デリバリーロボットがオフィスの社員に直接配達「東京ミッドタウン八重洲」が配達/清掃/運搬ロボットサービスの導入を発表

三井不動産株式会社は八重洲二丁目北地区市街地再開発組合の一員として「東京ミッドタウン八重洲」の開発を推進している。同社は同施設において最先端技術を活かしたDX推進の一環として導入する各種ロボット・サービスの詳細を決定したことを発表した。東京ミッドタウン八重洲は2022年8月に竣工(予定)、2023年3月にグランドオープンする。また、2022年9月には商業施設約60店舗のうち、地下1階の13店舗が地下2階「バスターミナル東京八重洲」とともに先行オープンする。

東京ミッドタウン八重洲 フロア構成


デリバリーロボットがオフィスワーカーに直接デリバリー

コロナ禍において広がりを見せているフードデリバリーサービス。これまではセキュリティの観点からデリバリー配達員はオフィスロビー等で受け渡しを行っていた。そのため、高層階で働くオフィスワーカーはロビーまで降りて品物を受け取るという不便さを感じていた。

今回「東京ミッドタウン八重洲」ではロボットがオフィスロビーで配達員から品物を受け取り、オフィスワーカーに直接デリバリーをするサービスを初導入する。これにより、オフィスワーカーの利便性が向上するとともに、配達員とオフィスワーカーとの接触がなくなることで新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策にも寄与する。また、同サービスは「東京ミッドタウン八重洲」館内にある飲食店のテイクアウト品のデリバリーにも対応する。

デリバリーロボットサービスイメージ


デリバリーロボット/アスラテック株式会社「RICE」

デリバリーロボットはアスラテック株式会社の「RICE」を導入する。「RICE」は自律走行型の屋内配送ロボットで、ホテルやオフィスビル、ショッピングモール、病院、高層住宅、飲食店、量販店など、屋内のさまざまな施設で活用することができる。物品の配送だけでなく、お客様の先導・案内といった用途にも利用可能。


人と協調して働くことを前提に設計されており、人との衝突を回避したり障害物を避けたりする機能などを備えている。エレベーターと連携することで、異なるフロアに荷物を届けることも可能。また、心理的に抵抗感がなく、親しみやすくて使いやすいデザインが採用されているのも特徴で、UI/UXも同様の考えで設計されている。










■動画 東京ミッドダウン八重洲 各種ロボットサービスの紹介


「清掃ロボット」がエレベーターに乗って階を移動

三井不動産における既存オフィスビルでは、労働力不足への対応という観点から清掃ロボットなどの活用を進めてきた。ただし、これまではオフィスビル内でのロボット移動においては人がエレベーターに同乗する必要があり、完全な省人化を実現できていなかった。今回の「東京ミッドタウン八重洲」では、建物の実施設計者である株式会社竹中工務店と共にロボットフレンドリーな建物の構築を行っている。ロボットがエレベーターを自分で呼び乗降する階を指定することができ、これにより完全な省人化が実現可能となった。


清掃ロボット/パナソニック株式会社「RULO Pro」

清掃ロボット「RULO Pro」はオフィスビル共用部を中心に床面清掃の自動化を実現する。4種のセンサーにより壁際まで接近して床面全体を効率的に清掃し、紙パックでのごみ捨て方式の採用等使い勝手を追求して作業軽減を実現。長距離レーザーセンサーの搭載により、エントランスホールや会議場といった大空間にも対応している。






「運搬ロボット」の活用で多様な人材の就業が可能

運搬ロボットの活用で集荷業務等において重量のある荷物を誰でも移動させることができ、より多様な人材の就業が可能となる。これにより、日本政府が提唱する「Society 5.0」の“ロボットなどの技術で人の可能性が広がる社会の実現”を推進する。

なお、これらのロボットを「東京ミッドタウン八重洲」で導入するにあたり、Uber Eats Japanを含むパートナー企業と共に「日本橋室町三井タワー」の三井不動産自社オフィス内で実証実験を実施した。

ビル内でのロボット稼働のイメージ 提供:竹中工務店



運搬ロボット/株式会社Doog「サウザー」

サウザーシリーズは運用の簡単さやカスタマイズ性が高く評価されており、製造現場、物流倉庫のみならず、鉄道・航空整備場、施設内バックヤード、工事現場や建築現場、農業など多岐に渡るフィールドに導入され活用されている。「東京ミッドタウン八重洲」においては、大容量で小回り性に優れる新製品のサウザーライトに専用の荷台を搭載したものを導入する。





東京ミッドタウン八重洲で目指す「リアルエステート・アズ・ア・サービス」

「リアルエステート・アズ・ア・サービス」は街を施設(モノ)で捉えるのではなく、「働く」「遊ぶ」「暮らす」といった「人」の行動を提供する「サービス」で捉える街づくり。「東京ミッドタウン八重洲」では最先端技術を用い、「リアルエステート・アズ・ア・サービス」を実現する取り組みを行っている。例えば、首都圏の大規模オフィスとしては初の「完全タッチレスオフィス」として、顔認証によるオフィス入退館システムの導入、専有部入口の自動ドア化などにより、オフィスワーカーは一切接触行為を行うことなく、ハンズフリーで快適に執務室への入室が可能となる。

さらにオフィスビル内でのデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するために、ロボット活用の検討をすすめてきた。同施設ではこれまでのオフィスビルにおけるロボット導入の大きな障壁であったロボットの垂直移動と水平移動を実現するため、自動ドアの積極的な活用に加えてエレベーターやセキュリティドアとの通信や連携を可能にした。これによりロボットの完全自律走行が実現し、「実証実験」にとどまらないロボット活用の本格導入を開始する。完全自律走行時のオフィスワーカーの安全安心にも配慮し、ロボットにより人の可能性が広がる、ロボットフレンドリーなオフィスビルを目指す。

「東京ミッドタウン八重洲」ロボット稼働イメージパース(2Fオフィスロビー) 提供:竹中工務店

また、同施設では今後積極的に5Gを活用した様々な取り組みも導入する。このような様々な最先端の取り組みを通じ、オフィスワーカーの皆様へプレミアムなビジネスライフを提供していく。


東京ミッドタウン八重洲 概要

【完成予想図】


【配置図】


【東京ミッドタウン八重洲 周辺図】

街区名称  東京ミッドタウン八重洲
施行者 八重洲二丁目北地区市街地再開発組合
所在地 東京都中央区八重洲二丁目地内 他
用途 A-1街区:事務所、店舗、ホテル、小学校、バスターミナル、駐車場 等
A-2街区:事務所、店舗、子育て支援施設、駐輪場、駐車場、住宅 等
区域面積 約1.5ha
敷地面積 A-1街区:12,390㎡ 
A-2街区:1,043㎡ 
合計:13,433㎡
延床面積 A-1街区:約283,900㎡
A-2街区:約5,850㎡
合計:約289,750㎡
階数/最高高さ A-1街区:地上45階 地下4階 ペントハウス2階/約240m
A-2街区:地上7階 地下2階 ペントハウス1階/約41m
設計/施工 基本設計・実施設計・監理:株式会社日本設計
実施設計・施工:株式会社竹中工務店
マスターアーキテクト:Pickard Chilton
交通 JR「東京」駅 地下直結(八重洲地下街経由)
東京メトロ丸の内線「東京」駅 地下直結(八重洲地下街経由)
東京メトロ銀座線「京橋」駅 徒歩3分
東京メトロ東西線、銀座線、都営浅草線「日本橋」駅 徒歩6分
スケジュール 2022年8月竣工(予定)
商業施設:2022年9月先行オープン、2023年3月グランドオープン
ホームページ 各種ロボット動画は2022年6月1日以降、以下webサイトにて閲覧可能。
https://www.yaesu-project-2022.jp

ABOUT THE AUTHOR / 

山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

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