同サービスを活用することで、社有車や営業車を管理している企業において、安全運転の「計画」「記録」「解析」から「教育・学習」までトータルでサポートし、データ収集・分析などを自動化できる。また、運用の手間やコストをかけずに効率的な安全運転指導が可能となることで簡単・リーズナブルに安全運転管理が可能となる。同社は、「G500Lite」を搭載することで、サービス導入企業へ”安心感”を提供し、道路交通法遵守の促進を通じた、交通事故の防止・低減をサポートすると述べており、今後も、人と地球に優しい製品でクルマの魅力を高める「クルマの価値向上」や、移動の課題を解決し人々の生活を豊かにすることに貢献する「生活の価値向上」への取り組みを具体化し、利用者・社会に貢献していくとのことだ。


■【動画】通信型ドライブレコーダー G500Lite プロモーション動画




主な新機能の特徴

今回、AIによる画像解析により「ながら運転」や「居眠り運転」などを自動検知できる機能や、道路交通法遵守を可視化させるなど、新たな機能を追加することで、管理者は映像を用いてより具体的で効率的な安全運転指導を事後的に行うことが可能になり、事故予防だけでなく、ドライバーに対する法令遵守への習慣づけにつながる。


AIによる画像解析により「ながら運転」や「居眠り運転」などを自動検知

・顔の向きや目線などをAIが画像解析
クラウドサーバに送信された映像に対して、株式会社ディジタルメディアプロフェッショナルのAI画像認識ソフトウエアサービス「ZIA Cloud SAFE」を利用し、AIで顔の向きや目線などを画像解析。それらの結果をもとに「ながら運転」や「居眠り運転」などを検知する。コロナ禍でマスク着用が推奨されている中、マスクを付けたままでも検知が可能だ。

顔の向きや目線などをAIが画像解析

・膨大な実際の事故データに基づき、AIがヒヤリハット映像を高精度で判別
AI解析精度を上げるためには、実際の事故に基づいた膨大な分析データが必要だ。同社は長年蓄積した実際の事故データを、対象物・シーン・要因などに分類/タグ付けし、分析を進めており、その分析データを元にAIを構築することで、事故につながる恐れのあるヒヤリハット映像の判別精度を高めている。さらに今回は、車室内カメラに映るドライバーの動作(挙動)についても同様にAIを活用することで、居眠り・脇見・片手運転などの分析を高い精度で実現してる。

表示画面イメージ



道路交通法遵守を可視化

道路交通法遵守を可視化するサービス提供イメージ

・速度超過、通行禁止箇所侵入、踏切不停止、一時不停止が発生した可能性のあった場面を自動で検出
ドライブレコーダーで記録された走行データ(GPSによる位置情報など)をもとに、株式会社ナビタイムジャパンが提供する「NAVITIME運転分析API」と連携し、同社クラウドセンターで速度超過、通行禁止箇所侵入、踏切不停止、一時不停止が発生した可能性のあった場面を自動で検出。GPSデータには誤差があるが、同社のクラウドセンターでは、車両の位置情報をもとに地図データと紐づけて実道路上の走行軌跡に補正するマップマッチング技術により高い検知精度を実現している。

・違反点数や違反金額を見える化
違反の疑いがあった発生日時、内容、件数のほか仮想的な違反点数や反則金を当社が開発している安全運転管理システムにて一覧表示。なお、同機能はあくまで道路交通法違反の可能性を見つける支援のためであり、違反を立証する機能ではない。

・ランキング表示、検出時の映像取得
検出数などをもとにドライバーのランキングを表示するため、検出が頻発しているドライバーを容易に特定可能。また検出時の映像取得ができ、映像をエビデンスに安全運転教育も可能だ。

表示画面イメージ


その他の機能

・バック時の危険運転検知

1.バック発進時に周囲を確認せず動き出したことを検知、2.バック走行中に一定速度以上で走行したことを検知、3.一定時間以上、バックで走り続けたことを検知

・車両点検帳票
安全運転管理者の業務として必要な車両点検帳票を印刷し、乗車前の車両点検を漏れなく実施できる。


▼ 車載機の主な仕様

形状(W×H×D) 本体:99 x 113 x2
カメラ:27 x 39 x 26
通信ユニット:31.5 x 86 x 11
電源電圧 12V/24V 車共用
カメラ画素数 メインカメラ:100万画素 / 別売追加カメラ:30万画素
画角 水平110°×垂直70°
記録方式 イベント+常時
フレームレート 28fps(※オプションカメラ接続時には仕様が変更となる。)
付属SDカード Micro SDカード(8GB)
記録時間(最大) 高画質:約110分 / 標準:約165分 / 長時間:約300分(※オプションカメラ接続時には仕様が変更となる。)
記録件数 イベント記録:50件(内、マニュアル記録:5件)
通信での画像回収 任意選択時、最大6件/月・台
音声ガイダンス
白線検知 ○(ふらつき注意喚起)
車間検知 ○(データ記録のみ)
取得信号線 ACC/+B/GND/イグニッション/車速/ウィンカーLR・バック(オプション)
品質基準 車載品質


▼ 価格

サービス利用料 SDS-T500: 2,200円/台・月
車載機 DRU-T500(本体パッケージ)、DCM-500LTE(通信ユニット)、ICR-T500(ICカードリーダー):全てオープン価格





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ロボスタ編集部

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