五平餅を焼いて、クレープを作り、抹茶を点てる調理ロボットたち 「スマートライフカフェ」のシェフは協働ロボット「COBOTTA」

「ロボカップアジアパシフィック2021あいち」の会場では、デンソーウェーブの産業用協働ロボット「COBOTTA」(コボッタ)を調理に活用した「スマートライフカフェ」が展示されていた。いわばロボットが調理する「未来のカフェ」だ(11月28日にイベントは終了)。


抹茶を点てるロボット

ひとつは「抹茶を点てる実演」。デンソーウェーブが複数のロボットで共同作業するシステムを開発した。


一台のロボットが抹茶の粉にお湯を注ぎ、次のロボットが茶筌(茶筅)でかき回す協働作業に多くの人が見入っていた。

■ 抹茶を点てるロボット (デンソーウェーブ COBOTTA)


和菓子・洋菓子の調理ロボット

もうひとつが「和菓子・洋菓子の調理実演」。
五平餅を焼くロボット、ポップコーンを盛り付けるロボット、クレープを焼くロボット、練り切りを作るロボットなど、ユニークな調理ロボツトが多数稼働していた。なお、「和菓子・洋菓子の調理実演」は、愛知工業大学のロボット研究ミュージアムがプロデュースや開発に協力している。

手前が「五平餅を焼くロボット」、奥が「ポップコーンを盛り付けるロボット」

飲食業界は働き手不足という深刻な課題を抱えている。焼き肉店などでは配膳ロボットの導入が進み始めていて、厨房の中にもご飯を盛り付けたり、お寿司のシャリを握るロボットによる自動化が進む。とはいえ、多くの人間による判断が必要な調理はなかなかロボット化は難しい一面がある。


それらの点も踏まえて、今後の自動化には期待したいところだ。多くの場合、カメラとAI(ディープラーニング/機械学習)によるロボット化のアプローチが多いのに対して、今回の「スマートライフカフェ」ではあえてカメラを使用しないロボットが見られた。これは飲食業界にとって自動化を阻むもうひとつの大きな要因はコストであり、コスト削減のためには、できるだけシステムを廉価でシンプルに開発し、メンテナンスが不要なものが望まれているからだ。


ポップコーンを盛り付けるロボット

■ 五平餅を焼くロボットとポップコーンを盛り付けるロボット(デンソーウェーブ COBOTTA)

調理ロボットはこれからの分野であり、どのようなシステムが最適解なのか、まだ答えは出ていない。また、正解がひとつとは限らない。AIカメラを搭載したシステムとしていないシステムの両面から、開発や試行錯誤が進められていくことは実用化の近道に違いない。

クレープを焼くロボット


練り切りを作るロボット

■ クレープを焼くロボット(デンソーウェーブ COBOTTA)

■参考動画 AIT.COBOTTA.project 2018~2020 餃子のあん、五平餅、クレープ等

■参考動画 FOOMA JAPAN 2018 「餃子の餡詰め工程」 by collaborative robot COBOTTA

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神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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